【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

124.貴族の誇り(1)

日没直前の望楼ぼうろうでシアユンさんに、後ろを向いてお尻しりが丸出まるだしだと「ドキッ」っていうより、「ビクッ」ってなりますよ、って話した。

真剣しんけんな表情で聞いていたシアユンさんは「勉強になります」と言うや、望楼ぼうろうを降りた。

戻もどって来ると、横に深く脚あしの付つけ根ねより上まで切れ込んでるスリットの入ったドレスに着替えてた。

白い脚はスラリとキレイだし、なにより「し、下着、穿はいてます……？」と、まんまとドキッとしてしまった。

――け、研究熱心ですね。

日没し、連弩れんどの実戦投入が進む城壁に目をやる。

既すでに36小隊が編成へんせいされ、北側城壁には全面展開できた。東西南の城壁にも櫓やぐらに近い両端りょうはしから配備はいびされ始めた。

目標の75小隊に必要な兵員へいいんは、既に集まっている。今は訓練くんれん待まちで、長弓ながゆみ隊の後ろで観戦してる人も多い。

75小隊がフル稼働かどうになれば、念願ねんがんのオフ日がつくれる。剣士も交代こうたいでオフが取れるようになるはずだ。

最初から参加してくれてるメイファンも、ミンユーもクゥアイも、まだ１日も休みをとれてない。

今晩も死力しりょくを振ふり絞しぼって闘ってくれている。その背中を見守る。

昼間の話が頭から離はなれないので、いつもの背中が違って見える。

――純潔じゅんけつの乙女おとめと子を儲もうけることで、呪力じゅりょくが発現はつげんする。

もちろん、皆みんな、可愛かわいいし美人だし魅力的みりょくてきだし、不満ふまんがあるって訳じゃない。

ただ、今晩ほどゆったりと里佳りかのことを思い出してるのは初めてだ。

もちろん、鈍にぶい痛いたみは伴ともなうんだけど、一緒いっしょに育そだった、色々な場面を思い出す。

大変、申し訳ないことに、メイファンを見ては思い出し、ミンユーを見ては思い出し、クゥアイを見ては思い出す。

夜が明けて笑顔で仲間を労ねぎらうメイファンに、体育祭のときの里佳を思い出すという具合ぐあいだ。

そのまま、大浴場に行ったら「失礼します」と、俺の後ろで膝ひざを突ついた娘こは、話したことのない娘こだった。

え？

ちゃんと話もしないうちに、来ます？ え？ え？ え？

と、反応に困こまっているうちに、泡あわだらけの控ひかえめな膨ふくらみが押し当てられた。

――ふに。

もちろん、毎朝一緒にお風呂に入ってて、顔を見たことはある。顔以外も見たことがある。

けど、まだ一言も会話を交かわしてない娘この膨らみは、これはこれで気恥きはずかしいし、いつも以上に緊張きんちょうしてしまう。

――ふにん（下）。

黄土色おうどいろの髪をしたこの娘こは、確かいつもスイランさんとか、シュエンと仲良さそうにしてたはず……。

――ふにん（上）。

いやぁ、緊張するなぁ。

――ふにん（下）。

「あの……」

と、背中の娘こが話かけてきてくれた。

「はい……」

「シャオリンと、いいます……」

――ふにん（上）

「シャオリン……」

「はい……」

――ふにん（下）。

「……」

「……」

――ふにん（上）。

「い、いくつ……？」

沈黙ちんもくに耐たえ切きれずに、くだらないことを聞いてしまった……。

「じゅ、17です……」

――ふにん（上）。

「へぇ、そうかぁ……」

「はい……」

――ふにん（下）。

「……」

会話が続かない……。

シャオリンも緊張してるのかな？ 

そりゃ、するよね。普通、するよ。

「……うっ」

――ふにん（上）。

うっ……？

首から上だけで振り向くと、シャオリンは泣いていた。

――ふにん（下）。

それはダメだ。それは良くない。泣くほど嫌いやなことしちゃダメだ――。