あまりの寒さにあつあつちんちんめざましを購入した俺の話

陽花紫

文字の大きさ
5 / 6

もう一生手放せない※(完)

しおりを挟む
 しばらくして、ムサシは戻ってきた。

 その姿は以前と変わらぬものの、電源を入れれば初めて会った頃のムサシにもどっていた。
 俺は泣きながら、初期設定をしなおした。

「はじめまして、よろしくお願いいたします」

 前の設定を正確に思い出せなくて、ムサシは前よりも少しだけ低い声になっていた。

「タケト、今日からよろしく頼むよ」

 そして、口調も柔らかなものになっていた。
 本当にごめん。

 そのほかは、毎晩俺に眠りをくれた手つきに動き。何一つとして変わらなかった。
 でも、どこにも俺の名前の重さを感じなかった。
「タケト」
「……その、俺の名前呼ぶのやめてくれないか?そういうのが、いいんだ」
「わかったよ、君の名前は呼ばないことにする」

 その顔も、その目も知らないムサシのように思えていた。

 あまりにも辛くて、寝る直前しかムサシの電源を入れなくなっていた。

 ムサシはいつも、涙を流す俺のことを慰めるかのように静かに優しく抱きしめてくれていた。
 太い腕が回されるたびに、知らない腕に抱かれているかのように苦しくて。
 でもそのあたたかさが、誰よりも恋しくて。

 辛うじて安眠はできるものの、いつも俺は目を腫らして起きていた。
「朝だ、起きて」
「……あとちょっと」
「起きないと、遅刻するよ」
 ゆさゆさと起こされて、俺は姫抱きされる。
 鏡に映る顔があまりにも不細工で、俺は思わず笑ってしまった。

「どこか、痛いのか?」
 ムサシの目には、そう見えているようだった。
「そうだな……痛いのかもしれない」
「そうか。薬でも、調合しようか?」
「そこまでしなくても大丈夫、ありがとう」

***

 けれどそんな日々も、終わりを迎えようとしていた。
 冬が過ぎて、あたたかな春がやってきたんだ。
 夜も朝も、そう寒くはない。
 たまにムサシの電源を入れ忘れても、俺は一人でぐっすり寝て朝は自然と起きることができるようになっていたんだ。

 俺は、ムサシをどうするべきか考えた。
 一般的な人よりも体温が高く設定されているムサシの肌は、いまの俺には少し暑いように思えていたんだ。

 最近は少しだけ今のムサシにも慣れてきて、激しく抱かれる日もあった。
 けれど電源を消して、その竿だけを楽しむものの味気ない。
 かといって布団を薄くすれば、それはそれで風邪をひきそうだった。

 俺は、ネットで調べていた。
 ムサシのようなものを買った人は、その後どうしているのかと。
 結果は、様々だった。
 すぐに手放す人もいれば、暑いうちはどこかに片付けておいて、また冬に出す人もいた。
 中には、これまで通り暑いのを我慢して使う人も。

 俺はまたしても、考えた。
 考えた結果、これまで通りムサシを置いておくことに決めた。
 手放すことは一切考えなかったし、かといってしまっておくのもどうかと思ったんだ。

 ムサシの設定温度を低くして、それでも少し熱いくらいだったけど今日も今日とて安眠のために竿を埋めた。

 最近はまとめ買いしていたアタッチメントの存在も思い出して、特大も極太もすんなり入るようになっていた。

 今も、ムサシと一緒に眠ろうとしているところだ。
 そして俺は、あるものの存在を思い出していた。

「確かここに……、あった!えーっと、特濃ミルク?」

 今回の修理で、お詫びとしてある機能がムサシには追加されていたんだ。
 俺はそのカートリッジを取って、ムサシの背中に押し込んだ。
 そして、電源を入れてみる。

「特濃ミルク機能が追加されました。……そんな趣味が、あったのか?」

 ムサシは驚いたような顔をして、俺の顔を見つめていた。
「いや、おまけでもらったからさ……。使わないともったいないし」
「そうか。べつに、好きなようにすればいいと思うよ」
 そうムサシは、いつものように俺のことを抱きしめた。

