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#8 最弱冒険者VS大鬼VSタカシ ――①
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:やべええええwwww
:なにこの神展開www
:え、どうなってんの? シーカーズの熱い絆は? ヒヨりんとはやらないはずじゃ……?
:IQ160ある俺が思うに、これは神展開ってやつだと思う
:凄え、IQ160とか羨ましい
:上のバカ二人は置いといて、まじでどうなってんの
困惑するコメント欄。しかし、俺はそれをほったらかしにして、振り返って大鬼に中指を立てた。
コメント欄だのMeTubeだのはヒヨりんが上手くやる。俺がすべきことは唯一つ。格上殺し、それのみだ。
「来いよ雑魚。俺が、お前を上手く使ってやる」
魔物の中には、知能がある奴がいるという。Sランク冒険者いわく、奴らは”人語”を解し、話す、と。とはいえど大方の魔物は、人の言葉を解することはない。……が、意図は伝わる。魔物にも、感情はある。
「グッァアアァアッ!」
挑発を理解したらしい大鬼が、眼光を赤くきらめかせた。なりふり構わず、俺めがけて一直線に駆け出す。
:き、キタぁ
:逃げろ逃げろ逃げろ
:あかん、一人称怖すぎんだろ。腰抜けてぁ
:ひぃぃいぃいい! 逃げろいなばん!
来た……来た、来た。呼吸を整える。死への恐怖を振り払う。考える暇はない。
統計によれば、FランクとEランクのステータス差は約2倍あるらしい。EとDは3倍。DとCは10倍。
すなわちFとCのステータス差は――60倍である。
「ぅ、ぁぁあぁああッ!」
奥歯を噛み締め、身を捩る。大鬼の振るった棍棒は、綺麗に右腕の篭手の側面だけを抉りとっていった。
わずか1秒、その思考のズレが死へと直結する、未だ誰も成し遂げたことがないという偉業――格上殺し。
風が吹きすさぶ。風圧だけで、綿毛のように体が宙を舞った。宙で体の制御が効かぬ中、大鬼が棍棒を振り下ろす。
「【カメラモード変更】、周辺撮影ッ!」
即座に叫ぶと、浮遊カメラがこちらに寄ってくる。それをなんとか踏み台にして、宙で身を捩った。ギリギリで棍棒を回避する。そのまま受け身を取って着地し、転がるように起き上がって走り出す。
:えげつねぇえぇええええwwww
:神の御業を見ている
:はい、こちらが最弱と名高いFランクの冒険者です。
:【ガンジョー】あー、こいつヤバイわ。絶対すぐAまで行くわ。才能の塊すぎるわ。俺も出来ないし、こんなの。まじ萎えた。やってられねー^^
:え、本物っ!?
:万年Aランク冒険者のガンジョーさん、ちすちす^^
:すごい。いなばんどこまで大きくなっちゃうのー;;
「が、ガンジョーさんっ!?」
ああ、やばい。ガンジョーさん。憧れの冒険者の一人だ。MeTubeだって見てた。太刀一振りで魔物を両断する刀使い……最強だよ。そんな人が、俺を見ている。
なんだ、なんだこれ。
村人、モブキャラ、特技なし、取り柄なし、何も出来ない平凡以下な俺の人生……今日、変わりすぎじゃね?
「グラァアァアアッ!」
「ぅおぉぁ、っと、えっと、ふぁ、ファンでッどぅわぁああ!? ふぁ、ファンですっ、ガンジョぅおっつ!? さんっ!」
:棍棒躱しまくりながらファン宣言してて草
:戦闘に集中しろwwwギリギリじゃねぇかwww
:【ガンジョー】……ありがとう。お前好きだわ。まじでコラボしよう。飯も奢る。
:気をつけろいなばん。こいつお前に先に唾つけときたいだけだから
:つかそんなことより、これどうなってんの? なんでヒヨりん? シーカーズは?
バイクのような乗り物にまたがるヒヨりんは、離れた場所で俺を撮影しながらコメントを捌き始める。こちらは彼女に任せれば良い。
路地裏の配信の真実やらを語る彼女。しかし、それでもコメント欄は得心が行かない様子だった。
:でもなんでシーカーズを裏切る必要があるの?
:ずっと一緒にやってきた仲間でしょ?
