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バトルフィールド奪還作戦
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よく澄んだ寒空の下に、熱きサバゲーマーたちの雄叫びが響き渡る。
「それっ、総員かかれぇ~!!」
「「「うおぉぉ~!!」」」
迷彩服に身を包みゴーグルを被った大勢のサバゲーマー達が、竹槍を手にお化けアロエに向け挑みかかっていく。だが、手にしているのはただの竹槍ではない。それはカンフーバンブーと呼ぶ植物系モンスターを倒して手に入れた素材であり、その先端には薄いピンク色をした鋭く歪な岩塩の穂先がついているのだ。
そしてそれは植物モンスターに対し、強い攻撃力を持つ特殊武器。
「突撃ぃぃ~~ッ!」
「パンツァ~フォ~ッ!!」
「よくも俺の愛車をぉぉぉ~!!!」
そして雄叫びの内容は様々であるが、士気は極めて旺盛だ。
「(ビスビスビスッ!)じゅびぃぃぃいぃ……ッ!!(くたっ)」
怒れるサバゲーマー達の竹槍特攻をその身に受け、お化けアロエはあえなく絶命。
そう、植物にとって塩は猛毒。岩塩竹槍の攻撃を受けた植物モンスターは、まるで毒の攻撃を受けたかの如く動きが鈍り、しおしおとその活力を失ってしまうのだ。
「(バサバサバサァ~!)キロリララ…ッ!!」
「うわぁ~!た、竹が出たぞぉ!」
「私にまかせて!当たれ、岩塩円盤斬(ソルトソーサー)!」
「ひるむな!取り囲んで根を突きまくれ!」
「「おおぉ!!」」
そんなサバゲーマー達のなかにあって、一際目立つ白銀の鎧を身に纏った美女がふたり。それは誰あろう、我が教え子の美人女子大生瀬来さんとミリオタ女子高生のシャーク。
ああうん、一戦闘終えたあとでシャークがどうしても塩の鎧が欲しいって言うから、聖塩衣をシャークの分も用意してやったんだ。なのでシャークも現在は聖塩衣装備。でも汗をかいた戦闘服から私服に着替えての着用。戦闘服はともかく、私服まで汚れたら帰りどうするんだか。おばさんに叱られても知らないぞ。
さらに追加装備として、ふたりの聖塩衣には岩塩丸鋸のマウントラックも取り付け済。
まぁともかく勇ましく植物系モンスターに挑む美女ふたりの姿は、白く輝く鎧も相まってさながらワルキューレの様。ふふふ、ふたりともオレがダンジョンでしっかりと鍛えたのだから、そこらの芋っぽい戦闘演技の特撮モノとは訳が違うぞ。
「よし!根だ、根を狙え!」
「足を攻撃して動きを封じるんだ!」
そしてそんな彼女らの姿に勇気づけられたサバゲーマー達が、再び勢いを盛り返してカンフーバンブーを取り囲んでいく。
「ククク…、圧倒的ではないか我が軍は」
そしてさらにその後方では、そんな戦う者たちの背中を逞しく感じながら腕を組んで見守る提督とオレ。いやでも提督、そんなこと言ってると腹黒な妹に後ろから撃たれちゃうよ?
