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第1話:捨てられた真の聖女
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「リリアナ、君との婚約は破棄する」
アルトリア王国の謁見の間に、王太子エドワードの冷酷な声が響いた。
豪華なシャンデリアの光が、まるで私を嘲笑うように煌めいている。生まれ育った侯爵家を出て王宮にやってきたが、今日は処刑台のように感じられた。
私——リリアナ・フォレストは、アルトリア王国の侯爵令嬢として十八年を過ごしてきた。そして五年前から、王太子エドワードの婚約者として王室に仕えてきた。
それが今、一瞬にして終わりを告げようとしている。
「君の力は異常すぎて、国民が恐れている」
異常――。
その言葉が胸に突き刺さる。人を救うために神から授けられた力を、なぜそんな風に言われなければならないのだろう。
貴族たちのささやき声が、蜂の羽音のように耳に入ってくる。
「あの不気味な癒しの力よね」
「人間離れしているわ」
「セラフィナ様の方がよほど親しみやすい」
私は小さく唇を噛んだ。確かに私の治療魔法はハイレベルすぎるかもしれない。骨折も内臓損傷も、深い傷も、普通のヒールでは治すことのできない病やけがも完治させてしまう。でも、それがいけないことなの?
「リリアナ様」
不意に声をかけられ、振り返る。そこには涙を浮かべたセラフィナが立っていた。薄い金髪に緑の瞳、華奢な体躯の美しい少女。彼女こそが、私の婚約者を奪った張本人だった。
「私はただ...ただ皆様のお役に立ちたいだけなのに」
セラフィナが震え声で訴える。その声には計算された弱々しさがあった。
「リリアナ様の力は悪魔的です。私の中級ヒールなど、とても及びません。でも皆様が仰るように、私の力の方が人間らしくて安心できると...」
上手い演技だった。
セラフィナは意図的に声を震わせ、まるで私に脅かされている可憐な少女を演じている。周囲の貴族たちから「セラフィナ様、お気になさらず」「あなたこそ真の聖女です」という慰めの声が上がった。
私は拳を握りしめる。セラフィナの演技だということは分かっていた。でも、誰もそれに気づこうとしない。いや、気づかないふりをしているのかもしれない。
ふと、前世の記憶がよみがえる。
—------------------------------------------------------------------
現代日本の老人ホーム。くたびれた白い制服に身を包んだ田中美咲——それが前世の私だった。
「田中さん、また残業?体壊しちゃうよ」
同僚の心配そうな声が頭の中で響く。でも私は疲れ切った顔で笑って答えていた。
「大丈夫です。おじいちゃん、おばあちゃんたちが困ってしまいますから」
月三百時間を超える勤務。十分な睡眠も取れない日々。それでも続けられたのは、入居者みんなの笑顔があったからだった。
認知症で家族の顔も忘れてしまったおじいちゃんが、私の顔だけは覚えていてくれた。手を握ると「ありがとう、ありがとう」と何度も繰り返してくれた。
寝たきりのおばあちゃんが弱々しい声で「美咲ちゃんがいてくれて本当に良かった」と言ってくれた。
それだけで、どんなに疲れていても頑張れた。どんなに理不尽な扱いを受けても、入居者みんなの笑顔があれば乗り越えられた。
でも——
ある夜勤中に突然胸を押さえて倒れた。二十八歳で迎えた過労死。心臓発作だった。
家族はいない。恋人もいない。ただひたすらに他人のために生きて、そして死んでいった。
—------------------------------------------------------------------
その想いが天に届いたのか、異世界で最高位の癒しの力を持つリリアナとして転生した。前世での献身的な行いを神様が評価してくださったのだと思っていた。
なのに、なぜ今世でも理解されないの?