「仲間……それも違うのにゃ! たった今、MeTubeに動画を一本アップロードしたにゃ! そこに映っているのが、シーカーズのタカシの本性にゃ!」
身も蓋もなく言えば、盗撮。つい先程のタカシによる俺への暴行を、全て裏でヒヨりんが盗撮していたのである。
:ひどい;;虫のとこグロすぎ;;
:辛かったね、ごめんね気づけなくて
:あんなことされて、よくいつも笑顔でいれたな
:最高のピエロだよお前
:ガンジョー、お前飯奢ってやれよ
:【ガンジョー】奢らせてくれ。
形勢逆転……思った瞬間、ピピッと浮遊カメラが停止した。……タカシが遠隔で放送を切ったんだ。視界を走っていたコメントが綺麗に一掃され――蘇る。
「そんなのは想定済みだよ、タカシ」
:放送止まったかとおもったー!
:こっちでも放送やってたんだ!
:レイド機能使ったのか
――レイド機能。MeTube生配信に備え付けられた機能の一つで、放送終了時に、放送中の他のチャンネルに現在いる視聴者を送る機能だ。
それを、【シーカーズ】の生配信が終了したら、俺の【いなばんチャンネル】にレイドされるように設定しておいた。
ありがとう、タカシ。
君のおかげで、俺のチャンネルも潤う。
暗闇から飛び出し、3層の廊下へと突入する。
ここから1層まで、ほぼ直進。全速力で駆け抜けて10分ほどか。心肺状況は……ぶっちゃけやばい。こひゅっ、と漏れる息に顔をしかめる。いつ死ぬか分からない緊張状態の中、体力との戦いだとか、精神磨り減りそう……。
きつい、きつい、きつい。喉に痰が絡む。上手く呼吸が出来ない。過呼吸気味にぜぇはぁ必死に酸素吸い込んで、ぼろぼろで、ギリギリ。
でも……逃げない。
赤いペニチュアの花言葉。……俺は、最後まで諦めない。
「来いよ……ッ!」
笑う。己をたぎらせるように。
「グラァアア!」
大鬼もまた、笑った。あるいは、狩りを楽しむように。
:シンプルに凄え
:Fランクって特別な身体能力の補正とかってかかってるっけ?
:【覚醒】してないはずだから、無能力の一般人と変わらん
:じゃあ素でこれってこと?
:走りなら全国1位レベルじゃん……
:バカか。世界トップレベルだよ……(震え)
知っていた。昔から気づいていた。冒険者を志す、その遥か前から。
無能、凡人、脇役、モブキャラ。そんな俺、稲葉蒼汰にたった一つだけ、神様がくれた才能――すべてを置き去りにする、脚力。
「……なんだあいつ、速ぇ」
「大鬼と、鬼ごっこしてらぁ……」
通りすがる一般の冒険者がこちらを見て腰を抜かす。
中にはどうやらこちらの事情を知っている人、もしくは野次馬しに来た人もいるらしく、
「やっちまえ、格上殺し!」
「これでも使いなぁ!」
なんて具合に、回復ポーションを寄越してくれる人もいた。
……あと少し。
擦り減った防具を眺めながら、自嘲する。気づけば全身血だらけで、既に満身創痍もいいところだった。
疲労や極度の緊張による、回避精度の低下。さらに、さっきタカシに踏まれた足の傷が広がってきてるらしい。それらが少しずつ積み重なった。
:頑張れ;;
:負けるなー!
:やばい、泣けてきた
くらりと目がくらんで、倒れそうになる。……ああ、クソッ。視界がチカチカしてうざったい。分かっていたはずだ。俺レベルじゃあ、大鬼には敵わない。格上殺しなんて出来ない。
なら、なんで飛び込んだ?
踏ん張る。前を見据える。ヒヨりんが叫んだ。
「もうすぐで二層にゃ! 耐えるにゃ! 助けるにゃよ、妹ちゃんを!」
ああ、そうだ。そのとーり。
暗闇に飛び込んだ理由。
「――日菜を助ける。絶対に」
:やべええええwwww
:ここに来て一つギアを上げる男wwww
:神回すぎるよ;;
:飯奢ってやれ、ガンジョー!