「いやぁ~、やっとるなぁ♪」
「お待たせしましたコーチ」
お、ようやく着いたか。振り返れば今日は小旅行におでかけといった装いのお姉さんチックな仁菜さんと、いつもキュートな瑠羽が歩いてくる。
「ふたりともお疲れ、道は空いてた?」
「スイスイやったよ、なぁ瑠羽ちゃん」
「うん」
「ジャング、このおふたりは?」
「ああ提督、紹介しよう。仁菜さんと瑠羽、ふたりも瀬来さんとシャーク同様、オレが戦闘指導しているんだ」
「「はじめましてぇ」」
「はは…。こりゃまた…すごい美人が増えたな。いや、俺はサバゲサークル・トライデントの代表で、提督と呼ばれている。よろしく」
ははは、ご年配の提督が仁菜さんと瑠羽の美貌に面くらってるよ。ふふふ、どうだすごかろう。オレの彼女なんだぞ。
「ほんで、なぁコォチ。ずっと戦闘しとるん?もぉええ時間やし、そろそろお昼にせぇへん?」
「はい、スーツもですけど、カニも持ってきてますよ!それに途中、地元の特産品店に寄って野菜も買ってきました!」
ふたりは振り向いて乗ってきたレンタカーに眼を向ける。
帰りのことも考えて大きな車を借りてくれたようだ。そしてその車内では、窓越しに縛られた巨大カニがもぞもぞと身じろぎしているのが見て取れた。
「それはナイスだふたりとも!よし、というわけだ提督。増援が救援物資も持って到着してくれたぞ」
「おお、それは助かる!では一旦戦闘を中断して全員を集めよう。(ごそごそ)…ピ、ピ、ピピィーーーーッ!!」
ゲームの際に使っているのだろうホイッスルを胸ポケットから取り出した提督が、バトルフィールド全域に響き渡るような音量でホイッスルを吹き鳴らした。
…。
『わいわい…ガヤガヤ…』
「怪我をされた方いませんかぁ~!いたらこちらで治療を受けてくださ~い!」
全員がバトルフィールドの東屋に集まってきた。戦闘に参加していた者も、砂利の斜面に避難していた者達も、全員だ。
そんななかで瑠羽は怪我をした人の為に、救護活動を行ってくれている。
あの引っ込み思案で、いつも瀬来さんの陰に隠れるようにしていたかつての瑠羽とはまるで別人のよう。うんうん…その成長に、なんだかほろりと胸が熱くなってしまう。
「ジャング…なに瑠羽姉ぇのこと見てニヤニヤしてんだよ。いやらしいぞ!」
「ちょ…!おまえはそんな事言ってないで、手を洗ったら瀬来さんといっしょに仁菜さんを手伝いに行けよ!」
「ウッサイなぁ~今行くとこだろ。行こうぜ万智」
「もう!なんでルウにはちゃんと姉ぇなんてつけるのに、私には呼び捨てなのよシャーク!」
またいつもの如くシャークと瀬来さんは、口げんかをしながら仁菜さんの下に向かっていく。
ふふ…とはいえダンジョンで共に学び、鍛え、同じ釜の飯を食っているうちに、シャークは優しい瑠羽になついた。恐らくシャークの中のヒエラルキーでは、『仁菜姉ぇ>瑠羽姉ぇ>自分≒万智』となっているのだろう。
「うわデケぇ~!なんだこの蟹は…!」
「みんなもうちょっとだけ待っとってなぁ~。いま美味しいカニ汁ができるさかい♪(バキャ!)」
「「「おぉ…!」」」
「な、なにか手伝いますよ!」
「俺も俺も!」
うん、相変わらず仁菜さんは男性たちに大人気。
普段は決して自分から動くことはしない。が、ここぞという時には的確にポイントをついて行動する。その気遣い心遣い的なアクションに、男はコロッと参ってしまう。いつだって恐ろしいまでに好感度を稼ぎまくる計算高い女性、それが我らの仁菜さんなのだ。
……。
「あ~、おほん!みんな聞いてくれ!本日のサバゲ定例イベントは、モンスターが突然現れたことで飛んだことになってしまった。が、ここにいるジャングと美しきワルキューレたちの増援。そして諸君たちの奮闘によって、バトルフィールドの奪還も今や目前である!
