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1 約束
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「あの……セラ様?」
元々は王国の騎士だった彼。
ある日、世界の魔物を統べるという『魔王』という存在が現れた。
強大な魔力と統率力を持つ相手に、彼は己の使命であるといわんばかりに、王国を離れ、仲間を募り。
そして、世界を救った。
「アリア様、ようやくだ」
「え?」
ようやく、なに?
獣を思わせるようなそのまなざしが熱い。
その意味を知っているからこそ、私は視線を逸らさずにはいられなかった。
「約束。やっと……果たせる」
「あれは……」
『子供の戯言』なのに。
国を思えば、そう言わなければならないのに。
鉛のように重たく、冷たいその言葉がでてこない。
「セラ様、私はーー」
「セラと。昔のように呼んでくれ」
さすがに勇者に対してまで監視はつけないのか。
それとも私への警護など不要というのか。
不思議なほど人気のないこの場で、……セラは、やさしく私の体を包み込んだ。
「どうして」
どうして?
「私は、だって」
あなたに何もあげれない。
国も、権力も、おそらくは財産も。
なにせ母は、平民である城の使用人だったのだ。
「私の主はあの日から貴女だけ。どうか、目をそらさないで」
「セラ……」
あの日。
私とあなたの、約束。
どうして、忘れてしまわなかったの……?
元々は王国の騎士だった彼。
ある日、世界の魔物を統べるという『魔王』という存在が現れた。
強大な魔力と統率力を持つ相手に、彼は己の使命であるといわんばかりに、王国を離れ、仲間を募り。
そして、世界を救った。
「アリア様、ようやくだ」
「え?」
ようやく、なに?
獣を思わせるようなそのまなざしが熱い。
その意味を知っているからこそ、私は視線を逸らさずにはいられなかった。
「約束。やっと……果たせる」
「あれは……」
『子供の戯言』なのに。
国を思えば、そう言わなければならないのに。
鉛のように重たく、冷たいその言葉がでてこない。
「セラ様、私はーー」
「セラと。昔のように呼んでくれ」
さすがに勇者に対してまで監視はつけないのか。
それとも私への警護など不要というのか。
不思議なほど人気のないこの場で、……セラは、やさしく私の体を包み込んだ。
「どうして」
どうして?
「私は、だって」
あなたに何もあげれない。
国も、権力も、おそらくは財産も。
なにせ母は、平民である城の使用人だったのだ。
「私の主はあの日から貴女だけ。どうか、目をそらさないで」
「セラ……」
あの日。
私とあなたの、約束。
どうして、忘れてしまわなかったの……?
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