:【ガンジョー】くっそー、飯おごりてえ;;
階段を飛ぶように降りて、第二層に突入する。ここから一層まで、わずか5分ほど。もう、目と鼻の先だ。
:やばい! 俺近所だから【赤羽の迷宮】来たけど、タカシのやつが思いっきり走って出口の方向かってった!!
:ええええええ!?
:待て待て待て、逃げられたら終わりじゃね?
「んなっ!?」
逃げた……? 腸が煮えたぎる。……タカシ。お前は、どれだけ。……どれだけ、クズに成り下がれば気が済むんだ。
あいつの考えていることは容易く分かる。俺に敗れてみっともない姿を見せたくない、だけじゃない。……俺がタカシを倒せなければ、放送が企画倒れになることを見越しているんだ。
追いつけるか……?
無理だ。いくら俺の足が速かろうと、覆らないステータス差がある。
じゃあ、どうすれば――
:【ガンジョー】入り口で出待ちしてサイン貰おうと思ってたけど、ピンチっぽかったので突入してタカシ捕まえといた。だから飯奢らせてくれ
「――が、ガンジョーさんっ!」
:うぉぉおおおおお!!
:嘘だろ……ガンジョーがかっけぇ!?
:これがガンジョーの内なる姿、GANJYOか
:張り込みしてんのきっしょ
:GANJYO……かっこいい……
:GANNJYOOOOOOOOO!
「奢ってください! 何回でも、何度だって、奢られますッ!」
:微妙にだせえw
:いなばんクオリティ
:【GANJYO】ったく……あんまたけーもん頼むなよ……?
:名前変わってて草
:サイン貰おうとしてたくせに早くも先輩風吹かせてるのきっしょ
「一層突入にゃ!」
「GIYAAAAAA!!」
「んなっ!?」
大鬼がギアを一つあげる。
横薙ぎに振り払われた棍棒が迫りくる。速っ……!? つかこれ、躱せ――ッ。
「い、いなばんッ!?」
ヒヨりんの悲痛な叫びが耳に入る。
あ、これ、やばい……?
いや……まだだ。
咄嗟に懐から回復ポーションを取り出し、咥える。
「う、っぁッ!」
バックパックをクッション変わりにして棍棒を受け止める。全身を駆け巡る衝撃に一瞬だけ意識が飛びかける。なんとか意識を保てたのは、回復のポーションを飲んでいたおかげだろう。
地面を転がる。
……やばい。焦燥に汗がにじむ。
感覚が麻痺しているのが、すぐにわかった。脳からいくら指示を出しても、体がびくとも動かない。
……立てない。骨がやられた?
ぴくぴく、ぴくぴく。
痙攣したように指が動く。それ以上は望めない。ぴちゃりと、為す術もなく冷や汗が額から地面に落下した。
一瞬だった。気の緩みがあったわけでもない。
大鬼が本気で、俺を殺す気でかかってきた。ただ、それだけだ。それだけで……一気に崩れ去った。
その差を思い知る。絶望的なまでの無力感と、踊らされてたという、虚無感。
「あ、ハハハハアッ!」
醜い笑い声が耳元でこだまする。タカシだ。100m先辺りに、彼は立っていた。蹲る俺を見て、腹を抱えながら。
「馬鹿だ、大馬鹿だ! そうだよ……お前みたいな雑魚が、格上殺しだぁ? 笑わせんのも大概にしろよッ!」
:クズ降臨
:……ここまでか
:GAME OVER
:頼む、起きてくれ、いなばん
:ガンジョー、なんとかしてくれよ;;
:馬鹿かよ。ここでガンジョーに救われたらそれこそ企画倒れもいいとこ。稲葉のためにはならない。だからガンジョーは何も言わずに見守ってんだろうが。ほら、見ろよ。画面の奥の方に映ってる赤いバンダナの豆粒、あれがガンジョーだ
:本当だ、よく見えたな
:ガンジョーちっせぇ……;;
「っとっと、近づきすぎたなぁ……。ごめんな? 俺さ、そこらによくいる馬鹿じゃないんだよね」
ケラケラとタカシは笑いながら、坊主頭をぽりぽりと掻く。
「ここで近づいてお前をぶん殴ってやれたら最高なんだろうけどさ? でもね、なーんか臭うわけ。だからごめんな? タカシ、ニゲマース!」
アイーン。最大限馬鹿にするようなポーズをとって、タカシが全速力で更に走り去っていく。
100m,200m……。距離が離れるほど、少しずつ、心が折れていく。
あと、ちょっとなのに?
