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浜辺のシャーク
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スーパー銭湯のマッサージ店に勤めるツナミさんは、それはもうこっちが申し訳ないってなるくらいペコペコと頭を下げながら去って行った。うん、見た目はすごくイケイケっぽいのに、そのギャップが激しい。
でも教え合いっこする約束をしたので、すでに連絡先は交換済み。いやはや、ビーチで女性の連絡先を教えてもらうなんてなんだか嘘みたいだな。
そうしてツナミさんが去った後も、オレはなお美人女子大生たちに囲まれていた。ウハッ、もしかして今日はずっとオレのターン!?
「じゃあもう一度見せるよ。こうで(スッ)…こうで(スッ)…こう(きゅま!)」
「う~ん…見てる分には、ものすごく簡単に見えるんやけどなぁ…」
で、何をしているのかというと仁菜さんたっての希望でスパァン!こと、達人の足捌きを三人にレクチャーしていたのだった。
「ん~解りにくいかな?じゃ、瀬来さん。ちょっとオレの前に立って構えてみて」
「え、こう…?師匠」
瀬来さんを呼ぶと、意を汲んでファイティングポーズを構えてくれる。
「オッケー、じゃあ少しそのままでいてね。では仁菜さんと瑠羽はよく見てて。まず一歩目は、相手に近づきつつ中心線を僅かにずらす(スッ)。これにより相手は距離感を狂わされ、正対している身体の中心線もずれてくる」
「ふんふん…」
「では次に二歩目。ここで大きく身体を横にずらし、急接近しつつも相手が威力の乗った攻撃が行なえる範囲から身体を逃がす。これをバットで例えるなら、同じフルスイングでも遠心力の乗った先端部分で叩かれるのと、乗ってない根元の部分で叩かれるのでは威力が違うのは解るよね?」
「せやね。そこまで近づかれたら、攻撃する方も思うようには攻撃できひんもんね」
「そういうこと。そして最後の三歩目で、相手は自身の正対する位置から対象に逃げられているのに対し、こちらは側面を突く形で相手に正対する(きゅま!)。これが回避と防御と反撃を一度に行う達人の足捌きだよ」
「はぁ~…。そうして教えてもらうと、凄いもんなんやねェ~」
「はい。スゴイですコーチ」
「ハハハ。でもまぁ、オレもお手本にした拳法の達人を真似しただけなんだよ」
美人女子大生たちに凄い凄いと褒めそやされると、なんだか本物の指導官みたいな気分になってきてしまう。
「ほんなら三歩目まで入れたら、あとはこっちのモンなんやね。あのスパァン!は、どないするん?」
おっと、仁菜さんは何度か披露した掌底がお気に召したようだね。
「それは掌底(しょうてい)だね。うん、手の平じゃなくて、こう…小指側の手首の骨で相手を殴る感じで…。そうそう!」
掌底は普通に拳で殴るよりも少しコツがいる。でも慣れると拳のように指を痛める心配がないので、思っていた以上に使いやすい。しかも即座に掴んだり捻ったりと関節技にも持ち込めるので、パンチで戦うよりも戦略の幅が広がるのだ。
「こうで(スッ)…こうで(スッ)…こう(きゅざ!)」
「おっ、瑠羽。良く出来てるよ。あとは三歩目の時に、慌てないでしっかり地面に足をついて威力の乗った攻撃を放てるようにすればいい」
「はい、ありがとうございますコーチ!」
ハァ…、瑠羽はええ子やなぁ。ほんまめっちゃ可愛いやん。
「こうで(スッ)…こうで(スッ)…こうやな(きゅま!)」
ん、なんか仁菜さんがサクッと一発で体得したような気がするけど…気のせいかな??