そしてさらに、彼女たちは医療物資の支援やこうして温かい食事まで用意してくれた。全員、感謝して頂くように…敬礼ッ!!」
「「「ありがとうございましたッ!いただきますッ!!(ビシッ!)」」」
提督が音頭をとってオレ達への謝意を述べると、サバゲサークル・トライデントのメンバーや一般参加のお兄さんたちがビシッと敬礼を決めお礼をしてくれる。
『『わいわい…ガヤガヤ…』』
そしてその後は、和気藹々としたお食事タイムだ。
『じゅうぅぅぅ…パチパチ…!』
「おほぉ!!うまそぉ~~ッ!!」
「すげぇ良い匂いだなぁ~~!」
ブロックを組んだ炉の上で、金網に載せられじゅうじゅうと良い匂いをあげるカニの脚たち。と、それをジッと見守り、涎を垂らさんばかりのサバゲーマーたちの図。
「ずずぅ~…、あああああああああぁ~…!温っまるぅぅ~~ッ!」
「おいおいおまえ、あが随分と長いな。でも、コレうめぇよなぁ~。ずずぅ…!」
「右手に蟹の脚でしょ!で、左手にも蟹汁ッ!…最強じゃぁあああッ!!」
うんうん、みな思い思いに食事を楽しんでくれていてなによりだ。
「いやぁジャング、おまえにはすっかり世話になってしまったなぁ…」
食事を楽しむメンバーや参加者たちに声をかけ慰撫して回っていた提督が、ようやくひと心地着くため古びたパイプ椅子を手にオレの背後へと腰を下ろした。
「なぁに、気にしないでくれ提督」
「はい、提督さんもどうぞ」
瑠羽から美味そうに焼かれた蟹の脚を渡され、受けとって軽く頭をさげる提督が言葉を続ける。
「ああ、瑠羽さんと言ったかな。メンバーの治療までしてもらって、すまなかった。ガサツな連中で、さぞ面倒をかけただろう?」
「いえ、みなさんこちらにも大変気を使ってくださいましたよ」
「むぅ…そうだといいんだが、(がぶっ)ん!コレは美味いな!」
「ははは、提督もみんなの面倒を見て大変だな。気疲れした分もジャンジャン食ってくれ」
「む、そうか?いや…でもこの大ぶりの蟹の身はすごい。コレはいったい、一杯幾らするんだ??」
「ふふ…、ぶっちゃけダンジョン産だからタダだ」
「なにぃ…!?ぶほぉっ!ごほっ!ごほっ…!!」
「おっと、大丈夫だって。日本じゃまだそれほど聞かれないが、海外ではだいぶダンジョン産のモノも食われ始めているらしい。それにオレも彼女たちも、年が明けてからはほぼ毎日蟹尽くしで食ってる」
「ほ、本当なのかシャーク??」
「ああ、モンスターだって美味きゃ正義だ。強くなるためなら、アタシはモンスターだって食べる!(もぐもぐ)」
うん、カッコいい事を言っているが、おまえは箸の使い方がなってないぞシャーク。
「そない気にせんでも平気やて提督さん。逆に前よりも身体の調子がええくらいやもん♪」
「そうそう。確かに気味が悪いってのも解るけど、食べ慣れると案外平気よね♪」
驚いて目を白黒させる提督に、仁菜さんと瀬来さんもフォローをいれる。
まぁ物語だとそう言った後で手酷いしっぺ返しを喰らうのだが、これに関しては大丈夫だろう。塩太郎とピクシークィーンにもダンジョンモンスターを食することの可否について問うてみたけど、ふたりとも『なぜそんなことを気にするのか解らない』といった返答だった。価値観と概念が違い過ぎたようだ。
