うちの冷蔵庫がダンジョンになった

空志戸レミ

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Strategy Crab Dungeon 3

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干潟の盛り上がった大岩に、発見した下り坂。それをゆっくり下って行くと、地下3層へと辿り着いた。

するとソコは、一面がゴツゴツとした岩の連なった磯。しかし天井は地下2層より低く視界も入り組んでいる為、水のある地下洞窟といった環境。

そんな場所に、ワラワラとあの巨大カニたちがいた。

(うん、まぁカニダンジョンは加減して、半飽和状態で維持してたからな…)

ともあれ巨大カニ達は、この地下3層からエッチラオッチラと外まで出て来ていたようだ。

(しかしまた、ここも磯臭さがスゴイな…)

現在は、水陸両用蟲王スーツ姿。それに加え水で濡れ目詰まりしてしまうことを想定し、防毒フィルターは外してある。さらに背負っている酸素ボンベも、必要な時に使えるよう温存している。そんな訳で今は普通に呼吸し、周囲の匂いもよく分かるのだった。

「よし、おまえたちには一度戻ってもらうか。ご苦労だった」

「ウギッ」
「……」

ゴツゴツとした表面の荒れた岩と、巨大カニがワラワラいる。そこで晴天と濃霧には、一旦カードに戻ってもらう。高さがそれほどないので濃霧に乗っていては得物を振り回せないし、カニダンジョンのモンスターは冷蔵庫ダンジョンよりも攻撃力が高い。

オレも初めて潜ったのがカニダンジョンだったら、巨大ムール貝の貝殻鎌を躱しきれずいきなりスパンと頭と胴が離れていたかもしれない。それくらいカニダンジョンのモンスターは冷蔵庫ダンジョンと比べると強い。

そんなわけでここでは無用なダメージの蓄積をさけるため、眷属たちに代わりピクシー達を召喚しサッサと抜けてしまうことに。

「さぁゆけピクシー達よ!進路上の敵を殲滅せよ!」
「「「ぴぴぴぃ~ッ!」」」

放ったカードからピクシー達が現れると、燐光のような光の尾を引き飛翔する。そうしてすぐさま手近な磯にいる巨大カニ達に向け、魔法攻撃を開始。

うむ、地形的には巨大カニに有利なホーム。それゆえ真面にやりあっては不味かろう。

だが狭いとはいえ、巨大カニどもの背丈はあってもオレの腰程。なので巨大カニのハサミによる攻撃は宙を舞うピクシー達には決して届かず、戦車に対する戦闘ヘリ並みの有利さでピクシー達は戦う事が出来る。

そんなピクシーたちが腕を伸ばし、魔法の光球をその手の平に生み出す。

するとそこからは光の針が無数に発射され、巨大カニの甲羅に突き刺さる。はたまた生み出された光球自体がヒルリルと揺れながら落ちていき、落下した先で巨大カニを巻きこみ大爆発を巻き起こす。

この一方的な攻撃に巨大カニは手も足も出ず、もはや泡を噴いてひっくりかえる他ない。まさにトラトラトラ、ワレキシュウニセイコウセリといった様相。って、それじゃ巨大カニが戦車でなく艦船になっちゃうけど。

まぁともかくそんな機敏で火力の高い航空戦力に守られたオレに、隙は無かった。

水深の深い場所などは慎重にパスし探索を続け、小一時間ほどで下層へと続くであろうポイントを発見できた。どうやらカニダンジョンは海っぽいという状況的には凝っているものの、迷路としては比較的シンプルな造りのようだ。

…。

そうして降った地下4層であるが、そこはまたおびただしい量の海藻に覆われた磯。

なお危険を避けるため、降りる前にピクシー達にもカードにお戻りいただいた。そんなわけでまたひとりとなったオレの前には、岩に張り付いた大量の海藻。

そこで念のため軽く一発酸弾を放ってみたら、たちまちその海藻が蠢きだした。

(む、やはりモンスターか!ワカメ…いや、これは昆布か…!?)

ビュロビュロと触手のように蠢く様は、なんとも不気味。

色も緑というより黄色がかっていて、やや肉厚。しかもそのぬめらかな表面は皺の多いウツボの胴体にも見え、海藻のくせにかなり力も強そうに窺えた。

と、そんなバケモノ昆布がメカブを自切でもしかたのか、ホントにウツボみたいな動きでうねりながら這い寄ってくる。これは1本か1体か?1株ではないよな。ともかくそんな3メートル級のごんぶとウネウネ昆布が5を超え迫る。

「クッ、おのれ面妖な!」

しかも相手は海のモノ。さらにネバネバとした粘液でその表面が覆われているので、オレのスキル【塩】も【強酸】も、効果は薄いだろう。

「ならば…、チェストファイヤー!」

そこで胸部下にマウントしていたファイヤーワンドを展開し、迫るウツボ昆布どもにドデカい火炎放射をお見舞いしてやる。新エリアを攻略するには油断大敵、そう考えワイヤーワンドもしっかり装備してきていたのだ。

するとその読みは当たり、ウツボ昆布どもは逆巻く炎にまかれ苦しむようにのたうつ。

そしてチリチリと火に焼かれたウツボ昆布からは、なんとも食欲をそそるいい匂いが漂ってきたのだった。
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