「え~と…ただあんまり掌底に拘り過ぎないでね。相手との体格差も考慮して、例えば女性の場合は男性が相手なら、三歩目で相手の左腕を持ち上げて、空いた脇腹にひじ打ちとかが効果的な攻撃になるだろうしね…」
「あ~ん!私もやりたい~!」
おっと、今度は攻め手をやらされていた瀬来さんが焦れてきたようだ。
「はい、じゃあいいよ。ゆっくりと攻撃するから、瀬来さんもゆっくり動いてしっかり覚えるように
やってみて」
「はい!師匠!(スッ…スッ…きュバッ!)」
「はい、力み過ぎぃ~。それだと万が一躱された時には、次の動きに移るまでに固くなったカラダじゃ反応しきれず反撃されま~す(ちょん!)」
そう言って重心を崩す様に肩を押すと、力み過ぎた瀬来さんは簡単にひっくり返ってしまう。
「きゃああ!?…もうひど~い、師匠!」
「ぜんぜん酷くないの。弟子の至らない点を指摘するのは師匠の仕事なの」
「ハハハ、万智もコォチ一本取られたなぁ」
「コ、コーチ!今度はわたしをっ…!」
砂の上に転がった瀬来さんに代わり瑠羽がオレの前に立つ。
「ああ、瑠羽。ゆっくりと動くから、ひとつずつ丁寧にな!」
「ハイッ!」
「「「ざわ…ざわざわ」」」
「おい…あれ…」
「スゲ~、いいなぁ…」
おっと。浜辺で格闘訓練を行うマッチョと美人女子大生という構図は、またしても周囲の注目を集めてしまったようだ。
………。
午後3時。暑かった陽射しも幾分柔らかく感じられ、。海水浴に訪れていた客もだいぶまばらになってきた。
『ざざ~ん…ざざ~ん…』
(………)
格闘訓練で汗をかいた瑠羽たちは、メイクを直すと言って海の家に向かった。昼飯を採ることもなく合間合間に焼きトウモロコシやフランクフルトを齧っていたので、特に腹が空いている訳でもない。
(あ~…愉しかった)
うん、まるで夢のようだ。
思い返せばサラリーマン時代。偶の休みの日といえどこびりつくような疲労に昼近くまで眠り、出かけるといっても近所のラーメン屋が関の山。そんな日々をここ数年過ごしていたオレが、まさかこんな素晴らしい一日を過ごせるなんて。
瑠羽に仁菜さんに瀬来さん。彼女たちには感謝しかない。ああ、あとサプライズを齎してくれたツナミさんにも感謝。すごく驚いたし砂で目も痛かったけど、その何倍も愉しい時間を過ごさせてもらえた。。
『ざざ~ん…ざざ~ん…ジィ~~ッカナカナカナッ…!』
(…ああ、もう夏も終わりカァ…)
でも今年の夏は最高だ。
瑠羽という可愛い彼女ができ、その友達の仁菜さんと瀬来さんとも一緒にこうして海水浴の出かけて来れたのだから。うんうん、しみじみと生きていて良かった…。
『カラーン、カローン…』
お、アイスキャンデイ売りか…。鐘の音がなんとも懐かしい。そうだ、アイスはまだ食べてないから一本もらおうかな。
「お~い!すみませ~ん!」
「ハーイ!あれ…まさかとは思ったけど、おまえジャングじゃねぇか!」
麦わら帽子に短パンデニム。白いTシャツにはでかでかと夏と書かれたアイスキャンデイ売り。近づいてきたと思ったら、そいつはサバゲサークル・トライデントの毒舌JKシャークだった。
「な、シャーク!?おまえこんなとこで何やってるんだ、バイトか?」
今日は奇しくも色んな知り合いに出遭うものだ。桂名といい、ツナミさんといい…挙句にシャークまでとは。
「まぁバイトというか家の手伝いというか、半々だな。元々アタシは利賀って苗字で、シャープって呼ばれてたんだ」
うん、まぁこの娘。目つきは悪いし性格もトンガってるから、シャープと呼ばれててもなんら不思議ではないな。
「でも去年、夏の間は実家の海の家を手伝うからあんまり参加できねぇって話したらさ、いつのまにかシャープからシャークに変わってたんだよ。おかしくね?」
「ふ~む…いつの間にやら海繋がりでシャープからシャークか。まぁでも悪くないんじゃないか。シャープよりもスネークとかシャークとかの方が。動物名のコードネームの方がカッコイイぞ」
「へっ…そ、そうかな?いやッ…アタシは別にそんな風には思わないんだけどな…」
「いやいや、シャークも充分カッコイイって。で、そうだ。アイスキャンディ一本くれるか?」
「ああ。じゃ、500円」
「たけぇなオイ!」
……。
『ざざ~ん…ざざ~ん…』
(………)
海を眺めながら独りダンディにアイスキャンディを舐める。瑠羽たちはまだ帰ってこない。まぁ女の子だ、身だしなみに時間のかかるのは普通の事なのだろう。
そうしてひとり静かに斜陽の海岸線を眺めていると、なぜかまたシャークが戻ってきた。
「オゴってやるから食えよ…」
と、オレに向けズイと手に持ったイカ焼きを差し出すシャーク。いや、おまえアイスキャンディ食ってる時にイカ焼き持ってくるなよ。どういうチョイスなんだ?
