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第1章
18話、庭師のヴィル2
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「俺が本当に分からないのか?」
「あなたは庭師なのでしょう?違うのですか?」
「しっかりと、よーく、俺の顔を見ろ。」
「はあ、、」
この男の顔になにがあると言うのか。
言われた通りじっくりと顔を拝借するが何かあるわけでもなく、首を傾げてしまう。
「わからん、か…。」
私が何を知っていると言うのか。
明らかな落胆を見せる庭師に申し訳なさを感じないこともないが、それよりだ、陽が落ちてから大分経つ。忘れ物を見つけ次第、速やかにお引き取りを願おう。
「そう言えば、忘れ物は見つかりましたの?」
「あ、ああ、いや、まだだ。」
なんと。こんな夜に探しに来るぐらいだ。随分と大切にしていたものに違いない。
「それは大変ですわ。ですが暗闇の中で探すのは骨が折れると言うもの。もし良かったら私が朝一番に探して貴方の元に届けますわよ。」
「必要ない、じ、自分で見つける。見つけたいのだ!」
「ですが、、」
「本当に必要ない!気にするな!」
庭師はそう言ってあまりにも強く押し切るため、それならと、私はコクコクと頷いた。
「ですが、今日のところはお引き取りを。時間も時間です、夜道は危険ですわ。」
「あ、ああ、また日を改めよう。」
ええ、と返事をしようとしたところ、随分遅れてある事に気付いた。
「貴方、私に敬語を使わないんですわね。」
「あ…。」
目の前の彼は私の発言に硬直した。
その、しまったといったような顔から、私は自分の発言が誤解を招くものだと見受け、すぐにそれを言い直した
「そんなに固まらないで下さいまし。別に怒るとかではなくってよ。ただ、私と対等に話してくださる方がお兄様以外いなかったから少し友達のようで嬉しかったのですわ。」
そう言うと、庭師はあからさまにホッとした表情を見せ安堵したように見えた。
「それに、あまりに自然と貴方にその口調が合ってたから気にならなかったのです。」
「……」
(?、また、固まってしまったわ。)
ホッとした表情から一転、庭師は顔を強張らせたのだ。
彼の真意までわからないが本当に表情に出やすい人だと微笑が漏れる。
「ふふふっ、貴方面白いですわ。」
「お、お嬢様。それでは、お、僕はこれで…。夜分に失礼イタシマシタ。」
「ふ、ふふふっ、あはははっ!何故なのかしら、貴方には敬語が似合わ無いんですのね。」
大笑いする私に庭師は驚いた後、その身体は思いっきり背けられ、私からは一定の距離を取り、ベランダの手すりを握り拳で何度もトントンと叩いていた。
その謎の行動は更に笑いを誘うものであったが、ふとガラス張りが目に入り、自分が大笑いしている様子が映り込んだことで、なんてお下品な笑い方をしているのかと恥ずかしくなった。
取り敢えず私は気を取り直そうと一つ咳をつく。
「コホン、庭師さん。これから一切敬語は不要ですわ。あの、また来て下さるんでしょう?」
庭師は背けた身体をこちらに戻し、敬語は直ぐに断念したようでさっきの口調に戻した。
「ああ、明日にでも、いや、これから毎日。」
少し彼の頬が赤らんでいる気もするが暗闇で判別がつか無いため、私の気のせいだろう。
「毎日ですか?庭師の仕事はそんなに大変なのですか?」
「あ、ああ、まあな!」
(大変…。でも毎日いらっしゃるのね…。それなら私にも少し可能性があるのかしら…。でも、、、いえ、ここで引いては女が廃るというもの!)
「では、あの、少し恥ずかしいのですが、、」
(少しもじもじとしてしまい、言い出しにくくなる。こんなことを言うのは迷惑ではないだろうか…。いえ、ここで言わなければ!私の意気地なし!きっとこれが最後のチャンスなんですわ、当たって砕けろ!)
