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49-2 裁判翌日
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日が少し傾いた昼過ぎ――俺達は昨夜に引き続きリビングに集まっていた。
晴れやかな天気同様、室内にもまた明るい雰囲気が漂っている。
昨日の今日で集合し会議を開いている理由。それはもちろん今後のことを話し合うためだ。
例の裁判が開幕したこともあって、昨夜は俺が見て得た情報を伝えることはできなかった。
聳え立つ塔の情報をみんなに周知し作戦を練る。
そのために集まってもらったわけだが、作戦会議のはずがいつの間にか井戸端会議に発展している。
机上にはお茶請けとして和洋中と様々な焼き菓子が並び、それに合わせて飲物もまた複数置かれている。頭を使うだろうと思って多めに用意したのがいけなかった。話そっちのけで我先にと手を伸ばしては舌鼓を打っている。バターに砂糖、醤油などのかぐわしい香りが充満した部屋で、何も食べるなとは言わない。だけど本来の目的を見失うのであれば実力行使も止む無し。
心を鬼にして回収を開始する。
お手軽収納術を発動し、手始めにまずゴマ団子が山々にのった一皿を収納する。手を伸ばそうとした矢先に目の前で消失したことで、二名ほど表情が絶望の色を染まる。追い打ちをかけるように各々が視線を向けた先の皿をこれまた収納する。
更なる一手を打とうとしたところで莉緒と蓬地先生は白旗を上げた。そこからは従順となり積極的に話し合いに参加してくれた。残りの二人はその類まれなる察知能力で、俺が行動の移るより先んじて食べる手を止め聞く体勢に入っていた。
◇◇◇
みんなの協力もあって、今後の方針について特に滞ることもなくすんなりと決まった。
最終決定を下す際に、莉緒とミーナの二人だけは多少不服そうな顔をしていたが、天津谷による言葉巧みな説得により、最後は首をコクリと縦に振り承諾してくれた。
今回決めた内容をザックリとまとめるとこうだ。
一か月間休まずに鍛練しましょう。
聳え立つ塔に備えて日々鍛錬に励むこと。これについては別段取り上げる必要はなかったのだけど、一応リストに挙げておいた。ミーナや天津谷は全く問題ないのだが、俺と莉緒はこの平和な世界を謳歌している。平和ボケして鈍りになまった身体を鍛え直して、感覚を取り戻さなければならない。
昨夜、素振りをしたことで実感した。なんとも杜撰な剣技。ただ身体能力に甘えて刃を振るっているだけ。凡愚な思い上がりの剣筋。
こう言ってはなんだけど俺でさえこのざまなのに、俺以上にぐ~たら生活を送っていた莉緒はその比じゃないだろう。だからといって心配はしていない。莉緒の成長速度がバケモノなのは、この俺が一番よく知っている。彼女であればすぐに全盛期にまで戻れるはずだ。
そっちよりも俺が気になったのは蓬地先生だ。根源が凄まじいのは理解したけど、彼女自身の戦闘能力は不明瞭なままで、どの程度戦えるのか判断がつかない。そこら辺については天津谷に全て任せているので、測定も兼ねてたぶんいい塩梅に仕上げてくれることはずだ。
女神が聳え立つ塔に挑戦するとは思っていなかった。あの石塔は女神の姉が用意したもの。彼女が遊戯に参加するということは、間接的に姉妹で命の取り合いことを意味する。しかも、そこには依代となった蓬地真宵の命もベットされている。
それを理解した上で彼女達がそう決めたのであれば、俺からは特に言うことはない。俺はただ俺の為すべきことを淡々と為せばいい。
また天津谷らがあんな暴挙に手を染めた理由についても知ることができた。
事の顛末としてはこうだ。
相思相愛のくせにいつまで経っても引っ付かない二人を見かねた天津谷が策を練り、その詐術に言い包められて行動を起こした女神の浅慮さにより、今回の事件が起こった。