大鬼が一歩こちらに踏み込む。微かに震動して、体が地面から一瞬浮かび上がった。影が俺を覆い隠す。
……ここで、終わり?
つか、俺、死ぬ?
後頭部を風が撫でる。頭上に伸びる一本の影。棍棒が迫りくるのが分かった。
……あーあ。
文字通り。GAME OVE――
ピピッ、と、浮遊カメラの電源をつける音が鳴った。
「終わらせて……」言ったのは、ヒヨりんだった。ブゥゥゥン。エンジンをふかす音が狭い迷宮に響き渡る。「終わらせて、たまるかにゃぁああ!」
影走る。
棍棒が俺をすりつぶす――その直前、高速で通り過ぎる影に体を持ち上げられた。
「お、おもてぇにゃぁあ!」
バイクを片手で運転しながら、もう片手でヒヨりんが俺を抱きかかえている。手持ちカメラから浮遊カメラに切り替えたのだろう。
ズガァァアアアアンッ!
轟音が鳴り響くと共に、ヒヨりんは「ひぃぃいい!」と悲鳴を上げた。尻目に吹っ飛んでいくバイクの部品が見える。
ヴォォオオオオンッ! と、バイクの唸り声が響き渡った。鼓膜が破れるほどの音量。音の変化と共に、明らかに走力が低下する。
「え、エキパイが持っていかれたにゃぁああ!!」
ヒヨりんは涙で顔をぐちゃぐちゃにさせて、ぎちぎちと歯を食いしばっている。
:すっげええええwww
:ヒヨりん、彼女もまた――エンタメの天才
大鬼はターゲットを切り替えたらしい。
ヒヨりんもろともすり潰す気だ。
「な、なんで……なんでっ」
「なんでもくそもないのにゃッ! 今日改めて確認したにゃ……。お前は、天才にゃッ!」
――俺の人生、ずっとこれ?
燻っていた。底辺で、ずっと。諦めていた。変わらない未来を嘆いて、ずっと。毎日同じ日々の繰り返し。ゴブリンにすら勝てず、何度だって泣き腫らした。
そんな俺が……天才?
涙がこぼれる。嘘だ。違う。結局、ダメだったじゃないか。……俺には、結局っ。
「君はッ! ここで、きっと、死んじゃいけない存在なのにゃッ!」
「俺は……俺は、別にっ」
「君はこれから……大鬼も倒さないといけないにゃ! びっくりしちゃうような格上を殺して、誰にもできないことをしなくちゃいけないのにゃッ! ミノタウロスも、ドラゴンも! ヒヨりんの目は絶対にゃ! だから間違うはずがないにゃ! お前は……君は……天才にゃッ!」
――俺、こと稲葉蒼汰は、モブキャラだ。
相手が自分より強いだけで、ヘラヘラ笑って媚びを売るような。才能なしの、口だけのゴミクズ。
そうだっけ?
違う。そうだ。思い出した。
俺は……俺は――
「だから、こんなところで――」
大鬼が棍棒を振り上げる。ヒヨりんは咄嗟にハンドルを右にきると、叫んだ。
「――死なせて、たまるかにゃぁあぁああああ!」
俺は――誰にも追いつけない、脚力の天才だ。
「あと250m……いや、200m運んでくれ、ヒヨりん」
「えっ? じゃ、じゃあっ」
「そこからなら……追いつける。右に三秒ハンドルを切れ。棍棒が来る」
「え、え、え!?」
困惑するヒヨりんが指示通りに行動する。と、簡単に振り下ろされた棍棒が虚を捉えた。
「安心しろ。……俺の指示どおりに動かせば、絶対に捕まらない」
「……お前、キャラ変わったにゃ?」
【あとがき】
Q主人公、そんなに足速いなら他にも稼ぐ道あったんじゃないの?
A理由は様々で、1.足にまつわるトラウマを抱えているため、2.素の人間のステータスを遥かに凌駕する冒険者の登場により、一般人の”身体能力”があまり評価されなくなったため、3.短期間で1億も稼げないため、などが理由にあげられます。
:なにこの神展開www
:え、どうなってんの? シーカーズの熱い絆は? ヒヨりんとはやらないはずじゃ……?
