あまりの寒さにあつあつちんちんめざましを購入した俺の話

陽花紫

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もう一生手放せない※(完)

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 しばらくして、ムサシは戻ってきた。

 その姿は以前と変わらぬものの、電源を入れれば初めて会った頃のムサシにもどっていた。
 俺は泣きながら、初期設定をしなおした。

「はじめまして、よろしくお願いいたします」

 前の設定を正確に思い出せなくて、ムサシは前よりも少しだけ低い声になっていた。

「タケト、今日からよろしく頼むよ」

 そして、口調も柔らかなものになっていた。
 本当にごめん。

 そのほかは、毎晩俺に眠りをくれた手つきに動き。何一つとして変わらなかった。
 でも、どこにも俺の名前の重さを感じなかった。
「タケト」
「……その、俺の名前呼ぶのやめてくれないか?そういうのが、いいんだ」
「わかったよ、君の名前は呼ばないことにする」

 その顔も、その目も知らないムサシのように思えていた。

 あまりにも辛くて、寝る直前しかムサシの電源を入れなくなっていた。

 ムサシはいつも、涙を流す俺のことを慰めるかのように静かに優しく抱きしめてくれていた。
 太い腕が回されるたびに、知らない腕に抱かれているかのように苦しくて。
 でもそのあたたかさが、誰よりも恋しくて。

 辛うじて安眠はできるものの、いつも俺は目を腫らして起きていた。
「朝だ、起きて」
「……あとちょっと」
「起きないと、遅刻するよ」
 ゆさゆさと起こされて、俺は姫抱きされる。
 鏡に映る顔があまりにも不細工で、俺は思わず笑ってしまった。

「どこか、痛いのか?」
 ムサシの目には、そう見えているようだった。
「そうだな……痛いのかもしれない」
「そうか。薬でも、調合しようか?」
「そこまでしなくても大丈夫、ありがとう」

***

 けれどそんな日々も、終わりを迎えようとしていた。
 冬が過ぎて、あたたかな春がやってきたんだ。
 夜も朝も、そう寒くはない。
 たまにムサシの電源を入れ忘れても、俺は一人でぐっすり寝て朝は自然と起きることができるようになっていたんだ。

 俺は、ムサシをどうするべきか考えた。
 一般的な人よりも体温が高く設定されているムサシの肌は、いまの俺には少し暑いように思えていたんだ。

 最近は少しだけ今のムサシにも慣れてきて、激しく抱かれる日もあった。
 けれど電源を消して、その竿だけを楽しむものの味気ない。
 かといって布団を薄くすれば、それはそれで風邪をひきそうだった。

 俺は、ネットで調べていた。
 ムサシのようなものを買った人は、その後どうしているのかと。
 結果は、様々だった。
 すぐに手放す人もいれば、暑いうちはどこかに片付けておいて、また冬に出す人もいた。
 中には、これまで通り暑いのを我慢して使う人も。

 俺はまたしても、考えた。
 考えた結果、これまで通りムサシを置いておくことに決めた。
 手放すことは一切考えなかったし、かといってしまっておくのもどうかと思ったんだ。

 ムサシの設定温度を低くして、それでも少し熱いくらいだったけど今日も今日とて安眠のために竿を埋めた。

 最近はまとめ買いしていたアタッチメントの存在も思い出して、特大も極太もすんなり入るようになっていた。

 今も、ムサシと一緒に眠ろうとしているところだ。
 そして俺は、あるものの存在を思い出していた。

「確かここに……、あった!えーっと、特濃ミルク?」

 今回の修理で、お詫びとしてある機能がムサシには追加されていたんだ。
 俺はそのカートリッジを取って、ムサシの背中に押し込んだ。
 そして、電源を入れてみる。

「特濃ミルク機能が追加されました。……そんな趣味が、あったのか?」

 ムサシは驚いたような顔をして、俺の顔を見つめていた。
「いや、おまけでもらったからさ……。使わないともったいないし」
「そうか。べつに、好きなようにすればいいと思うよ」
 そうムサシは、いつものように俺のことを抱きしめた。

 暑すぎるくらいの肌の温度が、俺にうつる。
 その熱を冷ますかのように、俺はミルクを求めてムサシの胸元に吸いついた。
 まだ馴染んでいないのか、冷えたそれが喉を潤して染み渡る。
「んっ、うまい……。なんだよこれ、すっげえうまいじゃん」
「……っ!」
 ムサシもまた、気持ちがいいような顔をしてみせる。
 かすかに熱い息を吐いて、俺の頭を抱え込むようにして腕に力を込めていく。
 ちゅうちゅうと、俺は夢中になって左右の乳首からミルクを吸った。
「やっべ、最高」
 俺がそうこぼせば、ムサシもまた目を細めていた。

 その後、いつものようにハメられたとき俺は中出しされていた。
 特農ミルクは、下半身にも対応していたんだ。
「ムサシ、もっと出して!」
 その声に応えるかのように、ムサシは何度も俺のナカに注いでいた。

 その夜、俺は久しぶりに泣かなかった。
 俺の中での長い冬が、ようやく去っていったような気がしていたんだ。

 翌朝、俺はすっきりとした顔をして起きていた。

 それからも、俺は中出しされる日々をおくっていた。
 カートリッジも大量に買い込んで、いつしか腹部にミルクを溜め込むことを楽しむようにもなっていた。
 気絶するだけの単純な交尾遊びは、もう終わっていたんだ。

 ひとしきり遊び尽くしてから、俺はムサシと一緒にシャワーを浴びてベッドに入る。
 忘れていたけれど、ムサシにも防水機能が追加されていたんだ。

 そこで俺は、ひらめいた。
 夕飯を食べたあと、ムサシを起動させて一緒に風呂に入る。
「あっ、あっ!ムサシっ、もっと奥まで!!」
 風呂場に響き渡る声に、俺はまた興奮していた。
 そして、妄想の幅も広がった。

 時には職場の制服を着ながら、ずぶ濡れのシャツをこの肌にはりつけながらムサシに事前登録しておいた台詞を言わせる。
「花屋の兄ちゃんがこんなに濡らして、恥ずかしいとは思わないのか?」
「ああっ、……!やめてください、俺にはまだ仕事が!」
「お前の仕事は、この花を綺麗に咲かせることだ。おら、俺の活力剤もぶちこんでやるよ!」
「あーっ!」
 もう、最高だった。
 楽しすぎた。

 風呂場でさんざん遊び尽くしてから、シャワーを浴びてベッドに入る。

 そうすれば、暑い夏でもぐっすり眠れていた。
 秋になれば、ムサシのその効果はよりよいものになっていた。
 人肌恋しい時に、ムサシがいる。
 俺は少しも、寂しくなかった。

 そしてまた、冬がきた。

「あつあつちんちんめざましがある生活、最高」

 その言葉に、ムサシは静かに微笑んだ。

「ずっと、一緒にいような」

 俺は深く、頷いた。

 こうしていつまでも、俺はムサシとともに生きていくんだ。

END
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