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15(アイラスside)
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「新人騎士だけを連れて行けなんて……陛下は一体何をお考えですか」
先ほどの話を団長補佐のクロードに伝えると、強い憤りを露にして声を震わせた。
俺の存在が脅威になりかねないと悟ったあの人は、体裁良く始末したいのかもしれない。
王子と言っても俺の代わりはいるのだから。
「これからやるべき事は数多とある。悪態をついている暇などないぞ」
何やらぶつぶつ呟いているクロードの背中を勢い良く叩いた。
「まずはアストレア城まで使いを出して欲しい」
そう言って俺はレオンハルト宛の封書を手渡した。
彼にはゼスティリア王立騎士団が加勢する事を早急に伝えなければならなかった。
それから仕事はさらに多忙を極め、屋敷に帰っている暇はなくなった。
それでもジェミリオン王国に向けて出発する日の前夜、俺はティアラの元を訪れた。
「ティアラ様はもうお休みになられてしまいました」
彼女の部屋の前で侍女のターシャが首を振った。
「それでも構わない。顔を見に来ただけだ」
静かに扉を開け薄暗い室内へ入った。
ティアラの穏やかな寝顔が、ベッドサイドに置かれたランプの灯りに照らされていた。
「ティアラ……あなたに謝らなければならない事がある」
その場に跪くと、呟くように話し始めた。
「レオンハルトがあなたの婚約を破棄をすると言った時、俺にはそれを思い留ませる術があった。ゼスティリア王立騎士団が加勢すると言っていたら、レオンハルトは婚約破棄などしなかっただろう。悪いのは全て自分だったんだ。あなたを手に入れたいが為に、俺は悪魔に魂を売った」
ティアラが婚約破棄によって深く傷ついたのも、家族から酷い暴行を受けたのも、全ては自分の責任だった。
「俺のせいでレオンハルトは窮地に立たされ、あなたは好きでもない相手と婚約しなければならなくなった。だが、安心して欲しい。あなたの大切な人は、この命に代えても必ず守る。だからそれまでは、安全なこの屋敷で待っていて欲しい」
俺は手に持っていた深紅のサンブリテニアの鉢植えをそっとサイドテーブルに置いた。
「せめて、この屋敷にいる間だけは……どうか俺を思い出して欲しい」
懇願するように言うと、短くなった彼女の黒髪を優しく撫でた。
最後にこの狂おしいほどの想いをあなたに伝えたかった。
『利害の一致による婚約』と言ったのは、そうとでも言わないとあなたが婚約を承諾してくれないと思ったから。
自分があの時『ずっと前から好きだった。どうか婚約欲しい』と頼んでも、レオンハルトを忘れられないあなたはその罪悪感から婚約を拒んでいただろう。
自分の正直な気持ちを伝えても、それに答えられないあなたを苦しめるだけだった。
だからあえて利害の一致による婚約と偽り、自身の本心を覆い隠した。
レオンハルトなど早く忘れて、あなたの瞳に自分だけを映して欲しい──そんな本心をあなたに伝える事はもうないだろう。
「あなたが待ち望んだ未来は俺が必ず取り戻す。ティアラ……今まで本当にすまなかった」
最後の別れを惜しむように、俺は眠っている彼女の額にゆっくり口づけをした。
先ほどの話を団長補佐のクロードに伝えると、強い憤りを露にして声を震わせた。
俺の存在が脅威になりかねないと悟ったあの人は、体裁良く始末したいのかもしれない。
王子と言っても俺の代わりはいるのだから。
「これからやるべき事は数多とある。悪態をついている暇などないぞ」
何やらぶつぶつ呟いているクロードの背中を勢い良く叩いた。
「まずはアストレア城まで使いを出して欲しい」
そう言って俺はレオンハルト宛の封書を手渡した。
彼にはゼスティリア王立騎士団が加勢する事を早急に伝えなければならなかった。
それから仕事はさらに多忙を極め、屋敷に帰っている暇はなくなった。
それでもジェミリオン王国に向けて出発する日の前夜、俺はティアラの元を訪れた。
「ティアラ様はもうお休みになられてしまいました」
彼女の部屋の前で侍女のターシャが首を振った。
「それでも構わない。顔を見に来ただけだ」
静かに扉を開け薄暗い室内へ入った。
ティアラの穏やかな寝顔が、ベッドサイドに置かれたランプの灯りに照らされていた。
「ティアラ……あなたに謝らなければならない事がある」
その場に跪くと、呟くように話し始めた。
「レオンハルトがあなたの婚約を破棄をすると言った時、俺にはそれを思い留ませる術があった。ゼスティリア王立騎士団が加勢すると言っていたら、レオンハルトは婚約破棄などしなかっただろう。悪いのは全て自分だったんだ。あなたを手に入れたいが為に、俺は悪魔に魂を売った」
ティアラが婚約破棄によって深く傷ついたのも、家族から酷い暴行を受けたのも、全ては自分の責任だった。
「俺のせいでレオンハルトは窮地に立たされ、あなたは好きでもない相手と婚約しなければならなくなった。だが、安心して欲しい。あなたの大切な人は、この命に代えても必ず守る。だからそれまでは、安全なこの屋敷で待っていて欲しい」
俺は手に持っていた深紅のサンブリテニアの鉢植えをそっとサイドテーブルに置いた。
「せめて、この屋敷にいる間だけは……どうか俺を思い出して欲しい」
懇願するように言うと、短くなった彼女の黒髪を優しく撫でた。
最後にこの狂おしいほどの想いをあなたに伝えたかった。
『利害の一致による婚約』と言ったのは、そうとでも言わないとあなたが婚約を承諾してくれないと思ったから。
自分があの時『ずっと前から好きだった。どうか婚約欲しい』と頼んでも、レオンハルトを忘れられないあなたはその罪悪感から婚約を拒んでいただろう。
自分の正直な気持ちを伝えても、それに答えられないあなたを苦しめるだけだった。
だからあえて利害の一致による婚約と偽り、自身の本心を覆い隠した。
レオンハルトなど早く忘れて、あなたの瞳に自分だけを映して欲しい──そんな本心をあなたに伝える事はもうないだろう。
「あなたが待ち望んだ未来は俺が必ず取り戻す。ティアラ……今まで本当にすまなかった」
最後の別れを惜しむように、俺は眠っている彼女の額にゆっくり口づけをした。
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