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第1章
20話、期待(ネヴィル視点)
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僕にはどうしても確認すべき大切な事があった。今後の自分の身の振り方に関わる事だ。そのために彼女を引き止め答えを問う。
「僕が本当に分からないのか?」
これを問うことも何回あったろう。しつこいぐらいに違いない。だか今、この真意は別のところにある。
「あなたは庭師なのでしょう?違うのですか?」
「しっかりと、よーく、僕の顔を見ろ。」
「はあ、、」
シルフィは僕の顔をじっくりと見つめる。しかし、何があるのかわからないと言ったように可愛らしくこてんと首を傾げたのだ。
「わからん、か…。」
確かに真意は別のところにある。
あるのだが、心の片隅でみっともなく、諦め悪くも何か期待していた自分がいた。
それは見事に打ち砕かれることになったが、ようやく諦めがついたのだ。
して、真意と言うのは、僕を今一度じっくり見て本当に分からないのなら、これから彼女に会う時、ネヴィルとしての行動をとらず、庭師としての行動がとれる、いわば、ネヴィルと言うトラウマを忘れてもらって庭師として今の自分を見てもらえると言ったものだ。
今までシルフィが僕を思い出せないことに、勝手ながらも精神的ダメージを食らっていたが、裏を返せばそれはなんとも都合がいい案件ではある。
「そう言えば、忘れ物は見つかりましたの?」
「あ、ああ、いや、まだだ。」
(そう言えばそんなこと言ったな僕…。)
勿論、忘れ物など鼻からの嘘である。彼女が心配して言ってくれているようであったため、多少の罪悪感で心が痛い。
「それは大変ですわ。ですが暗闇の中で探すのは骨が折れると言うもの。もし良かったら私が朝一番に探して貴方の元に届けますわよ。」
届ける?まずそんなものは存在しないし、あったとしても僕の元に届けるとしたらハーフォード公爵家に届けることである。それは何としても避けなければいけない。僕は彼女の前で庭師としての仮面をかぶると決めたのだから。
「必要ない、じ、自分で見つける。見つけたいのだ!」
「ですが、、」
「本当に必要ない!気にするな!」
ここは強く押し切り頷きさせた。
「ですが、今日のところはお引き取りを。時間も時間です、夜道は危険ですわ。」
確かに時間も時間。大体こんな時間に訪れて失礼以外の何物でもないが…。
「あ、ああ、また日を改めよう。」
(今日のところは彼女の顔が見れたから上出来だろう。そろそろ頃合いか…。)
きびを返しかけた時である。
「貴方、私に敬語を使わないんですわね。」
「あ…。」
僕ときたら初歩的な失態を…。
シルフィのことになると途端にポンコツになるとロバートによく言われたものだが、今であればそれにも頷ける。
「そんなに固まらないで下さいまし。別に怒るとかではなくってよ。ただ、私と対等に話してくださる方がお兄様以外いなかったから少し友達のようで嬉しかったのですわ。」
気にしてない?普通に考えて庭師が侯爵令嬢にタメ口を使えば首刎ねものだが、彼女はそうでもないらしい。庭師ではないだろうと疑われる心配もなく安堵した。
「それに、あまりに自然と貴方にその口調が合ってたから気にならなかったのですわ。」
「……」
(見抜かれてるじゃないか…。)
身についたものは取れないらしい。今回は自分の態度のでかさに助けられた。
見破られるのも時間の問題だったりするのだろうか?
