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しおりを挟む「マコト!」
思わず、マコとは呼ばず。
「なんだよ、いきなし」
手の甲についたクリームをペロッと舌を出し舐めた。
猫みたいな奴。
「お前、なに言いふらしてんだよ!」
「別に大した事ないじゃん?客との事なんだし」
ぐうの音も出ない。
けれど、胸につかえる何かがあった。
ひと月も手を出さないでいてくれた人は今まで1人もいなかったから。
「てかさ、カイにいいもんあげる」
シュンが雑誌みたいのを渡してくれた。
「いつも食いもんやらなんやら貰ってるお礼。とマコ、無神経なとこあるから、そのお詫び」
「なにそれー!」
と、マコト、否、マコが反論。
俺は雑誌を見た。
「ラーメン...あと読めない」
漢字が苦手だった。
「ラーメン特集、な」
と、タクマが教えてくれた。
「ラーメン...?」
「教えない方がいいんじゃ?外のこととか...」
とエイジ。
外のこと...。
マンションはいつもカーテンが閉まってる。
1度、昔に開けたら、ビルの壁だったから...。
こんなものか、としか思ってはいなかった。
「美味しそう...?に見える」
「ほらな」
エイジがまた言った。
「なんだよ、カイは一生、外がどんなか、知らずに死ね、て事かよ」
シュンが怒った。
「そうは言わないけど...」
俺はパラパラ、雑誌を捲るうちに...興味が沸いた。
雑誌を持ち、父さんの部屋を開けた。
「父さん!見てみて!」
「なんだ、カイ、びっくりさせるな」
父さんはベッドに横になり、テレビを見ていた。
テレビは外の様子。
益々、俺はマンションの外に興味が増した。
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