「サンキュー…」
でもまぁ一応礼を言って受け取ると、イカ焼きは今焼いたばかりのアツアツで湯気が立っている。もう浜辺の客もだいぶ疎らのなのに、もしかしてわざわざオレの為に焼いてくれたのか??
「あのさ…ジャング…」
「ん…?」
この受けとった焼きたてのイカ焼きをどうしたものかと考えていると、シャークが少し声のトーンを落として話しはじめた。
「ジャングは強いんだよな?ダンジョンでも戦えるくらい…」
「ん~…まぁダンゴムシやゴブリンくらいなら敵じゃないと言っておこうか。それ以上は要相談だ」
「じゃあさ、―」
「あれぇ?…またコォチ知らん女の子と話しとらん?」
「もぉ!隙あらばだね!ルウ!しっかり師匠を見張ってないとダメだよ!」
「う、うん…!」
そうして何事か話そうとしていたシャークだったが、戻ってきた瑠羽たちの声に止めてしまう。
「おい、どうした?」
「あ、いやいい…。ジャングたちは今日はどこ泊まってんだっけ?」
一旦オレの横に屈みかけていたシャークだったが、急に立ち上がると帰る素振りを見せながら問うてきた。
「確か、ホテル鳩月かな」
「ああ、そこなら知ってる。じゃあ…後でまた話しに行くかもしれないから、その時は頼むな!」
それだけ言うと、シャークは瑠羽たちと入れ違いに走り去ってしまうのだった。
でも教え合いっこする約束をしたので、すでに連絡先は交換済み。いやはや、ビーチで女性の連絡先を教えてもらうなんてなんだか嘘みたいだな。
そうしてツナミさんが去った後も、オレはなお美人女子大生たちに囲まれていた。ウハッ、もしかして今日はずっとオレのターン!?
「じゃあもう一度見せるよ。こうで(スッ)…こうで(スッ)…こう(きゅま!)」
「う~ん…見てる分には、ものすごく簡単に見えるんやけどなぁ…」
で、何をしているのかというと仁菜さんたっての希望でスパァン!こと、達人の足捌きを三人にレクチャーしていたのだった。
「ん~解りにくいかな?じゃ、瀬来さん。ちょっとオレの前に立って構えてみて」
「え、こう…?師匠」
瀬来さんを呼ぶと、意を汲んでファイティングポーズを構えてくれる。
「オッケー、じゃあ少しそのままでいてね。では仁菜さんと瑠羽はよく見てて。まず一歩目は、相手に近づきつつ中心線を僅かにずらす(スッ)。これにより相手は距離感を狂わされ、正対している身体の中心線もずれてくる」
「ふんふん…」
「では次に二歩目。ここで大きく身体を横にずらし、急接近しつつも相手が威力の乗った攻撃が行なえる範囲から身体を逃がす。これをバットで例えるなら、同じフルスイングでも遠心力の乗った先端部分で叩かれるのと、乗ってない根元の部分で叩かれるのでは威力が違うのは解るよね?」
「せやね。そこまで近づかれたら、攻撃する方も思うようには攻撃できひんもんね」
「そういうこと。そして最後の三歩目で、相手は自身の正対する位置から対象に逃げられているのに対し、こちらは側面を突く形で相手に正対する(きゅま!)。これが回避と防御と反撃を一度に行う達人の足捌きだよ」
「はぁ~…。そうして教えてもらうと、凄いもんなんやねェ~」
「はい。スゴイですコーチ」
「ハハハ。でもまぁ、オレもお手本にした拳法の達人を真似しただけなんだよ」
美人女子大生たちに凄い凄いと褒めそやされると、なんだか本物の指導官みたいな気分になってきてしまう。
「ほんなら三歩目まで入れたら、あとはこっちのモンなんやね。あのスパァン!は、どないするん?」