これは早々に退散だな。
「お、お嬢様。それでは、お、僕はこれで…。夜分に失礼イタシマシタ。」
「ふ、ふふふっ、あはははっ!何故なのかしら、貴方には敬語が似合わ無いんですのね。」
こんなに笑う彼女を見るのは初めてだ…。普段口元に手をやり上品に笑う彼女ではない。
そのなんと可憐なことか。普段のはかなげな美しさから一変、年相応な笑顔で可愛らしくも屈託無く笑うのだ。
僕が直で食らって耐えられる訳がない。
その胸の高鳴りを抑えるため、僕はベランダの手すりを握り拳で何度も叩き、行き場のないこの想いをなんとか逃す。
僕はシルフィの知らない一面を知れたことに高揚感が増したのだ。しかし同時にネヴィルに向けられたものではないことに落胆もする。
(全く、庭師の僕には嫉妬してしまう。)
「コホン、庭師さん。これから一切敬語は不要ですわ。あの、また来て下さるんでしょう?」
「ああ、明日にでも、いや、これから毎日。」
顔の熱が下がらない。こんな顔を彼女に見せたくないのに。
夜風が肌に掠める。
「毎日ですか?庭師の仕事はそんなに大変なのですか?」
「あ、ああ、まあな!」
咄嗟に出た多忙設定。しかしこれで侯爵邸に来やすくなったというもの。
「では、あの、少し恥ずかしいのですが、、」
(何故そこでもじもじするんだ…。)
ぶっちゃけ可愛すぎて死にかけだが、そこはグッと堪え、その言葉がどこに行き着くのかを早鐘と一緒に見守る。
「な、なんだ…。」
「お友達になってくださいまし!!」
「え。」
「私、あまり家から出たことがなく、社交界も最低限のものでしたのでお友達がいないのですわ!それで、貴方でしたら私に気を遣いませんし、良きお友達になれると思うんですの!」
……いや、分かっていた。わかっていたとも。万一でもそんな事はないと。でも男なら都合の良いように考えを持っていく事はあるに違いない。
しかし本当にこれは堪える…。
「如何なさいましたの?御気分が優れ無いのですか?」
「何でもない…。都合よく考えた僕の頭に気分を悪くした。気にするな。」
本当にここまで思い通りにいかないのは、シルフィに関わることだけだ。なんでこうも僕が知らない感情を引き出してくれるのだろう。
「で、お友達になって下さるんですの??」
若干食い気味の彼女に応えてやらない道理はない。
「友達…ね。まぁ、なってやらんこともない。」
偉そうな口ぶりが出てしまうのは許してほしい。
まだ何処かで素直になることを拒む自分がいるのだ。
シルフィはそんな事を歯牙にもかけていないようで安心するが、いつか乗り越えるべき壁だ。
「言いましたわね??後で、前言撤回など受け付けませんことよ?」
「ああ、」
シルフィは僕の言葉一つで頬を緩ませ、今にも踊り出しそうになっていた。
「あの、一つお伺いしてもよろしいですの?」
「なんだ?」
「お名前を教えていただきたいのです。庭師さんでは言い難いのですわ。」
(名前か…。考えていなかったな。)
少し戸惑ってしまうが、ネヴィルのネを取ってヴィルと言うのはどうだろうか?安直だが、全く知らぬ名よりかは、呼ばれて振り向きやすい名の方がいいと思ったのだ。
「僕の名前は…、ヴィル、だ。」
「ヴィル様、ですか?」
「そうだ。」
本名に近い形で決めたヴィルという名。
呼ばれる度に心臓が波打つ事を、計算として入れていなかった。
「ふふっ、ヴィル様ですか。家に勤めているのです。私の事はご存知なのでしょうけど、一応挨拶させていただきますわね。」
シルフィはそう言うと、しなやかに美しいカーテシーをとった。
「侯爵家が長女、シルフィ・キャメロットに御座います。末永くよろしくお願い致しますわね、ヴィル様。」
~~~~~~
「坊ちゃん、ご無事でしたか!わたしめ心配で気が気ではなかったですよ!!」
「の、割には随分と呑気に寝てたもんだな…。」
僕はあれからシルフィと別れた後、隠し通路をまた使い、侯爵邸を出た。
そしてしばらく歩いた先に馬車を見つけたのだ。
うちの馬車にしては些か地味だと横を通り過ぎそうになったが、中でロバートがぐーすかと呑気に寝ているのを見つけて思いっ切り扉を開き、冷たい風をしこたま流し込んでやってる次第なのだ。