:IQ160ある俺が思うに、これは神展開ってやつだと思う
:凄え、IQ160とか羨ましい
:上のバカ二人は置いといて、まじでどうなってんの
困惑するコメント欄。しかし、俺はそれをほったらかしにして、振り返って大鬼に中指を立てた。
コメント欄だのMeTubeだのはヒヨりんが上手くやる。俺がすべきことは唯一つ。格上殺し、それのみだ。
「来いよ雑魚。俺が、お前を上手く使ってやる」
魔物の中には、知能がある奴がいるという。Sランク冒険者いわく、奴らは”人語”を解し、話す、と。とはいえど大方の魔物は、人の言葉を解することはない。……が、意図は伝わる。魔物にも、感情はある。
「グッァアアァアッ!」
挑発を理解したらしい大鬼が、眼光を赤くきらめかせた。なりふり構わず、俺めがけて一直線に駆け出す。
:き、キタぁ
:逃げろ逃げろ逃げろ
:あかん、一人称怖すぎんだろ。腰抜けてぁ
:ひぃぃいぃいい! 逃げろいなばん!
来た……来た、来た。呼吸を整える。死への恐怖を振り払う。考える暇はない。
統計によれば、FランクとEランクのステータス差は約2倍あるらしい。EとDは3倍。DとCは10倍。
すなわちFとCのステータス差は――60倍である。
「ぅ、ぁぁあぁああッ!」
奥歯を噛み締め、身を捩る。大鬼の振るった棍棒は、綺麗に右腕の篭手の側面だけを抉りとっていった。
わずか1秒、その思考のズレが死へと直結する、未だ誰も成し遂げたことがないという偉業――格上殺し。
風が吹きすさぶ。風圧だけで、綿毛のように体が宙を舞った。宙で体の制御が効かぬ中、大鬼が棍棒を振り下ろす。
「【カメラモード変更】、周辺撮影ッ!」
即座に叫ぶと、浮遊カメラがこちらに寄ってくる。それをなんとか踏み台にして、宙で身を捩った。ギリギリで棍棒を回避する。そのまま受け身を取って着地し、転がるように起き上がって走り出す。
:えげつねぇえぇええええwwww
:神の御業を見ている
:はい、こちらが最弱と名高いFランクの冒険者です。
:【ガンジョー】あー、こいつヤバイわ。絶対すぐAまで行くわ。才能の塊すぎるわ。俺も出来ないし、こんなの。まじ萎えた。やってられねー^^
:え、本物っ!?
:万年Aランク冒険者のガンジョーさん、ちすちす^^
:すごい。いなばんどこまで大きくなっちゃうのー;;
「が、ガンジョーさんっ!?」
ああ、やばい。ガンジョーさん。憧れの冒険者の一人だ。MeTubeだって見てた。太刀一振りで魔物を両断する刀使い……最強だよ。そんな人が、俺を見ている。
なんだ、なんだこれ。
村人、モブキャラ、特技なし、取り柄なし、何も出来ない平凡以下な俺の人生……今日、変わりすぎじゃね?
「グラァアァアアッ!」
「ぅおぉぁ、っと、えっと、ふぁ、ファンでッどぅわぁああ!? ふぁ、ファンですっ、ガンジョぅおっつ!? さんっ!」
:棍棒躱しまくりながらファン宣言してて草
:戦闘に集中しろwwwギリギリじゃねぇかwww
:【ガンジョー】……ありがとう。お前好きだわ。まじでコラボしよう。飯も奢る。
:気をつけろいなばん。こいつお前に先に唾つけときたいだけだから
:つかそんなことより、これどうなってんの? なんでヒヨりん? シーカーズは?
バイクのような乗り物にまたがるヒヨりんは、離れた場所で俺を撮影しながらコメントを捌き始める。こちらは彼女に任せれば良い。
路地裏の配信の真実やらを語る彼女。しかし、それでもコメント欄は得心が行かない様子だった。
:でもなんでシーカーズを裏切る必要があるの?
:ずっと一緒にやってきた仲間でしょ?