「う~む、だがしかし…(もぐもぐ)、長い事摂取したことによっても…(むぐむぐ)」
なんだかんだ考え込みながらも、その美味しさに負けてつい巨大カニの焼き身を口に運んでしまう提督。
うん、でも大丈夫。たぶんマ〇ンゴみたいなことにはならないよ。もしそれが怖いのなら、強くなって食べるモンスターよりも存在の格が上になっていればいい。オレの左足となったレッドスライムは、そのせいで変異してしまったみたいだし。
だからまぁ、自分で倒したモンスターを食べるくらいなら問題はないだろう。
ああ、ちなみにマ〇ンゴってのは、冬虫夏草みたいに人に寄生して殖えてしまうキノコのこと。いやはや、なんとも不気味なホラーだね。
「それっ、総員かかれぇ~!!」
「「「うおぉぉ~!!」」」
迷彩服に身を包みゴーグルを被った大勢のサバゲーマー達が、竹槍を手にお化けアロエに向け挑みかかっていく。だが、手にしているのはただの竹槍ではない。それはカンフーバンブーと呼ぶ植物系モンスターを倒して手に入れた素材であり、その先端には薄いピンク色をした鋭く歪な岩塩の穂先がついているのだ。
そしてそれは植物モンスターに対し、強い攻撃力を持つ特殊武器。
「突撃ぃぃ~~ッ!」
「パンツァ~フォ~ッ!!」
「よくも俺の愛車をぉぉぉ~!!!」
そして雄叫びの内容は様々であるが、士気は極めて旺盛だ。
「(ビスビスビスッ!)じゅびぃぃぃいぃ……ッ!!(くたっ)」
怒れるサバゲーマー達の竹槍特攻をその身に受け、お化けアロエはあえなく絶命。
そう、植物にとって塩は猛毒。岩塩竹槍の攻撃を受けた植物モンスターは、まるで毒の攻撃を受けたかの如く動きが鈍り、しおしおとその活力を失ってしまうのだ。
「(バサバサバサァ~!)キロリララ…ッ!!」
「うわぁ~!た、竹が出たぞぉ!」
「私にまかせて!当たれ、岩塩円盤斬(ソルトソーサー)!」
「ひるむな!取り囲んで根を突きまくれ!」
「「おおぉ!!」」
そんなサバゲーマー達のなかにあって、一際目立つ白銀の鎧を身に纏った美女がふたり。それは誰あろう、我が教え子の美人女子大生瀬来さんとミリオタ女子高生のシャーク。
ああうん、一戦闘終えたあとでシャークがどうしても塩の鎧が欲しいって言うから、聖塩衣をシャークの分も用意してやったんだ。なのでシャークも現在は聖塩衣装備。でも汗をかいた戦闘服から私服に着替えての着用。戦闘服はともかく、私服まで汚れたら帰りどうするんだか。おばさんに叱られても知らないぞ。
さらに追加装備として、ふたりの聖塩衣には岩塩丸鋸のマウントラックも取り付け済。
まぁともかく勇ましく植物系モンスターに挑む美女ふたりの姿は、白く輝く鎧も相まってさながらワルキューレの様。ふふふ、ふたりともオレがダンジョンでしっかりと鍛えたのだから、そこらの芋っぽい戦闘演技の特撮モノとは訳が違うぞ。
「よし!根だ、根を狙え!」
「足を攻撃して動きを封じるんだ!」
そしてそんな彼女らの姿に勇気づけられたサバゲーマー達が、再び勢いを盛り返してカンフーバンブーを取り囲んでいく。
「ククク…、圧倒的ではないか我が軍は」
そしてさらにその後方では、そんな戦う者たちの背中を逞しく感じながら腕を組んで見守る提督とオレ。いやでも提督、そんなこと言ってると腹黒な妹に後ろから撃たれちゃうよ?
