【敵→恋】春雪に咲く花【探偵ミステリーBL】

郁雨いくううう!

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【敵同士→恋】6話(3)【探偵ミステリーBL】

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「そんなに俺のことが面倒なら、どっかに監禁でもしておけ! それから悠々と調査でも何でもすればいいだろう!」

玄沢の顔が、一瞬にして固く強ばる。

「……そうしたいのは山々だ。だけど、俺は絶対、そんなことはしない」

一語一語を強調するように言いながら、玄沢は細めた目で陽向を見つめた。

「お前は、俺が見てきた中でも一番予測がつかない。正直、どう扱っていいかわからない」

一拍間をおいてから続ける。

「お前が、今にも危ないことに飛び込んでいくんじゃないかと思うと、おちおち寝てもいられない。何をしていても、頭から離れないんだ」

一瞬、愛の告白でもされているのかと錯覚しそうになった——が、違う。

ものすごく遠回しに、馬鹿にされているのだ。

怒りなのか恥ずかしさなのかよくわからない感情に、陽向の体がぶるぶると震える。

「はっ、そこまで思ってもらえて光栄だね。俺だって、こんなに侮辱されたのは玄沢さんが初めてだ」
「違う。俺は、ただ……」

玄沢の黒い目が、薄暗い室内で鈍く光った。

「俺はただ、お前のことが、しん──」

その時、廊下の向こうから「キャハハッ」と明るい笑い声が響いてきた。
徐々に近づいてくるところを見ると、どうやらこの部屋に向かっているようだ。

「やばい、隠れるぞ!」

玄沢が陽向の手を引き、部屋の右側にあるラックの林の中へと駆け込んだ。

ガラリ——。
木製の引き戸が勢いよく開いたかと思うと、二つの人影がもつれ合うように入ってきた。

ラックの隙間から、ぼんやりとそのシルエットが見える。

どうやら二人とも酔っているらしく、笑い声を上げながらデスクの上に倒れ込んだ。
次の瞬間、デスクの上で二つの影が重なり、一つになる。

「……んっ」

唇の重なる、艶めかしい音が埃っぽい室内に響いた。

「くそっ……」

隣で、玄沢が小声で舌打ちする。

「リエさんに、今度はお前と入るって言うの、忘れてた……!」

向こうで影たちが一度離れる。

「あれ……? 今何か聞こえた?」
「まさか。気のせいだろう。それより——」
「あっ、そこっ、だめっ……!」

今や、影たちはデスクの上で完全に一戦を始めていた。

ギシギシとデスクが軋む音。
「あっあっあっ」という声。
肌と肌がぶつかり合う音、荒い吐息。

ずいぶんと、盛り上がっているらしい。

一方、玄沢と陽向は……ただそれを聞いていることしかできなかった。

それから、待つこと数十分——。
闖入者たちは来た時と同じ唐突さで部屋から出ていった。

「……ふう。ようやく行った」

玄沢が脱力したように、後ろのラックにもたれかかる。
陽向も、止めていた息をようやく吐き出した。

まったく生きた心地がしなかった。

極度の緊張のせいか、腹も余計に痛くなってきた。
最近思うのだが、もしかしたら自分はストレス性の胃炎になってしまったのかもしれない。

「おい、大丈夫か? どうした?」

うずくまったまま動かない陽向を心配して、玄沢がのぞき込んでくる。
が、すぐに視線を逸らした。

「あの……非常に言いにくいが……勃ってるぞ」
「へ!?」

一瞬、何のことを言われているのかわからなかった。
だがすぐに下半身に目をやって理解する。

カッーと、全身の熱のボルテージが跳ね上がり、血管という血管がショートした。

「あっ……あぅ……あうぅう……」

突然、頭を抱えて唸り始めた陽向を見て、玄沢がギョッとする。

「ど、どうしたんだ!?」

陽向は膝頭をぴったりとくっつけ、そこに頭を打ちつけた。

「どうしたもこうしたもないよ……! もう最悪だ! 俺、どんだけ欲求不満なんだよ……! あんなことだけで、こんな風になるなんて……!」

ごんごんと額を自分の膝に打ち付けながら、陽向はまくし立てる。

「確かに最近、海斗の世話でいっぱいいっぱいで、相手を探そうなんて思いもしなかった。そもそも、あいつみたいにヤルだけの相手なんてイヤだし……!

一人で処理しようにも、あいつが他の奴を連れ込んだかもしれないベッドだと思うとしらけて、その気になれなくて……!」

パニックで視界まで回り始める。
だが、息をつく暇もなく、陽向ははっと顔を上げた。

「——もしかして、最近妙に腹がグルグルするなって思ってたの、怒りのせいじゃなくて……タマってたから!?

いや、いや、いや。でも怒ってたのも確かだし……でも……でも……——あぁっ、もうわかんないっ! わかんないよおっ……!」

「お、落ち着け! 大丈夫だから、落ち着け!」

玄沢は陽向がこれ以上暴走しないように、頭を自分の胸元に引き寄せた。

「大丈夫だ。リラックスしろ」

耳元で、ソフトな声がささやかれる。
玄沢の手が、陽向の背を優しく撫でた。

背骨を一つずつほどいていくような動きに、陽向の体から少しずつ力が抜けていく。
荒かった息も次第に静まり、深く、落ち着いたものになっていった。

それでも、腹の奥はいまだに、いなしきれない熱とパニックでぐるぐるとしている。

その時、不意に、押し殺した玄沢の声が降ってきた。

「そのまま力を抜いてろ。今、楽にしてやるから」


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ご覧いただき、ありがとうございます。

現在、中華ファンタジーBLを連載中です!
興味がありましたら、お越し下さいませ☺

■あらすじ動画(1分)
https://youtube.com/shorts/o6KYEqYVPOI

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