「仲間……それも違うのにゃ! たった今、MeTubeに動画を一本アップロードしたにゃ! そこに映っているのが、シーカーズのタカシの本性にゃ!」
身も蓋もなく言えば、盗撮。つい先程のタカシによる俺への暴行を、全て裏でヒヨりんが盗撮していたのである。
:ひどい;;虫のとこグロすぎ;;
:辛かったね、ごめんね気づけなくて
:あんなことされて、よくいつも笑顔でいれたな
:最高のピエロだよお前
:ガンジョー、お前飯奢ってやれよ
:【ガンジョー】奢らせてくれ。
形勢逆転……思った瞬間、ピピッと浮遊カメラが停止した。……タカシが遠隔で放送を切ったんだ。視界を走っていたコメントが綺麗に一掃され――蘇る。
「そんなのは想定済みだよ、タカシ」
:放送止まったかとおもったー!
:こっちでも放送やってたんだ!
:レイド機能使ったのか
――レイド機能。MeTube生配信に備え付けられた機能の一つで、放送終了時に、放送中の他のチャンネルに現在いる視聴者を送る機能だ。
それを、【シーカーズ】の生配信が終了したら、俺の【いなばんチャンネル】にレイドされるように設定しておいた。
ありがとう、タカシ。
君のおかげで、俺のチャンネルも潤う。
暗闇から飛び出し、3層の廊下へと突入する。
ここから1層まで、ほぼ直進。全速力で駆け抜けて10分ほどか。心肺状況は……ぶっちゃけやばい。こひゅっ、と漏れる息に顔をしかめる。いつ死ぬか分からない緊張状態の中、体力との戦いだとか、精神磨り減りそう……。
きつい、きつい、きつい。喉に痰が絡む。上手く呼吸が出来ない。過呼吸気味にぜぇはぁ必死に酸素吸い込んで、ぼろぼろで、ギリギリ。
でも……逃げない。
赤いペニチュアの花言葉。……俺は、最後まで諦めない。
「来いよ……ッ!」
笑う。己をたぎらせるように。
「グラァアア!」
大鬼もまた、笑った。あるいは、狩りを楽しむように。
:シンプルに凄え
:Fランクって特別な身体能力の補正とかってかかってるっけ?
:【覚醒】してないはずだから、無能力の一般人と変わらん
:じゃあ素でこれってこと?
:走りなら全国1位レベルじゃん……
:バカか。世界トップレベルだよ……(震え)
知っていた。昔から気づいていた。冒険者を志す、その遥か前から。
無能、凡人、脇役、モブキャラ。そんな俺、稲葉蒼汰にたった一つだけ、神様がくれた才能――すべてを置き去りにする、脚力。
「……なんだあいつ、速ぇ」
「大鬼と、鬼ごっこしてらぁ……」
通りすがる一般の冒険者がこちらを見て腰を抜かす。
中にはどうやらこちらの事情を知っている人、もしくは野次馬しに来た人もいるらしく、
「やっちまえ、格上殺し!」
「これでも使いなぁ!」
なんて具合に、回復ポーションを寄越してくれる人もいた。
……あと少し。
擦り減った防具を眺めながら、自嘲する。気づけば全身血だらけで、既に満身創痍もいいところだった。
疲労や極度の緊張による、回避精度の低下。さらに、さっきタカシに踏まれた足の傷が広がってきてるらしい。それらが少しずつ積み重なった。
:頑張れ;;
:負けるなー!
:やばい、泣けてきた
くらりと目がくらんで、倒れそうになる。……ああ、クソッ。視界がチカチカしてうざったい。分かっていたはずだ。俺レベルじゃあ、大鬼には敵わない。格上殺しなんて出来ない。
なら、なんで飛び込んだ?
踏ん張る。前を見据える。ヒヨりんが叫んだ。
「もうすぐで二層にゃ! 耐えるにゃ! 助けるにゃよ、妹ちゃんを!」
ああ、そうだ。そのとーり。
暗闇に飛び込んだ理由。
「――日菜を助ける。絶対に」
:やべええええwwww
:ここに来て一つギアを上げる男wwww
:神回すぎるよ;;
:飯奢ってやれ、ガンジョー!