「いやぁ~、やっとるなぁ♪」
「お待たせしましたコーチ」
お、ようやく着いたか。振り返れば今日は小旅行におでかけといった装いのお姉さんチックな仁菜さんと、いつもキュートな瑠羽が歩いてくる。
「ふたりともお疲れ、道は空いてた?」
「スイスイやったよ、なぁ瑠羽ちゃん」
「うん」
「ジャング、このおふたりは?」
「ああ提督、紹介しよう。仁菜さんと瑠羽、ふたりも瀬来さんとシャーク同様、オレが戦闘指導しているんだ」
「「はじめましてぇ」」
「はは…。こりゃまた…すごい美人が増えたな。いや、俺はサバゲサークル・トライデントの代表で、提督と呼ばれている。よろしく」
ははは、ご年配の提督が仁菜さんと瑠羽の美貌に面くらってるよ。ふふふ、どうだすごかろう。オレの彼女なんだぞ。
「ほんで、なぁコォチ。ずっと戦闘しとるん?もぉええ時間やし、そろそろお昼にせぇへん?」
「はい、スーツもですけど、カニも持ってきてますよ!それに途中、地元の特産品店に寄って野菜も買ってきました!」
ふたりは振り向いて乗ってきたレンタカーに眼を向ける。
帰りのことも考えて大きな車を借りてくれたようだ。そしてその車内では、窓越しに縛られた巨大カニがもぞもぞと身じろぎしているのが見て取れた。
「それはナイスだふたりとも!よし、というわけだ提督。増援が救援物資も持って到着してくれたぞ」
「おお、それは助かる!では一旦戦闘を中断して全員を集めよう。(ごそごそ)…ピ、ピ、ピピィーーーーッ!!」
ゲームの際に使っているのだろうホイッスルを胸ポケットから取り出した提督が、バトルフィールド全域に響き渡るような音量でホイッスルを吹き鳴らした。
…。
『わいわい…ガヤガヤ…』
「怪我をされた方いませんかぁ~!いたらこちらで治療を受けてくださ~い!」
全員がバトルフィールドの東屋に集まってきた。戦闘に参加していた者も、砂利の斜面に避難していた者達も、全員だ。
そんななかで瑠羽は怪我をした人の為に、救護活動を行ってくれている。
あの引っ込み思案で、いつも瀬来さんの陰に隠れるようにしていたかつての瑠羽とはまるで別人のよう。うんうん…その成長に、なんだかほろりと胸が熱くなってしまう。
「ジャング…なに瑠羽姉ぇのこと見てニヤニヤしてんだよ。いやらしいぞ!」
「ちょ…!おまえはそんな事言ってないで、手を洗ったら瀬来さんといっしょに仁菜さんを手伝いに行けよ!」
「ウッサイなぁ~今行くとこだろ。行こうぜ万智」
「もう!なんでルウにはちゃんと姉ぇなんてつけるのに、私には呼び捨てなのよシャーク!」
またいつもの如くシャークと瀬来さんは、口げんかをしながら仁菜さんの下に向かっていく。
ふふ…とはいえダンジョンで共に学び、鍛え、同じ釜の飯を食っているうちに、シャークは優しい瑠羽になついた。恐らくシャークの中のヒエラルキーでは、『仁菜姉ぇ>瑠羽姉ぇ>自分≒万智』となっているのだろう。
「うわデケぇ~!なんだこの蟹は…!」
「みんなもうちょっとだけ待っとってなぁ~。いま美味しいカニ汁ができるさかい♪(バキャ!)」
「「「おぉ…!」」」
「な、なにか手伝いますよ!」
「俺も俺も!」
うん、相変わらず仁菜さんは男性たちに大人気。
普段は決して自分から動くことはしない。が、ここぞという時には的確にポイントをついて行動する。その気遣い心遣い的なアクションに、男はコロッと参ってしまう。いつだって恐ろしいまでに好感度を稼ぎまくる計算高い女性、それが我らの仁菜さんなのだ。
……。
「あ~、おほん!みんな聞いてくれ!本日のサバゲ定例イベントは、モンスターが突然現れたことで飛んだことになってしまった。が、ここにいるジャングと美しきワルキューレたちの増援。そして諸君たちの奮闘によって、バトルフィールドの奪還も今や目前である!