おっと、仁菜さんは何度か披露した掌底がお気に召したようだね。
「それは掌底(しょうてい)だね。うん、手の平じゃなくて、こう…小指側の手首の骨で相手を殴る感じで…。そうそう!」
掌底は普通に拳で殴るよりも少しコツがいる。でも慣れると拳のように指を痛める心配がないので、思っていた以上に使いやすい。しかも即座に掴んだり捻ったりと関節技にも持ち込めるので、パンチで戦うよりも戦略の幅が広がるのだ。
「こうで(スッ)…こうで(スッ)…こう(きゅざ!)」
「おっ、瑠羽。良く出来てるよ。あとは三歩目の時に、慌てないでしっかり地面に足をついて威力の乗った攻撃を放てるようにすればいい」
「はい、ありがとうございますコーチ!」
ハァ…、瑠羽はええ子やなぁ。ほんまめっちゃ可愛いやん。
「こうで(スッ)…こうで(スッ)…こうやな(きゅま!)」
ん、なんか仁菜さんがサクッと一発で体得したような気がするけど…気のせいかな??
「え~と…ただあんまり掌底に拘り過ぎないでね。相手との体格差も考慮して、例えば女性の場合は男性が相手なら、三歩目で相手の左腕を持ち上げて、空いた脇腹にひじ打ちとかが効果的な攻撃になるだろうしね…」
「あ~ん!私もやりたい~!」
おっと、今度は攻め手をやらされていた瀬来さんが焦れてきたようだ。
「はい、じゃあいいよ。ゆっくりと攻撃するから、瀬来さんもゆっくり動いてしっかり覚えるように
やってみて」
「はい!師匠!(スッ…スッ…きュバッ!)」
「はい、力み過ぎぃ~。それだと万が一躱された時には、次の動きに移るまでに固くなったカラダじゃ反応しきれず反撃されま~す(ちょん!)」
そう言って重心を崩す様に肩を押すと、力み過ぎた瀬来さんは簡単にひっくり返ってしまう。
「きゃああ!?…もうひど~い、師匠!」
「ぜんぜん酷くないの。弟子の至らない点を指摘するのは師匠の仕事なの」
「ハハハ、万智もコォチ一本取られたなぁ」
「コ、コーチ!今度はわたしをっ…!」
砂の上に転がった瀬来さんに代わり瑠羽がオレの前に立つ。
「ああ、瑠羽。ゆっくりと動くから、ひとつずつ丁寧にな!」
「ハイッ!」
「「「ざわ…ざわざわ」」」
「おい…あれ…」
「スゲ~、いいなぁ…」
おっと。浜辺で格闘訓練を行うマッチョと美人女子大生という構図は、またしても周囲の注目を集めてしまったようだ。
………。
午後3時。暑かった陽射しも幾分柔らかく感じられ、。海水浴に訪れていた客もだいぶまばらになってきた。
『ざざ~ん…ざざ~ん…』
(………)
格闘訓練で汗をかいた瑠羽たちは、メイクを直すと言って海の家に向かった。昼飯を採ることもなく合間合間に焼きトウモロコシやフランクフルトを齧っていたので、特に腹が空いている訳でもない。
(あ~…愉しかった)
うん、まるで夢のようだ。
思い返せばサラリーマン時代。偶の休みの日といえどこびりつくような疲労に昼近くまで眠り、出かけるといっても近所のラーメン屋が関の山。そんな日々をここ数年過ごしていたオレが、まさかこんな素晴らしい一日を過ごせるなんて。
瑠羽に仁菜さんに瀬来さん。彼女たちには感謝しかない。ああ、あとサプライズを齎してくれたツナミさんにも感謝。すごく驚いたし砂で目も痛かったけど、その何倍も愉しい時間を過ごさせてもらえた。。
『ざざ~ん…ざざ~ん…ジィ~~ッカナカナカナッ…!』
(…ああ、もう夏も終わりカァ…)
でも今年の夏は最高だ。
