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第2章 宝玉を追いかけていたら世界を救っていた

47.洞窟が暴く存在

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 たどり着いたのが洞窟というのは、いかにもすぎて非常にテンションが上がった。
 思わず3人で顔を見合わせる。ファナさんは俺と同じくニンマリとした笑顔だが、クレト様は緊張した面持ちをしていた。俺たちの緊張感がなさすぎるのかもしれない。

「では、さっそく行きましょうか……!」

 そう声をかけると、二人は頷いてくれた。
 ランプや松明が必要かと思ったが、手に持っている宝玉が明るく光っているのでその必要もなさそうだ。
 洞窟の壁は岩に覆われており、土のタイプの洞窟ではないので崩落等の心配もないだろう。
 もし崩落したとしても念動力で何とか死ぬことは免れるはずだ。

 おそるおそる洞窟内に一歩足を踏み出す。
 3人の足音が洞窟内に反響した。事前に3人で話しあった通り、先頭からファナさん、俺、クレト様の順に並んで歩く。戦闘時、前衛はファナさんにして俺とクレト様が後方支援をする形だ。もし後方から何か迫ってきたときには俺よりはクレト様の方が攻撃手段があるからクレト様が最後尾となったのである。
 クレト様は戦える神父様なのである。

 しばらく何の変哲もない洞窟を突き進んでいくと、前方に奇妙な景色が見えてきた。

「床が、石畳になっているだと……」

 ファナさんが呆然としてそう言った。そう、洞窟内に現れたのはいかにも人工的な石畳の床であった。まじか。本当にこれはある・・んじゃないだろうか。

 喜び勇んでファナさんが駆け出したとき――

「待ったぁああ!!!」

 我々3人の前に飛び込んできたのは、忍者のような恰好をした1人のエルフであった。

 ◆

 アイレは非常に後悔していた。
 ギルドマスターにまんまと乗せられて安請け合いしてしまったが、ミッションの思った以上の難易度にアイレはみるみる疲弊していった。
 だって、まさか監視対象が『空を飛んで』移動するとは思いもしなかった。
 あの慣れたようすだと、確実にこれまでもやってきたのだろう。たぶん、アイレが見失ったり追いつくのを諦めたときだ。

 でも、旅に出てどこかに行ってしまうのだとしたら、次の目的地を知っていなければこんな世界、美味しい物にありつけなくなってしまう。

 アイレは寝る間も惜しんで、空を飛ぶ3人の行方を追った。

 3日目。

 アイレは限界を迎えていた。いつも彼らは快適そうな住空間をマコト氏の『無限収納』から取り出して、ゆっくり休んでいる。夜中に追いつけたときには、そこに忍び込んで一緒に寝てやろうかと血迷ったときもあった。さすがにそれはバレるだろうと思って、断念して庭に侵入して一晩を過ごした。
 冒険者なら野営が当たり前だから、それはいいとしてなんだかわびしく感じるアイレだった。
 そして、もう限界だ、走れない、というところで彼らが空から地上に降り立った。
 地上を移動しはじめた彼らを追うのはめちゃくちゃ簡単だった。更に言えば、目的地が近いから空を降りたのだと思うと、非常に気が楽になった。

 そうして彼らがたどり着いたのは、洞窟だった。

 洞窟は自然物のように偽装されているが、よく見ると岩の表面に人の掘ったような跡があり、ここが人工的につくられた場所だというのが分かる。
 なぜ、こんな辺境の森の奥深くも深くに、人工物が……?
 アイレは疑問に思いながらも、必死で気配を消しながら3人の後を追った。屋外よりもどうしても距離が近くなるので、見つかる確率が上がるのだ。

「床が、石畳になっているだと……」

 しばらく進んでいくと、ファナがそう呟いたのが聞こえた。
 そこにはあからさまな人工的な建物がはじまっていた。そして、アイレはその石畳のうち一つが作動するボタンになっていることに気が付いた。よく見れば壁際に矢が設置されているではないか。

 慌てて走り出して、3人の目の前に出る。
 アイレの存在がバレてしまうが、命には代えられない。

「待ったぁああ!!!」
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