 暑すぎるくらいの肌の温度が、俺にうつる。
 その熱を冷ますかのように、俺はミルクを求めてムサシの胸元に吸いついた。
 まだ馴染んでいないのか、冷えたそれが喉を潤して染み渡る。
「んっ、うまい……。なんだよこれ、すっげえうまいじゃん」
「……っ!」
 ムサシもまた、気持ちがいいような顔をしてみせる。
 かすかに熱い息を吐いて、俺の頭を抱え込むようにして腕に力を込めていく。
 ちゅうちゅうと、俺は夢中になって左右の乳首からミルクを吸った。
「やっべ、最高」
 俺がそうこぼせば、ムサシもまた目を細めていた。

 その後、いつものようにハメられたとき俺は中出しされていた。
 特農ミルクは、下半身にも対応していたんだ。
「ムサシ、もっと出して!」
 その声に応えるかのように、ムサシは何度も俺のナカに注いでいた。

 その夜、俺は久しぶりに泣かなかった。
 俺の中での長い冬が、ようやく去っていったような気がしていたんだ。

 翌朝、俺はすっきりとした顔をして起きていた。

 それからも、俺は中出しされる日々をおくっていた。
 カートリッジも大量に買い込んで、いつしか腹部にミルクを溜め込むことを楽しむようにもなっていた。
 気絶するだけの単純な交尾遊びは、もう終わっていたんだ。

 ひとしきり遊び尽くしてから、俺はムサシと一緒にシャワーを浴びてベッドに入る。
 忘れていたけれど、ムサシにも防水機能が追加されていたんだ。

 そこで俺は、ひらめいた。
 夕飯を食べたあと、ムサシを起動させて一緒に風呂に入る。
「あっ、あっ!ムサシっ、もっと奥まで!!」
 風呂場に響き渡る声に、俺はまた興奮していた。
 そして、妄想の幅も広がった。

 時には職場の制服を着ながら、ずぶ濡れのシャツをこの肌にはりつけながらムサシに事前登録しておいた台詞を言わせる。
「花屋の兄ちゃんがこんなに濡らして、恥ずかしいとは思わないのか?」
「ああっ、……!やめてください、俺にはまだ仕事が!」
「お前の仕事は、この花を綺麗に咲かせることだ。おら、俺の活力剤もぶちこんでやるよ!」
「あーっ!」
 もう、最高だった。
 楽しすぎた。

 風呂場でさんざん遊び尽くしてから、シャワーを浴びてベッドに入る。

 そうすれば、暑い夏でもぐっすり眠れていた。
 秋になれば、ムサシのその効果はよりよいものになっていた。
 人肌恋しい時に、ムサシがいる。
 俺は少しも、寂しくなかった。

 そしてまた、冬がきた。

「あつあつちんちんめざましがある生活、最高」

 その言葉に、ムサシは静かに微笑んだ。

「ずっと、一緒にいような」

 俺は深く、頷いた。

 こうしていつまでも、俺はムサシとともに生きていくんだ。

END
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
 漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。  漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。  陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。  漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。  漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。  養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。  陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。  漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。  仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。  沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。  日本の漁師の多くがこの形態なのだ。  沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。  遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。  内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。  漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。  出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。  休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。  個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。  漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。  専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。  資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。  漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。  食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。  地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。  この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。  もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。  翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。  この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

おすすめのマッサージ屋を紹介したら後輩の様子がおかしい件

ひきこ
BL
名ばかり管理職で疲労困憊の山口は、偶然見つけたマッサージ店で、長年諦めていたどうやっても改善しない体調不良が改善した。 せっかくなので後輩を連れて行ったらどうやら様子がおかしくて、もう行くなって言ってくる。 クールだったはずがいつのまにか世話焼いてしまう年下敬語後輩Dom × (自分が世話を焼いてるつもりの)脳筋系天然先輩Sub がわちゃわちゃする話。 『加減を知らない初心者Domがグイグイ懐いてくる』と同じ世界で地続きのお話です。 (全く別の話なのでどちらも単体で読んでいただけます) https://www.alphapolis.co.jp/novel/21582922/922916390 サブタイトルに◆がついているものは後輩視点です。 同人誌版と同じ表紙に差し替えました。 表紙イラスト:浴槽つぼカルビ様(X@shabuuma11 )ありがとうございます!

捜査員達は木馬の上で過敏な反応を見せる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

父のチンポが気になって仕方ない息子の夜這い!

ミクリ21
BL
父に夜這いする息子の話。

処理中です...