【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら

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176.置かれた大浴場(1)

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アスマとラハマの初参戦はつさんせんを見届みとどけ、大浴場に向かう前、地下牢に寄った。

「牛肉のシチューは美味うまかったが、年寄りには脂あぶらがこたえたわい」

と、ウンランさんが牢ろうの木格子きごうし越ごしに、苦笑混まじりで言った。

ウンランさんとズハンさんを拘束こうそくして10日。王族の命を狙ねらったのだ。本来なら首を刎はねるべきところを、俺の立っての希望で助けた。

助けた責任を感じるところもあるので、ちょくちょく顔を見に来るようにしている。

孫のシャオリンには累るいを及およばせず、爵位しゃくいの継承けいしょうを認めたからか、少し態度が軟化なんかしている。

ただ、地下牢は全て独房どくぼうで互たがいの部屋の声は聞こえない。アスマたちが臣従しんじゅうしたことも、ウンランさんとズハンさんは知らないでいる。

「どうだ、マレビト様？考えてくれたか？ズハンを出してやってほしい。あいつは、儂わしに巻き込まれただけなんじゃ」

と、最近はこればかりを言う。

「ズハンを出してくれたら、とっておきの情報を教えてやるぞ？どうだ？」

と繰くり返かえすのだけど、苦笑いしか返せない。

第一、当とうのズハンさんの態度に変化はない。

「この種たねなしマレビトがっ」

と、ヒドイ言葉で罵ののしってくる。「そもそも、ヤってねぇ」と言い返したいところだけど、馬鹿馬鹿しいのでグッと堪こらえている。

ウンランさんには「先に情報を教えてくれたら考えますよ」と、毎回言って地下牢を離れる。

――むにんっ。

と、今朝けさの大浴場ハーレム風呂では、初戦闘を終えたばかりのアスマが流してくれる。

「人獣あれは、怖こわいな」

――むにゅん（左腕／上）。

「怖い……」

と、応こたえたミンユーは左腕をはさんで滑らせている。

――くにっ（右腕／下）。

右腕に抱き着いて、顔を真っ赤に全身を泡だらけで滑らせてるクゥアイも含めて、３人は昨夜ゆうべの戦闘で同じ小隊を組んだ。

昨夜ゆうべの戦闘では、結婚式で最高の笑顔を見せたエジャとヤーモンも無事に戻った。

あの笑顔は、ベタなフラグにはならなかった。こうなったら、なにがなんでもハッピーエンドだっ！っ思えた夜明よあけだった。

――むにんっ（背中／上）。

「よく分かった……」

と、アスマが堅かたい口調で言った。

――むにんっ（背中／上）。

「我わが国くにリヴァントも無事ではあるまい。あれだけの数が、ここだけで収おさまっているとは到底とうてい思えぬ。否いや、我が国はジーウォ公国であった……。さて、リヴァントは何と呼べば良いかな……」

「故郷ふるさとでいいんじゃないですか？」

――むにんっ（背中／下）。

「うむっ。故郷、よい響ひびきだ。これからはそう呼ばせてもらおう」

と、アスマは少し安堵あんどするように言った。

生まれ故郷こきょうを想おもう気持ちを取り上げたり、貶けなさせたりするようなことはしませんよ。隠かくれキリシタンの踏ふみ絵えじゃないんだから。

――むにゅん（左腕／上）。

「昨夜ゆうべは初めて連弩れんども使ってみた」

と、頬ほほを薄く赤色にしたミンユーが言った。

「あれ？短弓たんきゅうの調子が悪いの？」

――むにゅん（左腕／下）。

「そうじゃない……。ミンリンさんの発表を聞いて、連弩れんど兵も要かなめになると思った」

「なるほど」

――むにゅん（左腕／上）。

「狙ねらいの付け方や、効率良い挙動きょどう。実戦で使ってみないと、教えられないし、一緒に考えてもあげられない、と思った」

連弩れんどは素人しろうとが矢を放てるようになるけど、ミンユー級クラスになると、短弓たんきゅうの方が速くて正確だ。敢あえてチェンジを求めることはしてなかった。

――むにんっ（背中／下）。

「発表された作戦もスゴいが、あの連弩ゆみもすごいな。我わが主あるじが作ったと聞いたぞ？」

と、アスマが賞賛しょうさんする声音こわねで言ってくれた。

「いやいや、俺は最初の最初だけ。仕上げたのはシーシだし、シーシが作ってくれた武器だよ」

――むにんっ（背中／上）。

「その最初を作れるのがスゴいではないか」

滑りが上に来た時、俺の耳に吐息といきをかけるのが流行りになってるんスか？とても、こそばゆくてムズムズしてしまう。

――くにっ（右腕／上）。

「アスマさん！お、お願いが……」

クゥアイがやっと声を出したと思ったら、顔を真まっ赤かにしたまま、なんのお願いだろう――？

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