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心霊バトル
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今日の瀬来さんは「打ち合わせがあるから」と、朝から元気よく出かけていった。きっと仁菜さんと、伊豆旅行の打ち合わせだろう。う~む、ふたりにはまんまとしてやられたな。
ま、それはともかく、オレも今日はダンジョン調査にでかけた。
向かった先は、公園ダンジョン。都内のとある公園に出来たから、公園ダンジョンだ。このダンジョンは地下1層にスライム、2層にゴブリン、そして3層にはコボルドが出るらしい。
スライムはすでにお馴染みのモンスター。オレはコイツと初戦闘するまでに、一週間という準備期間を設けてまでその生態を研究しつくした。なのでスライムの事なら、ケツの穴の皺の数までお見通しよ。…って、スライムにケツの穴はなかったけど。
ゴブリンは、まぁゴブリン。憎たらしいツラの奴。だが、なんだかんだで対人戦の練習台にもってこいなのもコイツ。なので今回公園ダンジョンを選んだ理由も、実はゴブリンが居たからだったりする。ゴブリンなら、瑠羽たちも戦い慣れてるし。
「ん、なんだあれは?」
と、そんなことを考えつつ受付に向かうと、なぜか大勢の警察官の姿があった。
「もしやなにかの事件でも!?」と思いながら近づく。と、パイプ椅子に座り警官に取り囲まれていたのは、一目でその筋の方々と解る坊主や角刈りのおじさん達。どうやらダンジョンに入れろ入れないで、一悶着あった様子。
しかし警察も,自分の身体をキャンバスにしちゃう奔放おじさん達をダンジョンに入れる訳にはいかないよな。まず間違いなくダンジョンで得た力を、反社会的なことにしか利用しなさそうだもん。
「ああキミ。ダンジョンの地下4層には、決して立ち入らないように」
受付を終えダンジョン入り口に向かおうとしたオレを、ひとりの警官が呼び止めた。
「え、それはまたどうしてです?」
「出るんだよ、オバケが…」
「オバケ…??」
むむ、それはどういうことだ。
現在一般に開放されているダンジョンは、自衛隊や警察によって調査済。そして危険度が低くたいしたドロップもない、ハッキリ言えばどうでもいいようなダンジョンが選ばれている筈では…??
「オバケって、もしかしてアンデッドモンスターってことですか!?」
「そこまでは解らない。なにせ我々はダンジョンの入り口を監視する目的でここにいるが、立ち入りは許されていない。だからダンジョンのなかのことは、入った者達から聞くだけなんだ」
「はぁ…。ではダンジョンの中に入った者たちが、オバケが出たと話していたと?」
「そういうことだ。錯乱し救急車で運ばれた者が、もう何人も出ている。だからくれぐれも地下4層には下りないように」
「なるほど、解りました」
暑い日差しの下でも目深に帽子を被っているやたら目力の強い警察官に注意され、一応その警告を聞いておくことにする。
で、サクッと地下3層まで進軍。スライムもゴブリンも、オレの行く手を阻む事は出来ないのだ。
するとこの地下3層には、コボルドがいる。コイツはオレも初見のモンスター。とはいえこのモンスターも雑魚に分類されるようなモンスターなので、ネット上には結構画像が出回っている。
ただ現在、動画配信サイトの規制によりダンジョンでの戦闘シーンを含む諸々は一切アップロードできないことになっている。その理由はいうまでもなく、ダンジョンでの戦闘は、暴力シーンでありグロだからだ。
なのでネット上で手に入る情報は、画像のみとなってしまう。
実際に動いている姿を観れれば何倍も良いのだが、こればっかりはしょうがない。そんな事を考えつつ歩いていると、オレの前にもそのコボルドが姿を見せた。
うん。コボルドとは平たく言うと、犬人間。見た目的には、犬と人間のキメラと言い換えてもいい。でもやや前屈みながら直立しており、背丈は小学校高学年くらい。ゴブリンよりかは、頭一つほど背が高いか。そして頭はワンワンで、身体は毛モジャだが人間風味。
そこで『お、犬×人間ならば、結構強いのか!?』と当然思うところ。
しかしコボルドは、なぜかその辺がデチューンされたような感じで弱い。犬に人間的な要素を持ったことで犬本来の俊敏性が損なわれ、人に犬の要素を持ったことで本能の部分が優先され、人間よりもアホな感じに仕上がってしまったとでもいえばいいだろうか。
それでもゴブリンより筋力も体格も優れているので、まぁ侮れないといえば侮れない。
「ギャンッ!」
『ドゴッ!(…ぼふんっ)』
襲いかかってきたコボルドに、カウンターのエクスカリバールを一閃。
その雑な一撃で、コボルドは煙になって消えた。武器を持った人間相手に、体格で劣るにもかかわらず真正面から突っ込んでくるなんて。ちょっとどうかしているとしか思えない。もしかしてダンジョンに、『ガンガン戦え』とでも命令されているのだろうか。
なんてことを考えつつドロップした魔石や毛皮を拾っていると、後ろから複数人の男に声を掛けられた。
「邪魔だぜおっさん、さっさとどけろ」
「あれあれぇ~?もしかしておひとりでちゅかぁ~?さみちいでちゅねぇ~!」
おい、やめろ。ほんとに傷つくだろ。
立ち上がって振り返ると、そこには三人の若い男達の姿が。
年齢は二十歳になるかならないか。三人とも今どきのヘアースタイルに、首には金や銀の太いネックレスをぶら下げている。
(な、おいダンジョンだぞ?おまえら正気か??)
