【敵→恋】春雪に咲く花【探偵ミステリーBL】

郁雨いくううう!

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【敵同士→恋】16話(1)【探偵ミステリーBL】

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「はははっ、こりゃ傑作だなっ!」

突然、誠吾が腹を抱えて笑いだした。

「そんな筋肉ダルマになっておいて、女になりたいだと!? しかも、ちやほやされたいからなんてっ……!」

誠吾は堪えきれず、手を叩いて笑い転げた。

「もういい。わかった。お前は正真正銘のバカだ」
「そ、そんなぁ……何も、そんなに自信満々に言わなくても……」

海斗はがくりと肩を落とす。
誠吾はすっきりした顔で、組の者たちに向かって高らかに言い放った。

「これ以上、こいつに聞いても何も出てこないだろう。全員、他の仲間の捜索にあたれ!」
「はいっ!」

組員たちが出ていくと、誠吾は今度は玄沢と陽向の方を向いた。

「もう帰っていいぞ。付き合わせて悪かったな。ご苦労様」
「付き合わせてって……まさか……誠吾、お前」

玄沢は陽向をちらりと見てから、もう一度誠吾を見て、小さくつぶやいた。

「もしかして、お前、一芝居うったのか……?」

ふっと、誠吾が唇を緩ませる。

「まあな。ここまでしないと、あの男のことは見極められないと思ったからな」
「ちょちょちょ……!」

陽向は両手で頭を抱えた。混乱のせいか、頭から足の爪先までぐらぐらと揺れているような錯覚に襲われる。

「まさか、今までの全部、ふりだったってこと!? 海斗に自白させるための!?」

玄沢が自らの眉間を揉んだ。

「そうだったらしいな。俺もまんまと喰わされたよ」
「ふっ、騙される方が悪いんだ」

誠吾が玄沢の肩を軽く叩く。

「でもまさか、お前が気づかないとは思っていなかったな。それほど、坊やがいなくなったことに動揺していたって訳だ。これでまた一つ、〝真実〟が掴めたな」
「な、なんじゃそりゃー!」

ようやく状況が飲み込めた陽向は、怒りのあまり誠吾に飛びかかろうとした。
その肩を、玄沢がさっと押さえる。

「やめておけ。本当に売られることになるぞ。こいつが本気になったら、俺でも止められない」

陽向はぴたりと止まり、代わりに誠吾を睨みつけた。

「海斗は? 海斗も帰れるんだよね?」
「あぁ。だが、俺がここまで見極めるのに時間がかかった男は久しぶりだ。面白いから手元に置いておくのもいいな。——おいっ!」

誠吾が、まだ打ちひしがれている海斗に声をかけた。

「賠償金が貯まるまで、うちで働かないか? そのたらしの才能が役に立つのは、ホストかここくらいだろう?」
「えっ!? いいの!?」
「いいですか、だ」
「いいんですか!? やったぁー! これでまっとうな仕事をゲットできたぁー!」
「まっとうではないけどな……」

喜ぶ海斗を横目に、陽向はトホホとため息をついた。
隣の玄沢の服の袖をつまむ。

「玄沢さん……もう帰ろう……俺、ちょっとトイレで泣きたい……」
「あ、あぁ……俺もだ。でも、その前に」

玄沢は幹部に挨拶回りをしている海斗を、無理やり部屋の隅に引っ張っていった。

「謝花。お前に聞きたいことがある。本当は——」
「玄沢さん」

海斗がまっすぐ玄沢を見つめ、常夏のような笑顔を向けた。

「陽向ってさ、可愛いでしょ」
「え? あぁ、まぁ……確かに、可愛いが……」
「でしょ。俺が思うにさ、陽向は怒ってパニックになってる時が、一番輝いてるんだよ。頬なんかピンク色でさ、目もキラキラして。あの時の陽向ほど、生き生きしてるものはない」

玄沢は思わず頷きかけて、踏みとどまる。
口を開きかけたところで——

「俺、一度さ」
と海斗が遮った。

「陽向を怒らせすぎて、泣かせちゃったことがあるんだよね。あん時の陽向は、本当に可愛かった。もう、そのまま突っ込みたいくらい興奮した。外だったから止めたけど」



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ご覧いただき、ありがとうございます。

現在、中華ファンタジーBLを連載中です!
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■あらすじ動画(1分)
https://youtube.com/shorts/o6KYEqYVPOI


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