侯爵令嬢は婚約者(仮)がお嫌い

ハシモト

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第1章

10話、マリーの鉄槌(ネヴィル視点)

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僕が公爵邸に戻ると、何を期待しているのか玄関先で母、マリーと使用人が僕の帰りをそわそわと待っていたようだ。

「ただいま戻りました。」

「ああ、ネヴィル、おかえりなさい。どうでしたか?シルフィに久々に会えましたか?」

「……」

「どうしたんです?」

「彼女は、僕の事を憶えていませんでした…。」

小さな声でそう伝えると、母と母の周囲の使用人達はカッと目を見開いた。

「そ、それはあなたが嫌いで憶えていないと嘘をついなのではなくて?」

「き、きらい…。いえ、多分あれは本当に憶えていないようでした…。」

母はふらりと地面にへたり込んだ。

「奥様ー!!お気を確かに!!」

僕は何を見せられているのだろう…。
手の甲をおでこに当てメイドに肩を支えられている母を見てそう思った。

「い、いえ。大丈夫よ。少し気が動転しただけですもの…。」

いつもの癖だ。母は顎に手をやりぶつぶつと独り言を言い始めた。

「母さん、いい加減にしてくれ。僕には僕のペースがある。」

「僕には僕のペース??」

ゆらりと立ち上がる母に危険を感じた。その強く握られた握り拳はプルプルと震えているのだから。

「元はと言えばあんたがあの子に意地悪するからでしょーがぁーー!!!フツーここまでこじれないわよー!!!」

バン!!!

母の強烈な殴りは僕の鳩尾に入る。意識が飛びかけるがなんとか耐えた。
それより使用人、見守らず母の暴走を止めてくれよ。

「ネヴィル!!!どうにかしなさい早急に!!お母さん、情けないです!!それにお嫁さんにはシルフィしか認めませんから!!何とかして手に入れなさいよ!!」

(あ、相変わらずだ。シルフィは母によっぽど好かれているな…。)

ふんっ!ときびを返して、プンスカと母は部屋に戻って行った。

「坊ちゃん…向こうのお嬢様が憶えていらっしゃらなかったなんて、、お気の毒です…。私達何と申せば良いか…。」

すごく使用人達に哀れみの目で見つめられるのだが…。

「僕だって、このまま忘れられたままでいる気はないさ。」

顔を背けて呟くようにそう言えば、使用人達一同、僕の事を好奇の目で見つめてくる。
ちょくちょく、泣いている奴や、成長なさった…。昔もこの様であれば…。などと言っている奴もいるが、それは余計なお世話だと少し気恥ずかしさが込見上げる。

僕はそれを使用人達に気づかれないよう部屋に戻ると残し自室に戻った。
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