そんな胸元がはだけて開き過ぎな若者たちのファッションに、驚愕と動揺を覚える。
彼らは防具こそつけているものの、着崩しが酷過ぎて防具が防具の用を足していない。う~む、半キャップヘルメットを首にぶら下げているだけでは、それは防具と呼べないだろう。
「おいおい。こんな時間にダンジョンにいるなんて、もしかして無職かぁ?かぁ~侘しいねェ!精々怪我しないよう隅の方で狩ってるんだな!ギャハハハハ!」
むぅ…。無職という点については、返す言葉もない。
だがオレがそんなことを考えているうちに、DQNな三人組はイキりながら通路の先へと消えて行った。
去って行った三人組。恐らくレベル7~8といった所だろうか。外見的にはオレともそう見劣りしない体格をしていた、なのでたぶんそうだろう。確かに成長期も終わりきっていない所に、ダンジョンでのレベルアップだ。彼らが「俺はどこまでも強くなれる!」と、調子づいてしまうのも頷ける。
だが、それは危険だ。それこそがダンジョンの誘い。甘い罠なのだ。オレは彼らが去って行った通路の先を見て、ちいさく溜息をつくのだった。
……。
「ガウッ!ギャン!?」
『ぺぐしゃ!(…ぼふんっ)』
襲いかかってきたコボルドの顔面を、拳で潰す。エクスカリバールや達人の足捌きを使うまでもない。だが瑠羽達を鍛えるのには、丁度いい相手かもしれない。
(ふむ、今度はここに瑠羽たちを連れてくるか。ゴブリンもいるし、少しずつ3人にもただ攻撃させるだけではない戦闘を経験させていかないと)
そんな事を考えながら地下3層を歩いていると、前方に先ほど別れたイキリDQN三人組を見つけた。
そしてオレの見ている前で、彼らは通路から姿を消した。気になって彼らのいた場所まで行ってみると、そこには下に降りる階段が。どうも彼らは、地下4層への階段を下りてしまったようだ。
(あいつら、警官の注意を聞いていなかったのか?)
