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第28話
しおりを挟む試合が終わり、使った場所の整備を爺ちゃんの魔法でパパッと終わらせた俺達は、朝早くからここに来て俺の実力も分かって時間が余ってしまい何をするか考えていた。
「そうだね。クリフは、王都この間来たばっかりだろ? 王都の街の中、案内しようか?」
「あっ、じゃあ、お願い。俺も街の中見て回りたかったんだよ。この間は、父さん達にバレないように行動してたから路地裏しか通らなかったし」
「そうじゃったな、儂の場合、王都には何度も来たことがあるから気にしていなかったよ」
そうして、次の目的が決まった俺達は、使った建物から出て門の所まで戻って来て、門番の人に「ありがとう」と言って敷地内から出て行き街の方へと向かった。
向かっている途中で、俺はある事を思い出した。
「そう言えば、あの【悪魔】に取りつかれていた父さんの奥さんはどうしてるの?」
「ああ、今はちょっと実家の方で休んでいるよ。意識は7日前に戻ったんだけど、色々とあったから相当、混乱してるようなんだ。一応、クリフにはまだ紹介してないから、分かりやすく言えば、クリフのお兄さん達が看病してるんだよ。私も、行ける日は行ってるんだけど、なんせ数年間【悪魔】に取りつかれていたからね。まだ、ちょっと時間がかかりそうみたいなんだよ」
「そうなんだ。俺でも、精神を安定させる魔法は持ってないしな……爺ちゃんとか、持ってそうだけど?」
「儂は、攻撃専門じゃ、リサラも儂と同じ攻撃職じゃよ」
「分かってたけど、聞いた意味無かったな」
「……ああ、そう言えば、リーラが回復系の魔法が上手かった気がするのう」
リーラ? って、ああ婆ちゃんの名前か、起きてから婆ちゃんの姿を見てないから一瞬忘れてしまっていた。
「そう言えば、婆ちゃん何処に行るの?」
「それが、リサラとテーラ嬢は、クリフが倒れたと聞いて早馬で来たらしいんじゃが、リーラの事気にしてなかったようで、多分別荘の家に居ると思う」
「婆ちゃん、可哀想……って、婆ちゃんの魔法で少しは楽になるんじゃないの?」
「そうだね。義父さん、義母さんを連れて来れますか?」
「う~む、儂の予想なんじゃが1人で取り残されてる事に気づいていたら、里の方に帰ってそうなんじゃよな……」
爺ちゃんのその言葉を聞き、父さんは「ここから、里は少し遠いですから行き帰りで時間が掛かってしまいますね」と言った。
「いや、爺ちゃんの召喚獣とか父さんの、ほらっ乗って来たドラゴンとか使えば一瞬で迎えに行けるでしょ」
「いや、それがのう。儂の召喚獣共、儂が長い間放置してたせいでボイコットしてるんじゃよ。ファリル達は、ボイコットしてる召喚獣に捕まっていて、召喚出来ないんじゃ」
「私の召喚獣も今は、少し急用があると言って動いてくれないんだよ」
大事な時に使えない、爺ちゃんと父さんを見て俺は溜息をついた。爺ちゃんに至っては、さっさと土下座でも何でもいいから召喚獣に謝ればいいだろうと思ったが、爺ちゃんは「奴等には、頭は下げとうない」と頑なに拒否してる。
「まあ、王都の奥さんは時間が経てば治るんでしょ? 暫くは、父さんもちゃんと見に行ってあげなよ。母さんの方は、俺が何とかしてあげるから」
「ありがとう、クリフ」
「っと、そう言えばさ、この間の戦いの時に俺と一緒に居た兵士のクルディって人がさ、剣上手く使えないみたいなんだけど、他の武器使っても良いって許可出してくれない?」
「ん? 別に、剣に拘る必要はないよ? 私の場合、全武器が使えるけど、その中でも一番使ってるのが剣なだけで、他の武器も使って良いってなってるけど?」
「えっ? でも、クールベルト家って剣主体の兵士団じゃないの?」
「違うよ、ただ私が剣が好きなだけで他の武器も使って良いんだよ。う~ん、最近の若い兵士の中で時々、剣以外の方が上手く使えるのに何で剣しか使ってないの分からなかったけど、そんなのが出来てたのか、今度、会議を開かないとな」
と父さんは、胸ポケットから手帳を取り出し、それに何かを書いていた。まあ、これでクルディとの約束は守ったし良いかと思い。俺は、街の探索を楽しむことにした。
「本当に、賑やかな場所だな~」
「そうだね。この王都は、ここら周辺では一番多く色んな種族が暮らしてる街なんだよ」
「なるほどね。だから、人間以外の種族、獣人や精霊族、竜人が居たりするんだね」
その後、俺達は街の色んな場所を周り歩き、屋台で食べ物を買って食べ歩きしたりした。そして、歩いている途中、大きな看板に大きく書かれた文字を見て俺は足を止めた。
その看板に書かれていた文字は、【冒険者ギルド】と書かれていた。
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