:【ガンジョー】くっそー、飯おごりてえ;;
階段を飛ぶように降りて、第二層に突入する。ここから一層まで、わずか5分ほど。もう、目と鼻の先だ。
:やばい! 俺近所だから【赤羽の迷宮】来たけど、タカシのやつが思いっきり走って出口の方向かってった!!
:ええええええ!?
:待て待て待て、逃げられたら終わりじゃね?
「んなっ!?」
逃げた……? 腸が煮えたぎる。……タカシ。お前は、どれだけ。……どれだけ、クズに成り下がれば気が済むんだ。
あいつの考えていることは容易く分かる。俺に敗れてみっともない姿を見せたくない、だけじゃない。……俺がタカシを倒せなければ、放送が企画倒れになることを見越しているんだ。
追いつけるか……?
無理だ。いくら俺の足が速かろうと、覆らないステータス差がある。
じゃあ、どうすれば――
:【ガンジョー】入り口で出待ちしてサイン貰おうと思ってたけど、ピンチっぽかったので突入してタカシ捕まえといた。だから飯奢らせてくれ
「――が、ガンジョーさんっ!」
:うぉぉおおおおお!!
:嘘だろ……ガンジョーがかっけぇ!?
:これがガンジョーの内なる姿、GANJYOか
:張り込みしてんのきっしょ
:GANJYO……かっこいい……
:GANNJYOOOOOOOOO!
「奢ってください! 何回でも、何度だって、奢られますッ!」
:微妙にだせえw
:いなばんクオリティ
:【GANJYO】ったく……あんまたけーもん頼むなよ……?
:名前変わってて草
:サイン貰おうとしてたくせに早くも先輩風吹かせてるのきっしょ
「一層突入にゃ!」
「GIYAAAAAA!!」
「んなっ!?」
大鬼がギアを一つあげる。
横薙ぎに振り払われた棍棒が迫りくる。速っ……!? つかこれ、躱せ――ッ。
「い、いなばんッ!?」
ヒヨりんの悲痛な叫びが耳に入る。
あ、これ、やばい……?
いや……まだだ。
咄嗟に懐から回復ポーションを取り出し、咥える。
「う、っぁッ!」
バックパックをクッション変わりにして棍棒を受け止める。全身を駆け巡る衝撃に一瞬だけ意識が飛びかける。なんとか意識を保てたのは、回復のポーションを飲んでいたおかげだろう。
地面を転がる。
……やばい。焦燥に汗がにじむ。
感覚が麻痺しているのが、すぐにわかった。脳からいくら指示を出しても、体がびくとも動かない。
……立てない。骨がやられた?
ぴくぴく、ぴくぴく。
痙攣したように指が動く。それ以上は望めない。ぴちゃりと、為す術もなく冷や汗が額から地面に落下した。
一瞬だった。気の緩みがあったわけでもない。
大鬼が本気で、俺を殺す気でかかってきた。ただ、それだけだ。それだけで……一気に崩れ去った。
その差を思い知る。絶望的なまでの無力感と、踊らされてたという、虚無感。
「あ、ハハハハアッ!」
醜い笑い声が耳元でこだまする。タカシだ。100m先辺りに、彼は立っていた。蹲る俺を見て、腹を抱えながら。
「馬鹿だ、大馬鹿だ! そうだよ……お前みたいな雑魚が、格上殺しだぁ? 笑わせんのも大概にしろよッ!」
:クズ降臨
:……ここまでか
:GAME OVER
:頼む、起きてくれ、いなばん
:ガンジョー、なんとかしてくれよ;;
:馬鹿かよ。ここでガンジョーに救われたらそれこそ企画倒れもいいとこ。稲葉のためにはならない。だからガンジョーは何も言わずに見守ってんだろうが。ほら、見ろよ。画面の奥の方に映ってる赤いバンダナの豆粒、あれがガンジョーだ
:本当だ、よく見えたな
:ガンジョーちっせぇ……;;
「っとっと、近づきすぎたなぁ……。ごめんな? 俺さ、そこらによくいる馬鹿じゃないんだよね」
ケラケラとタカシは笑いながら、坊主頭をぽりぽりと掻く。
「ここで近づいてお前をぶん殴ってやれたら最高なんだろうけどさ? でもね、なーんか臭うわけ。だからごめんな? タカシ、ニゲマース!」
アイーン。最大限馬鹿にするようなポーズをとって、タカシが全速力で更に走り去っていく。
100m,200m……。距離が離れるほど、少しずつ、心が折れていく。
あと、ちょっとなのに?