いや、違うな。それを聞いていてなお、地下4層に下りたのだろう。「自分達ならイケル!大丈夫!余裕余裕!」などと。うん、たぶんそうだろう。まるで〇姦蛇螺に肝試しに向かう不良高校生そのまんまのムーブじゃないか。
暫く考え、オレもその場で5分ほど待機してから、地下4層に下りてみることにした。
……。
地下4層。そこはそれまでダンジョンと違い半分は地下墳墓(カタコンベ)、半分は自然洞窟というような雰囲気をしていた。
「うひぃぃい~~!」
「ぎゃああああ!」
そしてそんななかに、イキリDQN三人組が白い靄に取り囲まれ泣きべそをかいていた。
「だ!だじげぇで!」
オレの姿をみつけたイキリDQNのひとりが、何事か叫んでいる。そんな彼に、オレは笑顔でサムズアップを返す。YES!ダンジョンでの行動は、全て自己責任。もしピンチに陥ったのなら、それも全て自分達で解決せねばならないのだ。
(しかし、あの靄が警官の言っていたオバケということか…)
イキリDQN三人組を取り囲む白い靄。
見様によっては人の姿に見えなくもない。オバケの真似をするのに白いシーツを頭から被るというのがあるが、あながち間違いではないようだ。幽霊ってもっとホログラムっぽく視えたりするものだと思っていた。が、霧というか靄というか、非常に曖昧なシルエットだ。
(ふぅむ…オバケか。洋風にいえばゴースト、ないしレイスだな)
但し厳密にいうとレイスは魔術的に幽体離脱したまま元に戻れなくなった存在らしいので、変貌した生霊と呼ぶ方が適切らしい。
で、白い靄的なゴーストたちははイキリDQNたちを取り囲み、しきりに手で撫でるような素振り。そしてそれをされる度にイキリDQNたちはピィピィ騒がしく泣き叫んでいる。ふぅむ、どうやらアレがゴーストの攻撃手段らしい。
「あぅあぅぁう~ッ!ゆるじでぇ!たじゅげでぇ!!」
うっさいな、大事なアナライズタイムを邪魔するんじゃない。
うむ、オレは彼らのことを、囮役になってくれて丁度いいとしか考えていない。そう、ここはダンジョン。そしてダンジョンは弱肉強食。だからおかしな事を言っているのは、彼らの方なのだ。
だが、オレも鬼ではないからして、自分の身に危険が及ばない範囲で手助けしてやろう。
「よし、では九字刀印を喰らうがいい!臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前ッ!きえ~いッ!」
解説しよう。オタは漫画なんかの影響で密教の秘術・九字護身法が使えるのだ。
『(チラッ…』
「あばばばば…ッ!??」
…しかし効果は無かった。
一瞬だけ白い靄、ゴーストがこっちを向いた気がするけど、ソレだけだった。
「おのれ、九字刀印が効かないとはッ!?オレの知ってる忍者がコレをやると、大概なんでも解決してたというのにッ…!」
やはり九字はしっかりとそれぞれの印を結べなければ、効果が無いようだ。でも印も覚えようとしても、アレって普段は使わないからすぐ忘れるんだよなぁ…。
「ムギギギギギュ…ぃぃひ…いひひひぃぃ~!!」
「あへへ…、ぴょろぴょろぴょろ…!!」
むむむ、ゴーストとの初戦闘。
襲われてどんどんアレな感じに陥っていくイキリDQN三人組。そしてオレ渾身の九字刀印は、全くゴーストに効かなかった。どうするオレ…!?
ま、それはともかく、オレも今日はダンジョン調査にでかけた。
向かった先は、公園ダンジョン。都内のとある公園に出来たから、公園ダンジョンだ。このダンジョンは地下1層にスライム、2層にゴブリン、そして3層にはコボルドが出るらしい。
スライムはすでにお馴染みのモンスター。オレはコイツと初戦闘するまでに、一週間という準備期間を設けてまでその生態を研究しつくした。なのでスライムの事なら、ケツの穴の皺の数までお見通しよ。…って、スライムにケツの穴はなかったけど。
ゴブリンは、まぁゴブリン。憎たらしいツラの奴。だが、なんだかんだで対人戦の練習台にもってこいなのもコイツ。なので今回公園ダンジョンを選んだ理由も、実はゴブリンが居たからだったりする。ゴブリンなら、瑠羽たちも戦い慣れてるし。
「ん、なんだあれは?」
と、そんなことを考えつつ受付に向かうと、なぜか大勢の警察官の姿があった。
「もしやなにかの事件でも!?」と思いながら近づく。と、パイプ椅子に座り警官に取り囲まれていたのは、一目でその筋の方々と解る坊主や角刈りのおじさん達。どうやらダンジョンに入れろ入れないで、一悶着あった様子。
しかし警察も,自分の身体をキャンバスにしちゃう奔放おじさん達をダンジョンに入れる訳にはいかないよな。まず間違いなくダンジョンで得た力を、反社会的なことにしか利用しなさそうだもん。
「ああキミ。ダンジョンの地下4層には、決して立ち入らないように」
受付を終えダンジョン入り口に向かおうとしたオレを、ひとりの警官が呼び止めた。
「え、それはまたどうしてです?」
「出るんだよ、オバケが…」
「オバケ…??」
むむ、それはどういうことだ。
現在一般に開放されているダンジョンは、自衛隊や警察によって調査済。そして危険度が低くたいしたドロップもない、ハッキリ言えばどうでもいいようなダンジョンが選ばれている筈では…??