「リリアナ、お前の力は確かに強大だが、それゆえに危険でもある」
国王の厳かな声が、私を現実に引き戻した。玉座に座る国王が、まるで害虫でも見るような目で私を見下ろしている。その視線には、もう愛情も信頼もなかった。
「国民の安寧のため、お前は国外追放とする。その異常な力と共に去るがよい」
国外追放。
つまり、この国にとって私は不要な存在だということだ。いや、それどころか害悪とさえ思われているのだ。
国王の宣告の後、貴族たちの本音が遠慮なく聞こえてきた。
「やっと厄介者がいなくなるわね」
「そうそう、あの子がいると、うちの魔法使いが劣等感を抱いてしまって困るのよ」
「完璧すぎて気味が悪かったわ。人間には適度な不完全さが必要よね」
「セラフィナ様のような温かみのある聖女の方が、よほど親しみやすい」
心に、深い悲しみが広がる。
でも同時に、静かな怒りも芽生えていた。前世でも今世でも、人を救おうとする者が理解されない。努力すればするほど、献身すればするほど、疎まれていく。
この理不尽な世界に対して。
「分かりました」
私は静かに答えた。涙を流すことも、取り乱すこともしない。前世で数え切れないほど経験した理不尽が、私を強くしていた。
「お言葉通り、この国を去りましょう。ですが——」
私は王太子エドワードを真っ直ぐに見据える。かつて愛していると言ってくれた人を。
「必ずや後悔なさる日が来るでしょう。私を失ったことを」
「後悔だと?」
エドワードが鼻で笑う。その顔には、もう私への愛情など微塵も残っていなかった。
「君のような危険な存在がいなくなって、この国は平和になるのだ。セラフィナがいれば十分だ」
「そうですね」
私は微笑んだ。それは諦めの笑みでも、悲しみの笑みでもない。静かな決意を秘めた笑みだった。
「では、その平和を末永くお楽しみください。セラフィナ様と共に」
私の瞳に、もはや悲しみはなかった。代わりにあったのは、未来への静かな確信だった。
その日の夕方、王国の兵士たちが私を国境まで護送することになった。
馬車の中で、私は小さな荷物をまとめていた。持参金として渡された金貨の袋と、数着の衣服だけ。十八年間住み慣れた侯爵家での生活も、婚約者としての地位も、全てを失ってこれだけを持って出ていく。
でも不思議と、心は軽やかだった。
馬車は王都を抜け、だんだんと人里離れた場所へ向かっていく。窓から見える風景が、見慣れた街並みから荒野へと変わっていく。
兵士たちの会話が聞こえてきた。
「魔獣の森の入り口までだったな」
「あんな危険な場所に一人で放り出すなんて、さすがに可哀想じゃないか?」
「でも命令だからな。俺たちにはどうしようもない」
「まあ、どうせ一晩も持たないだろう。あの森の魔獣は凶暴だからな」
魔獣の森――。
そこはアルトリア王国の国境にある、危険な魔物が住む森だった。普通の人間なら近づくことさえ躊躇する場所に、彼らは私を一人で放逐するつもりなのだ。
つまり、間接的な死刑宣告だった。
日が沈みかけた頃、馬車は森の入り口で止まった。
「ここまでだ」
護送兵士長が荷台から私を引きずり出す。その手つきは決して優しいものではなかった。
「ここから先は魔獣の縄張りだ。生きて帰れると思うな」
「ご親切にありがとうございます」
私は皮肉を込めずに、本当に感謝しているかのように答えた。その態度に、兵士たちは少し戸惑う。
「おい、本当に分かってるのか?あの森は魔獣が住んでるんだぞ。お前みたいな温室育ちの令嬢が一人で入ったら、一時間も持たない」
私は兵士を見据えて答えた。
「ええ、存じております。でも、私にはもう行く場所がありませんから」
「まあ、自業自得だな。王太子様を怒らせるからこうなる」
もう一人の兵士が吐き捨てるように言った。
「あの異常な力で人を不安にさせるから、こういう目に遭うんだ」
夕暮れの森は確かに不気味だった。巨大な樹木が立ち並び、その隙間から聞こえる奇妙な鳴き声や唸り声。時折、暗闇の中で光る獣の目。普通の人間なら恐怖で足がすくんでしまうだろう。
しかし、私は恐れなかった。
前世で経験した数々の困難、理不尽な扱い、そして今日受けた屈辱的な仕打ち。それらに比べれば、魔獣など些細なことに思えた。
少なくとも、魔獣は正直だ。敵意を隠したりしない。偽りの笑顔を見せて背中から刺したりしない。
兵士たちが嘲笑しながら去っていく音が背後から聞こえてくる。
「あの女、本当に森に入っていくぞ」
「一晩も生きられまい」
「まあ、我々の仕事は終わりだ。帰るぞ」
私は振り返ることなく、暗い森の奥へと歩いていく。月明かりが金髪を照らし、踏みしめる枯れ葉が小さな音を立てた。
一歩、また一歩と森の奥へ進んでいく。
前世では理解されないまま死んでしまった。でも今度は違う。
私は私の道を歩む。
この力を必要としてくれる人がきっといる。私を異常だと言わずに、感謝してくれる人がいるはず。そう信じて。
森の奥から聞こえてくる魔獣の咆哮も、もはや恐怖ではなかった。新しい人生の始まりを告げるファンファーレのように聞こえていた。
私はゆっくりと森の奥へ向かって歩き続けた。足音だけが静寂を破っていく。
振り返れば、もう王都の明かりも見えない。前方には未知の暗闇が広がっている。
でも、心配はしていなかった。
これで全てが終わったわけではない。
これは、真の聖女リリアナ・フォレストの新しい人生の、始まりなのだから。
アルトリア王国の謁見の間に、王太子エドワードの冷酷な声が響いた。
豪華なシャンデリアの光が、まるで私を嘲笑うように煌めいている。生まれ育った侯爵家を出て王宮にやってきたが、今日は処刑台のように感じられた。
私——リリアナ・フォレストは、アルトリア王国の侯爵令嬢として十八年を過ごしてきた。そして五年前から、王太子エドワードの婚約者として王室に仕えてきた。
それが今、一瞬にして終わりを告げようとしている。
「君の力は異常すぎて、国民が恐れている」
異常――。
その言葉が胸に突き刺さる。人を救うために神から授けられた力を、なぜそんな風に言われなければならないのだろう。
貴族たちのささやき声が、蜂の羽音のように耳に入ってくる。
「あの不気味な癒しの力よね」
「人間離れしているわ」
「セラフィナ様の方がよほど親しみやすい」
私は小さく唇を噛んだ。確かに私の治療魔法はハイレベルすぎるかもしれない。骨折も内臓損傷も、深い傷も、普通のヒールでは治すことのできない病やけがも完治させてしまう。でも、それがいけないことなの?