大鬼が一歩こちらに踏み込む。微かに震動して、体が地面から一瞬浮かび上がった。影が俺を覆い隠す。
……ここで、終わり?
つか、俺、死ぬ?
後頭部を風が撫でる。頭上に伸びる一本の影。棍棒が迫りくるのが分かった。
……あーあ。
文字通り。GAME OVE――
ピピッ、と、浮遊カメラの電源をつける音が鳴った。
「終わらせて……」言ったのは、ヒヨりんだった。ブゥゥゥン。エンジンをふかす音が狭い迷宮に響き渡る。「終わらせて、たまるかにゃぁああ!」
影走る。
棍棒が俺をすりつぶす――その直前、高速で通り過ぎる影に体を持ち上げられた。
「お、おもてぇにゃぁあ!」
バイクを片手で運転しながら、もう片手でヒヨりんが俺を抱きかかえている。手持ちカメラから浮遊カメラに切り替えたのだろう。
ズガァァアアアアンッ!
轟音が鳴り響くと共に、ヒヨりんは「ひぃぃいい!」と悲鳴を上げた。尻目に吹っ飛んでいくバイクの部品が見える。
ヴォォオオオオンッ! と、バイクの唸り声が響き渡った。鼓膜が破れるほどの音量。音の変化と共に、明らかに走力が低下する。
「え、エキパイが持っていかれたにゃぁああ!!」
ヒヨりんは涙で顔をぐちゃぐちゃにさせて、ぎちぎちと歯を食いしばっている。
:すっげええええwww
:ヒヨりん、彼女もまた――エンタメの天才
大鬼はターゲットを切り替えたらしい。
ヒヨりんもろともすり潰す気だ。
「な、なんで……なんでっ」
「なんでもくそもないのにゃッ! 今日改めて確認したにゃ……。お前は、天才にゃッ!」
――俺の人生、ずっとこれ?
燻っていた。底辺で、ずっと。諦めていた。変わらない未来を嘆いて、ずっと。毎日同じ日々の繰り返し。ゴブリンにすら勝てず、何度だって泣き腫らした。
そんな俺が……天才?
涙がこぼれる。嘘だ。違う。結局、ダメだったじゃないか。……俺には、結局っ。
「君はッ! ここで、きっと、死んじゃいけない存在なのにゃッ!」
「俺は……俺は、別にっ」
「君はこれから……大鬼も倒さないといけないにゃ! びっくりしちゃうような格上を殺して、誰にもできないことをしなくちゃいけないのにゃッ! ミノタウロスも、ドラゴンも! ヒヨりんの目は絶対にゃ! だから間違うはずがないにゃ! お前は……君は……天才にゃッ!」
――俺、こと稲葉蒼汰は、モブキャラだ。
相手が自分より強いだけで、ヘラヘラ笑って媚びを売るような。才能なしの、口だけのゴミクズ。
そうだっけ?
違う。そうだ。思い出した。
俺は……俺は――
「だから、こんなところで――」
大鬼が棍棒を振り上げる。ヒヨりんは咄嗟にハンドルを右にきると、叫んだ。
「――死なせて、たまるかにゃぁあぁああああ!」
俺は――誰にも追いつけない、脚力の天才だ。
「あと250m……いや、200m運んでくれ、ヒヨりん」
「えっ? じゃ、じゃあっ」
「そこからなら……追いつける。右に三秒ハンドルを切れ。棍棒が来る」
「え、え、え!?」
困惑するヒヨりんが指示通りに行動する。と、簡単に振り下ろされた棍棒が虚を捉えた。
「安心しろ。……俺の指示どおりに動かせば、絶対に捕まらない」
「……お前、キャラ変わったにゃ?」
【あとがき】
Q主人公、そんなに足速いなら他にも稼ぐ道あったんじゃないの?
A理由は様々で、1.足にまつわるトラウマを抱えているため、2.素の人間のステータスを遥かに凌駕する冒険者の登場により、一般人の”身体能力”があまり評価されなくなったため、3.短期間で1億も稼げないため、などが理由にあげられます。
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