エゴイストの檻

観月 珠莉

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【02】 地獄行きの切符

*015* 呼び出し

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バスルームを出ると、先程は無かったはずのバスローブが置いてあった。
先程まで来ていたはずのスーツやブラウスもそこには無い。
着る物が無い小袖は、バスローブ以外に着られるものが無かった。
いったい、誰が準備したのだろうか?
アルベルトであれば、恥ずかしくて今後、顔を合わせる事が出来ない…。
そうは言っても、裸で過ごす訳にもいかない小袖は、バスローブを羽織る。
ベルトで肌蹴ないようにするまでは良かったが、肝心の下着が無い。
肌が清潔になって、ひと安心したのも束の間、気持ちがドーンと下がった。
小袖は、大河に宣言してしまった。
何でもする…と。
大河のものになると。
自分が招いた種だとは言え、余りにも自分を投げ出した条件だったように思う。
洗面台に設えられた鏡で髪を整えて、部屋へと戻る。
昨日の部屋の整頓のように、仕事で馬車馬のように働くのであれば、小袖にとってはどんな辛酸を舐めようと努力出来るだろう。
実際、秘書の仕事というのは、華やかそうに見えて、意外と地味な作業が多いし、他人のスケジュールに振り回される仕事なのだ。
しかし、今後、もし、大河に身体を求められたならば…考えただけで、気が滅入るのだった。
自分の思考の波に攫われていた小袖を現実に引き戻したのは、けたたましい着信音だった。
最初、何がそんな音を出しているのか判断出来なかったが、ふと、大河と小袖を繋ぐ携帯電話に目を遣ると、点滅して着信を告げている。
慌てて走り寄った時には、既に着信は終わっていた。
小袖は、慌てて着信を確認する。
十五分前から五分おきに三度の着信がある。
小袖ののんびりしたバスタイムに痺れを切らした大河が、ご立腹で何度も電話を鳴らしたのだろう。

「やば~ッ!!」

小袖は、また、独り言を呟く。
大河の部屋へと向かおうとするが、自分の余りにも心許無い服装に、急いで向かおうとする気持ちにブレーキがかかる。
何とか、もう少し肌の露出が抑えられる布は無いだろうか…と、部屋の中を物色するが、流石に無駄な物は一切置かれていなかった。
オロオロと部屋を右往左往していると、再び携帯電話が着信を告げる。

「えぇ~ッ、また~ッ!!」

小袖が慌てて携帯電話へと駆け寄るが、その着信時間は本当に短い。
単に呼び出すだけならば、ポケットベルの方がコストが抑えられるのでは無いだろうかと思える程に、その着信時間は短かった。
これ以上、大河を待たせる訳にもいかず、大慌てで大河の部屋へと向かった。
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