「いや、でもちゃんと馬車を用意して待っていた事は褒めて欲しい限りです!」
「む、確かに。お前にしては気が回った方だな。」
「でしょう!!寒い寒い!早くその扉閉めてください!!」
一瞬そのまま流れで扉を閉めかけたが、いや、おかしいだろと、閉じかけた扉を全開にする。
「ロバート!お前、僕に御者の真似事をしろと言うのか!!」
「冗談ですよ!じょうだん!ったく人使い荒いんだから…。」
ぶつくさと文句を言うロバートを馬車から下ろし、僕はその中に入った。
「坊ちゃん、その顔からして何か良いことでもありましたか?」
ニッと笑うロバートには僕の様子がお見通しのようだ。
「言うまでもない…。それより急いで馬車を走らせろよ。」
「へいへい。」
ロバートが御者の椅子に座り、馬車を走らせた。それにガタゴトと揺られ、僕は公爵邸への家路を窓の外を眺めながら辿った。
「僕が本当に分からないのか?」
これを問うことも何回あったろう。しつこいぐらいに違いない。だか今、この真意は別のところにある。
「あなたは庭師なのでしょう?違うのですか?」
「しっかりと、よーく、僕の顔を見ろ。」
「はあ、、」
シルフィは僕の顔をじっくりと見つめる。しかし、何があるのかわからないと言ったように可愛らしくこてんと首を傾げたのだ。
「わからん、か…。」
確かに真意は別のところにある。
あるのだが、心の片隅でみっともなく、諦め悪くも何か期待していた自分がいた。
それは見事に打ち砕かれることになったが、ようやく諦めがついたのだ。
して、真意と言うのは、僕を今一度じっくり見て本当に分からないのなら、これから彼女に会う時、ネヴィルとしての行動をとらず、庭師としての行動がとれる、いわば、ネヴィルと言うトラウマを忘れてもらって庭師として今の自分を見てもらえると言ったものだ。
今までシルフィが僕を思い出せないことに、勝手ながらも精神的ダメージを食らっていたが、裏を返せばそれはなんとも都合がいい案件ではある。
「そう言えば、忘れ物は見つかりましたの?」
「あ、ああ、いや、まだだ。」
(そう言えばそんなこと言ったな僕…。)
勿論、忘れ物など鼻からの嘘である。彼女が心配して言ってくれているようであったため、多少の罪悪感で心が痛い。
「それは大変ですわ。ですが暗闇の中で探すのは骨が折れると言うもの。もし良かったら私が朝一番に探して貴方の元に届けますわよ。」
届ける?まずそんなものは存在しないし、あったとしても僕の元に届けるとしたらハーフォード公爵家に届けることである。それは何としても避けなければいけない。僕は彼女の前で庭師としての仮面をかぶると決めたのだから。
「必要ない、じ、自分で見つける。見つけたいのだ!」
「ですが、、」
「本当に必要ない!気にするな!」
ここは強く押し切り頷きさせた。
「ですが、今日のところはお引き取りを。時間も時間です、夜道は危険ですわ。」
確かに時間も時間。大体こんな時間に訪れて失礼以外の何物でもないが…。
「あ、ああ、また日を改めよう。」
(今日のところは彼女の顔が見れたから上出来だろう。そろそろ頃合いか…。)
きびを返しかけた時である。
「貴方、私に敬語を使わないんですわね。」
「あ…。」
僕ときたら初歩的な失態を…。
シルフィのことになると途端にポンコツになるとロバートによく言われたものだが、今であればそれにも頷ける。
「そんなに固まらないで下さいまし。別に怒るとかではなくってよ。ただ、私と対等に話してくださる方がお兄様以外いなかったから少し友達のようで嬉しかったのですわ。」
気にしてない?普通に考えて庭師が侯爵令嬢にタメ口を使えば首刎ねものだが、彼女はそうでもないらしい。庭師ではないだろうと疑われる心配もなく安堵した。
「それに、あまりに自然と貴方にその口調が合ってたから気にならなかったのですわ。」
「……」
(見抜かれてるじゃないか…。)
身についたものは取れないらしい。今回は自分の態度のでかさに助けられた。
見破られるのも時間の問題だったりするのだろうか?