「リリアナ様」
不意に声をかけられ、振り返る。そこには涙を浮かべたセラフィナが立っていた。薄い金髪に緑の瞳、華奢な体躯の美しい少女。彼女こそが、私の婚約者を奪った張本人だった。
「私はただ...ただ皆様のお役に立ちたいだけなのに」
セラフィナが震え声で訴える。その声には計算された弱々しさがあった。
「リリアナ様の力は悪魔的です。私の中級ヒールなど、とても及びません。でも皆様が仰るように、私の力の方が人間らしくて安心できると...」
上手い演技だった。
セラフィナは意図的に声を震わせ、まるで私に脅かされている可憐な少女を演じている。周囲の貴族たちから「セラフィナ様、お気になさらず」「あなたこそ真の聖女です」という慰めの声が上がった。
私は拳を握りしめる。セラフィナの演技だということは分かっていた。でも、誰もそれに気づこうとしない。いや、気づかないふりをしているのかもしれない。
ふと、前世の記憶がよみがえる。
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現代日本の老人ホーム。くたびれた白い制服に身を包んだ田中美咲——それが前世の私だった。
「田中さん、また残業?体壊しちゃうよ」
同僚の心配そうな声が頭の中で響く。でも私は疲れ切った顔で笑って答えていた。
「大丈夫です。おじいちゃん、おばあちゃんたちが困ってしまいますから」
月三百時間を超える勤務。十分な睡眠も取れない日々。それでも続けられたのは、入居者みんなの笑顔があったからだった。
認知症で家族の顔も忘れてしまったおじいちゃんが、私の顔だけは覚えていてくれた。手を握ると「ありがとう、ありがとう」と何度も繰り返してくれた。
寝たきりのおばあちゃんが弱々しい声で「美咲ちゃんがいてくれて本当に良かった」と言ってくれた。
それだけで、どんなに疲れていても頑張れた。どんなに理不尽な扱いを受けても、入居者みんなの笑顔があれば乗り越えられた。
でも——
ある夜勤中に突然胸を押さえて倒れた。二十八歳で迎えた過労死。心臓発作だった。
家族はいない。恋人もいない。ただひたすらに他人のために生きて、そして死んでいった。
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その想いが天に届いたのか、異世界で最高位の癒しの力を持つリリアナとして転生した。前世での献身的な行いを神様が評価してくださったのだと思っていた。
なのに、なぜ今世でも理解されないの?