「オバケって、もしかしてアンデッドモンスターってことですか!?」
「そこまでは解らない。なにせ我々はダンジョンの入り口を監視する目的でここにいるが、立ち入りは許されていない。だからダンジョンのなかのことは、入った者達から聞くだけなんだ」
「はぁ…。ではダンジョンの中に入った者たちが、オバケが出たと話していたと?」
「そういうことだ。錯乱し救急車で運ばれた者が、もう何人も出ている。だからくれぐれも地下4層には下りないように」
「なるほど、解りました」
暑い日差しの下でも目深に帽子を被っているやたら目力の強い警察官に注意され、一応その警告を聞いておくことにする。
で、サクッと地下3層まで進軍。スライムもゴブリンも、オレの行く手を阻む事は出来ないのだ。
するとこの地下3層には、コボルドがいる。コイツはオレも初見のモンスター。とはいえこのモンスターも雑魚に分類されるようなモンスターなので、ネット上には結構画像が出回っている。
ただ現在、動画配信サイトの規制によりダンジョンでの戦闘シーンを含む諸々は一切アップロードできないことになっている。その理由はいうまでもなく、ダンジョンでの戦闘は、暴力シーンでありグロだからだ。
なのでネット上で手に入る情報は、画像のみとなってしまう。
実際に動いている姿を観れれば何倍も良いのだが、こればっかりはしょうがない。そんな事を考えつつ歩いていると、オレの前にもそのコボルドが姿を見せた。
うん。コボルドとは平たく言うと、犬人間。見た目的には、犬と人間のキメラと言い換えてもいい。でもやや前屈みながら直立しており、背丈は小学校高学年くらい。ゴブリンよりかは、頭一つほど背が高いか。そして頭はワンワンで、身体は毛モジャだが人間風味。
そこで『お、犬×人間ならば、結構強いのか!?』と当然思うところ。
しかしコボルドは、なぜかその辺がデチューンされたような感じで弱い。犬に人間的な要素を持ったことで犬本来の俊敏性が損なわれ、人に犬の要素を持ったことで本能の部分が優先され、人間よりもアホな感じに仕上がってしまったとでもいえばいいだろうか。
それでもゴブリンより筋力も体格も優れているので、まぁ侮れないといえば侮れない。
「ギャンッ!」
『ドゴッ!(…ぼふんっ)』
襲いかかってきたコボルドに、カウンターのエクスカリバールを一閃。
その雑な一撃で、コボルドは煙になって消えた。武器を持った人間相手に、体格で劣るにもかかわらず真正面から突っ込んでくるなんて。ちょっとどうかしているとしか思えない。もしかしてダンジョンに、『ガンガン戦え』とでも命令されているのだろうか。
なんてことを考えつつドロップした魔石や毛皮を拾っていると、後ろから複数人の男に声を掛けられた。
「邪魔だぜおっさん、さっさとどけろ」
「あれあれぇ~?もしかしておひとりでちゅかぁ~?さみちいでちゅねぇ~!」
おい、やめろ。ほんとに傷つくだろ。
立ち上がって振り返ると、そこには三人の若い男達の姿が。
年齢は二十歳になるかならないか。三人とも今どきのヘアースタイルに、首には金や銀の太いネックレスをぶら下げている。
(な、おいダンジョンだぞ?おまえら正気か??)
そんな胸元がはだけて開き過ぎな若者たちのファッションに、驚愕と動揺を覚える。
彼らは防具こそつけているものの、着崩しが酷過ぎて防具が防具の用を足していない。う~む、半キャップヘルメットを首にぶら下げているだけでは、それは防具と呼べないだろう。
「おいおい。こんな時間にダンジョンにいるなんて、もしかして無職かぁ?かぁ~侘しいねェ!精々怪我しないよう隅の方で狩ってるんだな!ギャハハハハ!」
むぅ…。無職という点については、返す言葉もない。
だがオレがそんなことを考えているうちに、DQNな三人組はイキりながら通路の先へと消えて行った。
去って行った三人組。恐らくレベル7~8といった所だろうか。外見的にはオレともそう見劣りしない体格をしていた、なのでたぶんそうだろう。確かに成長期も終わりきっていない所に、ダンジョンでのレベルアップだ。彼らが「俺はどこまでも強くなれる!」と、調子づいてしまうのも頷ける。
だが、それは危険だ。それこそがダンジョンの誘い。甘い罠なのだ。オレは彼らが去って行った通路の先を見て、ちいさく溜息をつくのだった。
……。
「ガウッ!ギャン!?」
『ぺぐしゃ!(…ぼふんっ)』
襲いかかってきたコボルドの顔面を、拳で潰す。エクスカリバールや達人の足捌きを使うまでもない。だが瑠羽達を鍛えるのには、丁度いい相手かもしれない。
(ふむ、今度はここに瑠羽たちを連れてくるか。ゴブリンもいるし、少しずつ3人にもただ攻撃させるだけではない戦闘を経験させていかないと)
そんな事を考えながら地下3層を歩いていると、前方に先ほど別れたイキリDQN三人組を見つけた。
そしてオレの見ている前で、彼らは通路から姿を消した。気になって彼らのいた場所まで行ってみると、そこには下に降りる階段が。どうも彼らは、地下4層への階段を下りてしまったようだ。
(あいつら、警官の注意を聞いていなかったのか?)
