侯爵令嬢は婚約者(仮)がお嫌い

ハシモト

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第1章

11話、男心 (ネヴィル視点)

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自室に戻ったはいいが、僕はついさっき彼女に会ってしまったことで、会いたい衝動と言うものに歯止めがきかなくなっていた。

長年愛するものが、目の前にいた。その事実に顔が緩む。

夕食時になると、父も仕事から戻り、家族で食卓を囲んだ。終始ボーッとする僕に父はどうしたのかと、不思議がっている様であった。

「ネヴィル、何かあったのか?」

「ロード様、本人には聞かないであげてくださいまし、野暮ですわ。えーっと実は、、」

母はコソコソと父に耳打ちをする。父は静かに母の言葉に耳を傾けた後、僕に眉を八の字にして何とも言えない表情を向けた。

「お前、名乗りもしなかったのかい?名乗れば彼女もお前の事を分かったろうに。」

「いや…そんな暇さえなかった。それに名乗ったところできっと拒絶されるに決まっている…。」

「はは、それもそうだな。」

では何で仮とは言え婚約を結んだんだ…。と突っ込みたくなる気持ちを抑える。

「まあ、お前の男心も分からんこともない。まぁ、せいぜい頑張るんだな。」

父はグラスに注がれたワインを飲み干して、椅子から立ち上がると、去り際に僕の肩を一つ叩いて書斎に戻って行った。

「男心は知りませんが。私がまたあなたを殴ってしまう前に何とかしてくださいね。」

(恐ろしい事を言うな…。)

僕がボサッとしているうちに、母も気付けば食事を終えた様で、父の後を追って食堂を去っていった。

食事は半分も終えていない。どうしても別のことを考えてしまのだ。

彼女に会いたい。彼女がすっごく好きだ。

それだけが今の僕の心と頭を動かす。

彼女の顔が見たい。

僕はその一心で行動に起こすための準備を始めた。



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