「あなたは庭師なのでしょう?違うのですか?」
「しっかりと、よーく、俺の顔を見ろ。」
「はあ、、」
この男の顔になにがあると言うのか。
言われた通りじっくりと顔を拝借するが何かあるわけでもなく、首を傾げてしまう。
「わからん、か…。」
私が何を知っていると言うのか。
明らかな落胆を見せる庭師に申し訳なさを感じないこともないが、それよりだ、陽が落ちてから大分経つ。忘れ物を見つけ次第、速やかにお引き取りを願おう。
「そう言えば、忘れ物は見つかりましたの?」
「あ、ああ、いや、まだだ。」
なんと。こんな夜に探しに来るぐらいだ。随分と大切にしていたものに違いない。
「それは大変ですわ。ですが暗闇の中で探すのは骨が折れると言うもの。もし良かったら私が朝一番に探して貴方の元に届けますわよ。」
「必要ない、じ、自分で見つける。見つけたいのだ!」
「ですが、、」
「本当に必要ない!気にするな!」
庭師はそう言ってあまりにも強く押し切るため、それならと、私はコクコクと頷いた。
「ですが、今日のところはお引き取りを。時間も時間です、夜道は危険ですわ。」
「あ、ああ、また日を改めよう。」
ええ、と返事をしようとしたところ、随分遅れてある事に気付いた。
「貴方、私に敬語を使わないんですわね。」
「あ…。」
目の前の彼は私の発言に硬直した。
その、しまったといったような顔から、私は自分の発言が誤解を招くものだと見受け、すぐにそれを言い直した
「そんなに固まらないで下さいまし。別に怒るとかではなくってよ。ただ、私と対等に話してくださる方がお兄様以外いなかったから少し友達のようで嬉しかったのですわ。」
そう言うと、庭師はあからさまにホッとした表情を見せ安堵したように見えた。
「それに、あまりに自然と貴方にその口調が合ってたから気にならなかったのです。」
「……」
(?、また、固まってしまったわ。)
ホッとした表情から一転、庭師は顔を強張らせたのだ。
彼の真意までわからないが本当に表情に出やすい人だと微笑が漏れる。
「ふふふっ、貴方面白いですわ。」
「お、お嬢様。それでは、お、僕はこれで…。夜分に失礼イタシマシタ。」
「ふ、ふふふっ、あはははっ!何故なのかしら、貴方には敬語が似合わ無いんですのね。」
大笑いする私に庭師は驚いた後、その身体は思いっきり背けられ、私からは一定の距離を取り、ベランダの手すりを握り拳で何度もトントンと叩いていた。
その謎の行動は更に笑いを誘うものであったが、ふとガラス張りが目に入り、自分が大笑いしている様子が映り込んだことで、なんてお下品な笑い方をしているのかと恥ずかしくなった。
取り敢えず私は気を取り直そうと一つ咳をつく。
「コホン、庭師さん。これから一切敬語は不要ですわ。あの、また来て下さるんでしょう?」
庭師は背けた身体をこちらに戻し、敬語は直ぐに断念したようでさっきの口調に戻した。
「ああ、明日にでも、いや、これから毎日。」
少し彼の頬が赤らんでいる気もするが暗闇で判別がつか無いため、私の気のせいだろう。
「毎日ですか?庭師の仕事はそんなに大変なのですか?」
「あ、ああ、まあな!」
(大変…。でも毎日いらっしゃるのね…。それなら私にも少し可能性があるのかしら…。でも、、、いえ、ここで引いては女が廃るというもの!)
「では、あの、少し恥ずかしいのですが、、」
(少しもじもじとしてしまい、言い出しにくくなる。こんなことを言うのは迷惑ではないだろうか…。いえ、ここで言わなければ!私の意気地なし!きっとこれが最後のチャンスなんですわ、当たって砕けろ!)
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