いや、違うな。それを聞いていてなお、地下4層に下りたのだろう。「自分達ならイケル!大丈夫!余裕余裕!」などと。うん、たぶんそうだろう。まるで〇姦蛇螺に肝試しに向かう不良高校生そのまんまのムーブじゃないか。
暫く考え、オレもその場で5分ほど待機してから、地下4層に下りてみることにした。
……。
地下4層。そこはそれまでダンジョンと違い半分は地下墳墓(カタコンベ)、半分は自然洞窟というような雰囲気をしていた。
「うひぃぃい~~!」
「ぎゃああああ!」
そしてそんななかに、イキリDQN三人組が白い靄に取り囲まれ泣きべそをかいていた。
「だ!だじげぇで!」
オレの姿をみつけたイキリDQNのひとりが、何事か叫んでいる。そんな彼に、オレは笑顔でサムズアップを返す。YES!ダンジョンでの行動は、全て自己責任。もしピンチに陥ったのなら、それも全て自分達で解決せねばならないのだ。
(しかし、あの靄が警官の言っていたオバケということか…)
イキリDQN三人組を取り囲む白い靄。
見様によっては人の姿に見えなくもない。オバケの真似をするのに白いシーツを頭から被るというのがあるが、あながち間違いではないようだ。幽霊ってもっとホログラムっぽく視えたりするものだと思っていた。が、霧というか靄というか、非常に曖昧なシルエットだ。
(ふぅむ…オバケか。洋風にいえばゴースト、ないしレイスだな)
但し厳密にいうとレイスは魔術的に幽体離脱したまま元に戻れなくなった存在らしいので、変貌した生霊と呼ぶ方が適切らしい。
で、白い靄的なゴーストたちははイキリDQNたちを取り囲み、しきりに手で撫でるような素振り。そしてそれをされる度にイキリDQNたちはピィピィ騒がしく泣き叫んでいる。ふぅむ、どうやらアレがゴーストの攻撃手段らしい。
「あぅあぅぁう~ッ!ゆるじでぇ!たじゅげでぇ!!」
うっさいな、大事なアナライズタイムを邪魔するんじゃない。
うむ、オレは彼らのことを、囮役になってくれて丁度いいとしか考えていない。そう、ここはダンジョン。そしてダンジョンは弱肉強食。だからおかしな事を言っているのは、彼らの方なのだ。
だが、オレも鬼ではないからして、自分の身に危険が及ばない範囲で手助けしてやろう。
「よし、では九字刀印を喰らうがいい!臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前ッ!きえ~いッ!」
解説しよう。オタは漫画なんかの影響で密教の秘術・九字護身法が使えるのだ。
『(チラッ…』
「あばばばば…ッ!??」
…しかし効果は無かった。
一瞬だけ白い靄、ゴーストがこっちを向いた気がするけど、ソレだけだった。
「おのれ、九字刀印が効かないとはッ!?オレの知ってる忍者がコレをやると、大概なんでも解決してたというのにッ…!」
やはり九字はしっかりとそれぞれの印を結べなければ、効果が無いようだ。でも印も覚えようとしても、アレって普段は使わないからすぐ忘れるんだよなぁ…。
「ムギギギギギュ…ぃぃひ…いひひひぃぃ~!!」
「あへへ…、ぴょろぴょろぴょろ…!!」
むむむ、ゴーストとの初戦闘。
襲われてどんどんアレな感じに陥っていくイキリDQN三人組。そしてオレ渾身の九字刀印は、全くゴーストに効かなかった。どうするオレ…!?
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