「リリアナ、お前の力は確かに強大だが、それゆえに危険でもある」
国王の厳かな声が、私を現実に引き戻した。玉座に座る国王が、まるで害虫でも見るような目で私を見下ろしている。その視線には、もう愛情も信頼もなかった。
「国民の安寧のため、お前は国外追放とする。その異常な力と共に去るがよい」
国外追放。
つまり、この国にとって私は不要な存在だということだ。いや、それどころか害悪とさえ思われているのだ。
国王の宣告の後、貴族たちの本音が遠慮なく聞こえてきた。
「やっと厄介者がいなくなるわね」
「そうそう、あの子がいると、うちの魔法使いが劣等感を抱いてしまって困るのよ」
「完璧すぎて気味が悪かったわ。人間には適度な不完全さが必要よね」
「セラフィナ様のような温かみのある聖女の方が、よほど親しみやすい」
心に、深い悲しみが広がる。
でも同時に、静かな怒りも芽生えていた。前世でも今世でも、人を救おうとする者が理解されない。努力すればするほど、献身すればするほど、疎まれていく。
この理不尽な世界に対して。
「分かりました」
私は静かに答えた。涙を流すことも、取り乱すこともしない。前世で数え切れないほど経験した理不尽が、私を強くしていた。
「お言葉通り、この国を去りましょう。ですが——」
私は王太子エドワードを真っ直ぐに見据える。かつて愛していると言ってくれた人を。
「必ずや後悔なさる日が来るでしょう。私を失ったことを」
「後悔だと?」
エドワードが鼻で笑う。その顔には、もう私への愛情など微塵も残っていなかった。
「君のような危険な存在がいなくなって、この国は平和になるのだ。セラフィナがいれば十分だ」
「そうですね」
私は微笑んだ。それは諦めの笑みでも、悲しみの笑みでもない。静かな決意を秘めた笑みだった。
「では、その平和を末永くお楽しみください。セラフィナ様と共に」
私の瞳に、もはや悲しみはなかった。代わりにあったのは、未来への静かな確信だった。
その日の夕方、王国の兵士たちが私を国境まで護送することになった。
馬車の中で、私は小さな荷物をまとめていた。持参金として渡された金貨の袋と、数着の衣服だけ。十八年間住み慣れた侯爵家での生活も、婚約者としての地位も、全てを失ってこれだけを持って出ていく。
でも不思議と、心は軽やかだった。
馬車は王都を抜け、だんだんと人里離れた場所へ向かっていく。窓から見える風景が、見慣れた街並みから荒野へと変わっていく。
兵士たちの会話が聞こえてきた。
「魔獣の森の入り口までだったな」
「あんな危険な場所に一人で放り出すなんて、さすがに可哀想じゃないか?」
「でも命令だからな。俺たちにはどうしようもない」
「まあ、どうせ一晩も持たないだろう。あの森の魔獣は凶暴だからな」
魔獣の森――。
そこはアルトリア王国の国境にある、危険な魔物が住む森だった。普通の人間なら近づくことさえ躊躇する場所に、彼らは私を一人で放逐するつもりなのだ。
つまり、間接的な死刑宣告だった。
日が沈みかけた頃、馬車は森の入り口で止まった。
「ここまでだ」
護送兵士長が荷台から私を引きずり出す。その手つきは決して優しいものではなかった。
「ここから先は魔獣の縄張りだ。生きて帰れると思うな」
「ご親切にありがとうございます」
私は皮肉を込めずに、本当に感謝しているかのように答えた。その態度に、兵士たちは少し戸惑う。
「おい、本当に分かってるのか?あの森は魔獣が住んでるんだぞ。お前みたいな温室育ちの令嬢が一人で入ったら、一時間も持たない」
私は兵士を見据えて答えた。
「ええ、存じております。でも、私にはもう行く場所がありませんから」
「まあ、自業自得だな。王太子様を怒らせるからこうなる」
もう一人の兵士が吐き捨てるように言った。
「あの異常な力で人を不安にさせるから、こういう目に遭うんだ」
夕暮れの森は確かに不気味だった。巨大な樹木が立ち並び、その隙間から聞こえる奇妙な鳴き声や唸り声。時折、暗闇の中で光る獣の目。普通の人間なら恐怖で足がすくんでしまうだろう。
しかし、私は恐れなかった。
前世で経験した数々の困難、理不尽な扱い、そして今日受けた屈辱的な仕打ち。それらに比べれば、魔獣など些細なことに思えた。
少なくとも、魔獣は正直だ。敵意を隠したりしない。偽りの笑顔を見せて背中から刺したりしない。
兵士たちが嘲笑しながら去っていく音が背後から聞こえてくる。
「あの女、本当に森に入っていくぞ」
「一晩も生きられまい」
「まあ、我々の仕事は終わりだ。帰るぞ」
私は振り返ることなく、暗い森の奥へと歩いていく。月明かりが金髪を照らし、踏みしめる枯れ葉が小さな音を立てた。
一歩、また一歩と森の奥へ進んでいく。
前世では理解されないまま死んでしまった。でも今度は違う。
私は私の道を歩む。
この力を必要としてくれる人がきっといる。私を異常だと言わずに、感謝してくれる人がいるはず。そう信じて。
森の奥から聞こえてくる魔獣の咆哮も、もはや恐怖ではなかった。新しい人生の始まりを告げるファンファーレのように聞こえていた。
私はゆっくりと森の奥へ向かって歩き続けた。足音だけが静寂を破っていく。
振り返れば、もう王都の明かりも見えない。前方には未知の暗闇が広がっている。
でも、心配はしていなかった。
これで全てが終わったわけではない。
これは、真の聖女リリアナ・フォレストの新しい人生の、始まりなのだから。
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