瑠羽という可愛い彼女ができ、その友達の仁菜さんと瀬来さんとも一緒にこうして海水浴の出かけて来れたのだから。うんうん、しみじみと生きていて良かった…。
『カラーン、カローン…』
お、アイスキャンデイ売りか…。鐘の音がなんとも懐かしい。そうだ、アイスはまだ食べてないから一本もらおうかな。
「お~い!すみませ~ん!」
「ハーイ!あれ…まさかとは思ったけど、おまえジャングじゃねぇか!」
麦わら帽子に短パンデニム。白いTシャツにはでかでかと夏と書かれたアイスキャンデイ売り。近づいてきたと思ったら、そいつはサバゲサークル・トライデントの毒舌JKシャークだった。
「な、シャーク!?おまえこんなとこで何やってるんだ、バイトか?」
今日は奇しくも色んな知り合いに出遭うものだ。桂名といい、ツナミさんといい…挙句にシャークまでとは。
「まぁバイトというか家の手伝いというか、半々だな。元々アタシは利賀って苗字で、シャープって呼ばれてたんだ」
うん、まぁこの娘。目つきは悪いし性格もトンガってるから、シャープと呼ばれててもなんら不思議ではないな。
「でも去年、夏の間は実家の海の家を手伝うからあんまり参加できねぇって話したらさ、いつのまにかシャープからシャークに変わってたんだよ。おかしくね?」
「ふ~む…いつの間にやら海繋がりでシャープからシャークか。まぁでも悪くないんじゃないか。シャープよりもスネークとかシャークとかの方が。動物名のコードネームの方がカッコイイぞ」
「へっ…そ、そうかな?いやッ…アタシは別にそんな風には思わないんだけどな…」
「いやいや、シャークも充分カッコイイって。で、そうだ。アイスキャンディ一本くれるか?」
「ああ。じゃ、500円」
「たけぇなオイ!」
……。
『ざざ~ん…ざざ~ん…』
(………)
海を眺めながら独りダンディにアイスキャンディを舐める。瑠羽たちはまだ帰ってこない。まぁ女の子だ、身だしなみに時間のかかるのは普通の事なのだろう。
そうしてひとり静かに斜陽の海岸線を眺めていると、なぜかまたシャークが戻ってきた。
「オゴってやるから食えよ…」
と、オレに向けズイと手に持ったイカ焼きを差し出すシャーク。いや、おまえアイスキャンディ食ってる時にイカ焼き持ってくるなよ。どういうチョイスなんだ?
「サンキュー…」
でもまぁ一応礼を言って受け取ると、イカ焼きは今焼いたばかりのアツアツで湯気が立っている。もう浜辺の客もだいぶ疎らのなのに、もしかしてわざわざオレの為に焼いてくれたのか??
「あのさ…ジャング…」
「ん…?」
この受けとった焼きたてのイカ焼きをどうしたものかと考えていると、シャークが少し声のトーンを落として話しはじめた。
「ジャングは強いんだよな?ダンジョンでも戦えるくらい…」
「ん~…まぁダンゴムシやゴブリンくらいなら敵じゃないと言っておこうか。それ以上は要相談だ」
「じゃあさ、―」
「あれぇ?…またコォチ知らん女の子と話しとらん?」
「もぉ!隙あらばだね!ルウ!しっかり師匠を見張ってないとダメだよ!」
「う、うん…!」
そうして何事か話そうとしていたシャークだったが、戻ってきた瑠羽たちの声に止めてしまう。
「おい、どうした?」
「あ、いやいい…。ジャングたちは今日はどこ泊まってんだっけ?」
一旦オレの横に屈みかけていたシャークだったが、急に立ち上がると帰る素振りを見せながら問うてきた。
「確か、ホテル鳩月かな」
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