いつになっても発展しない関係性にヤキモキした天津谷が講じた強行策だった。
晴れやかな天気同様、室内にもまた明るい雰囲気が漂っている。
昨日の今日で集合し会議を開いている理由。それはもちろん今後のことを話し合うためだ。
例の裁判が開幕したこともあって、昨夜は俺が見て得た情報を伝えることはできなかった。
聳え立つ塔の情報をみんなに周知し作戦を練る。
そのために集まってもらったわけだが、作戦会議のはずがいつの間にか井戸端会議に発展している。
机上にはお茶請けとして和洋中と様々な焼き菓子が並び、それに合わせて飲物もまた複数置かれている。頭を使うだろうと思って多めに用意したのがいけなかった。話そっちのけで我先にと手を伸ばしては舌鼓を打っている。バターに砂糖、醤油などのかぐわしい香りが充満した部屋で、何も食べるなとは言わない。だけど本来の目的を見失うのであれば実力行使も止む無し。
心を鬼にして回収を開始する。
お手軽収納術を発動し、手始めにまずゴマ団子が山々にのった一皿を収納する。手を伸ばそうとした矢先に目の前で消失したことで、二名ほど表情が絶望の色を染まる。追い打ちをかけるように各々が視線を向けた先の皿をこれまた収納する。
更なる一手を打とうとしたところで莉緒と蓬地先生は白旗を上げた。そこからは従順となり積極的に話し合いに参加してくれた。残りの二人はその類まれなる察知能力で、俺が行動の移るより先んじて食べる手を止め聞く体勢に入っていた。
◇◇◇
みんなの協力もあって、今後の方針について特に滞ることもなくすんなりと決まった。
最終決定を下す際に、莉緒とミーナの二人だけは多少不服そうな顔をしていたが、天津谷による言葉巧みな説得により、最後は首をコクリと縦に振り承諾してくれた。
今回決めた内容をザックリとまとめるとこうだ。
一か月間休まずに鍛練しましょう。
聳え立つ塔に備えて日々鍛錬に励むこと。これについては別段取り上げる必要はなかったのだけど、一応リストに挙げておいた。ミーナや天津谷は全く問題ないのだが、俺と莉緒はこの平和な世界を謳歌している。平和ボケして鈍りになまった身体を鍛え直して、感覚を取り戻さなければならない。
昨夜、素振りをしたことで実感した。なんとも杜撰な剣技。ただ身体能力に甘えて刃を振るっているだけ。凡愚な思い上がりの剣筋。
こう言ってはなんだけど俺でさえこのざまなのに、俺以上にぐ~たら生活を送っていた莉緒はその比じゃないだろう。だからといって心配はしていない。莉緒の成長速度がバケモノなのは、この俺が一番よく知っている。彼女であればすぐに全盛期にまで戻れるはずだ。
そっちよりも俺が気になったのは蓬地先生だ。根源が凄まじいのは理解したけど、彼女自身の戦闘能力は不明瞭なままで、どの程度戦えるのか判断がつかない。そこら辺については天津谷に全て任せているので、測定も兼ねてたぶんいい塩梅に仕上げてくれることはずだ。
女神が聳え立つ塔に挑戦するとは思っていなかった。あの石塔は女神の姉が用意したもの。彼女が遊戯に参加するということは、間接的に姉妹で命の取り合いことを意味する。しかも、そこには依代となった蓬地真宵の命もベットされている。
それを理解した上で彼女達がそう決めたのであれば、俺からは特に言うことはない。俺はただ俺の為すべきことを淡々と為せばいい。
また天津谷らがあんな暴挙に手を染めた理由についても知ることができた。
事の顛末としてはこうだ。
相思相愛のくせにいつまで経っても引っ付かない二人を見かねた天津谷が策を練り、その詐術に言い包められて行動を起こした女神の浅慮さにより、今回の事件が起こった。
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