これは早々に退散だな。
「お、お嬢様。それでは、お、僕はこれで…。夜分に失礼イタシマシタ。」
「ふ、ふふふっ、あはははっ!何故なのかしら、貴方には敬語が似合わ無いんですのね。」
こんなに笑う彼女を見るのは初めてだ…。普段口元に手をやり上品に笑う彼女ではない。
そのなんと可憐なことか。普段のはかなげな美しさから一変、年相応な笑顔で可愛らしくも屈託無く笑うのだ。
僕が直で食らって耐えられる訳がない。
その胸の高鳴りを抑えるため、僕はベランダの手すりを握り拳で何度も叩き、行き場のないこの想いをなんとか逃す。
僕はシルフィの知らない一面を知れたことに高揚感が増したのだ。しかし同時にネヴィルに向けられたものではないことに落胆もする。
(全く、庭師の僕には嫉妬してしまう。)
「コホン、庭師さん。これから一切敬語は不要ですわ。あの、また来て下さるんでしょう?」
「ああ、明日にでも、いや、これから毎日。」
顔の熱が下がらない。こんな顔を彼女に見せたくないのに。
夜風が肌に掠める。
「毎日ですか?庭師の仕事はそんなに大変なのですか?」
「あ、ああ、まあな!」
咄嗟に出た多忙設定。しかしこれで侯爵邸に来やすくなったというもの。
「では、あの、少し恥ずかしいのですが、、」
(何故そこでもじもじするんだ…。)
ぶっちゃけ可愛すぎて死にかけだが、そこはグッと堪え、その言葉がどこに行き着くのかを早鐘と一緒に見守る。
「な、なんだ…。」
「お友達になってくださいまし!!」
「え。」
「私、あまり家から出たことがなく、社交界も最低限のものでしたのでお友達がいないのですわ!それで、貴方でしたら私に気を遣いませんし、良きお友達になれると思うんですの!」
……いや、分かっていた。わかっていたとも。万一でもそんな事はないと。でも男なら都合の良いように考えを持っていく事はあるに違いない。
しかし本当にこれは堪える…。
「如何なさいましたの?御気分が優れ無いのですか?」
「何でもない…。都合よく考えた僕の頭に気分を悪くした。気にするな。」
本当にここまで思い通りにいかないのは、シルフィに関わることだけだ。なんでこうも僕が知らない感情を引き出してくれるのだろう。
「で、お友達になって下さるんですの??」
若干食い気味の彼女に応えてやらない道理はない。
「友達…ね。まぁ、なってやらんこともない。」
偉そうな口ぶりが出てしまうのは許してほしい。
まだ何処かで素直になることを拒む自分がいるのだ。
シルフィはそんな事を歯牙にもかけていないようで安心するが、いつか乗り越えるべき壁だ。
「言いましたわね??後で、前言撤回など受け付けませんことよ?」
「ああ、」
シルフィは僕の言葉一つで頬を緩ませ、今にも踊り出しそうになっていた。
「あの、一つお伺いしてもよろしいですの?」
「なんだ?」
「お名前を教えていただきたいのです。庭師さんでは言い難いのですわ。」
(名前か…。考えていなかったな。)
少し戸惑ってしまうが、ネヴィルのネを取ってヴィルと言うのはどうだろうか?安直だが、全く知らぬ名よりかは、呼ばれて振り向きやすい名の方がいいと思ったのだ。
「僕の名前は…、ヴィル、だ。」
「ヴィル様、ですか?」
「そうだ。」
本名に近い形で決めたヴィルという名。
呼ばれる度に心臓が波打つ事を、計算として入れていなかった。
「ふふっ、ヴィル様ですか。家に勤めているのです。私の事はご存知なのでしょうけど、一応挨拶させていただきますわね。」
シルフィはそう言うと、しなやかに美しいカーテシーをとった。
「侯爵家が長女、シルフィ・キャメロットに御座います。末永くよろしくお願い致しますわね、ヴィル様。」
~~~~~~
「坊ちゃん、ご無事でしたか!わたしめ心配で気が気ではなかったですよ!!」
「の、割には随分と呑気に寝てたもんだな…。」
僕はあれからシルフィと別れた後、隠し通路をまた使い、侯爵邸を出た。
そしてしばらく歩いた先に馬車を見つけたのだ。
うちの馬車にしては些か地味だと横を通り過ぎそうになったが、中でロバートがぐーすかと呑気に寝ているのを見つけて思いっ切り扉を開き、冷たい風をしこたま流し込んでやってる次第なのだ。
「いや、でもちゃんと馬車を用意して待っていた事は褒めて欲しい限りです!」
「む、確かに。お前にしては気が回った方だな。」
「でしょう!!寒い寒い!早くその扉閉めてください!!」
一瞬そのまま流れで扉を閉めかけたが、いや、おかしいだろと、閉じかけた扉を全開にする。
「ロバート!お前、僕に御者の真似事をしろと言うのか!!」
「冗談ですよ!じょうだん!ったく人使い荒いんだから…。」
ぶつくさと文句を言うロバートを馬車から下ろし、僕はその中に入った。
「坊ちゃん、その顔からして何か良いことでもありましたか?」
ニッと笑うロバートには僕の様子がお見通しのようだ。
「言うまでもない…。それより急いで馬車を走らせろよ。」
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ロバートが御者の椅子に座り、馬車を走らせた。それにガタゴトと揺られ、僕は公爵邸への家路を窓の外を眺めながら辿った。
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