そしてさらに、彼女たちは医療物資の支援やこうして温かい食事まで用意してくれた。全員、感謝して頂くように…敬礼ッ!!」
「「「ありがとうございましたッ!いただきますッ!!(ビシッ!)」」」
提督が音頭をとってオレ達への謝意を述べると、サバゲサークル・トライデントのメンバーや一般参加のお兄さんたちがビシッと敬礼を決めお礼をしてくれる。
『『わいわい…ガヤガヤ…』』
そしてその後は、和気藹々としたお食事タイムだ。
『じゅうぅぅぅ…パチパチ…!』
「おほぉ!!うまそぉ~~ッ!!」
「すげぇ良い匂いだなぁ~~!」
ブロックを組んだ炉の上で、金網に載せられじゅうじゅうと良い匂いをあげるカニの脚たち。と、それをジッと見守り、涎を垂らさんばかりのサバゲーマーたちの図。
「ずずぅ~…、あああああああああぁ~…!温っまるぅぅ~~ッ!」
「おいおいおまえ、あが随分と長いな。でも、コレうめぇよなぁ~。ずずぅ…!」
「右手に蟹の脚でしょ!で、左手にも蟹汁ッ!…最強じゃぁあああッ!!」
うんうん、みな思い思いに食事を楽しんでくれていてなによりだ。
「いやぁジャング、おまえにはすっかり世話になってしまったなぁ…」
食事を楽しむメンバーや参加者たちに声をかけ慰撫して回っていた提督が、ようやくひと心地着くため古びたパイプ椅子を手にオレの背後へと腰を下ろした。
「なぁに、気にしないでくれ提督」
「はい、提督さんもどうぞ」
瑠羽から美味そうに焼かれた蟹の脚を渡され、受けとって軽く頭をさげる提督が言葉を続ける。
「ああ、瑠羽さんと言ったかな。メンバーの治療までしてもらって、すまなかった。ガサツな連中で、さぞ面倒をかけただろう?」
「いえ、みなさんこちらにも大変気を使ってくださいましたよ」
「むぅ…そうだといいんだが、(がぶっ)ん!コレは美味いな!」
「ははは、提督もみんなの面倒を見て大変だな。気疲れした分もジャンジャン食ってくれ」
「む、そうか?いや…でもこの大ぶりの蟹の身はすごい。コレはいったい、一杯幾らするんだ??」
「ふふ…、ぶっちゃけダンジョン産だからタダだ」
「なにぃ…!?ぶほぉっ!ごほっ!ごほっ…!!」
「おっと、大丈夫だって。日本じゃまだそれほど聞かれないが、海外ではだいぶダンジョン産のモノも食われ始めているらしい。それにオレも彼女たちも、年が明けてからはほぼ毎日蟹尽くしで食ってる」
「ほ、本当なのかシャーク??」
「ああ、モンスターだって美味きゃ正義だ。強くなるためなら、アタシはモンスターだって食べる!(もぐもぐ)」
うん、カッコいい事を言っているが、おまえは箸の使い方がなってないぞシャーク。
「そない気にせんでも平気やて提督さん。逆に前よりも身体の調子がええくらいやもん♪」
「そうそう。確かに気味が悪いってのも解るけど、食べ慣れると案外平気よね♪」
驚いて目を白黒させる提督に、仁菜さんと瀬来さんもフォローをいれる。
まぁ物語だとそう言った後で手酷いしっぺ返しを喰らうのだが、これに関しては大丈夫だろう。塩太郎とピクシークィーンにもダンジョンモンスターを食することの可否について問うてみたけど、ふたりとも『なぜそんなことを気にするのか解らない』といった返答だった。価値観と概念が違い過ぎたようだ。
「う~む、だがしかし…(もぐもぐ)、長い事摂取したことによっても…(むぐむぐ)」
なんだかんだ考え込みながらも、その美味しさに負けてつい巨大カニの焼き身を口に運んでしまう提督。
うん、でも大丈夫。たぶんマ〇ンゴみたいなことにはならないよ。もしそれが怖いのなら、強くなって食べるモンスターよりも存在の格が上になっていればいい。オレの左足となったレッドスライムは、そのせいで変異してしまったみたいだし。
だからまぁ、自分で倒したモンスターを食べるくらいなら問題はないだろう。
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