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第21話 数十年ぶりの王都
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街並みは変わってはいなかったけど、商店に置かれている商品はあの頃とは明らかに異なっていた。カサンドラ姉さんが開発したであろう品が全体の半分以上を占めていた。ただ洋服店に限って言えばヴィヴィアン姉さんが着用していたアクセサリーや衣類、それに姉さんが自らデザインした衣服が全体の八割を占めていた。
私は姉さんたちの手腕に感心しながらも、ニールが用意してくれたメモを片手に歩みを進めた。メモを見るために片手でハンドル操作をしないといけないのが少しだけ面倒くさい。
また王都に出向くことがあったら、次は門番にママチャリを預かってくれないか相談してみるとしよう。さすがにママチャリなしで樹海から王都を踏破するのはしんどい……歩きとかマジで勘弁。
このメモには門から目的地までのアクセスルートが書かれている。これを見ながらじゃないと確実にたどり着けない自信がある。魔女としてはまだまだ若輩者だけど、それでも百歳越えてからの迷子はなかなか心にクルものがある……それだけはなにがなんでも回避しないと。
私は大勢の行き交う人々に目が回りそうながらも、なんとかメモを頼りに目的地に到着した。
「えっ……ほんとにここ?」
私は手元のメモと目の前の建物を何度も往復し目視で確認した。さらに周囲を見回して、再度確認してみたけど……やっぱり目的地はここで合っているらしい。
王都で最古の宿屋だと紹介されても納得できるほどに、歴史を感じさせるレンガ造りの建物だった。ただその歴史うんぬんとは正反対に全窓からは、ランタンによる自然の灯りではない、電灯を用いた人工の明かりが零れていた。その電灯は建物内だけじゃなくて、あちこちの外壁にも設置されていた。屋外用のものは玄関前や建物に通ずる街路に向けて照らされていた。
王都内にある街灯でも場所によっては、まだランタンや松明を使用しているし、商店や民家ですらまだ電気も通っていない地区があるにもかかわらず、ここは真っ昼間から電灯をこれでもかと点けていた。
これほどの照明……電力はどうやって確保しているのだろうか。
私の場合は、霊峰に流れ落ちる滝からの水力発電と屋根に設置した風見鶏による風力発電の二つから電力を得ている。メインは水力発電で、サブの風力発電は何というか観賞用になり果てている。それでも普通に生活するだけなら問題ない。ただ夏と冬だけは少し我慢しないと、すぐに電力不足に陥ってしまう。
ただその問題も解決の兆しがある、カサンドラ姉さんが太陽光発電なるものを絶賛開発中だからだ。太陽の熱を利用して電力を蓄えることができるらしい? 水車や風車が回転することで、発電するのはなんとなく理解できるけど、熱による発電ってどういうことなのか。
私は往来する人々の邪魔にならないよう建物に向かって平行にママチャリを仮置きした。
電灯の明かりが反射して鈍い光を放つ獅子の頭を模したドアノックを掴むと、振りかぶり無骨な鉄製の両扉に三度叩きつけた。こういうのに慣れていないため、どれぐらいの力加減ですればいいのか全然分からなかったので、聞こえないよりかはマシかと思って強めにしておいた。
「……これでいいのよね?」
それからしばらくすると、ガチャっと開錠する音が聞こえた後、ゆっくりと扉が開いていった。
扉の先には――私が最も恐れて、最も尊敬した先生の姿があった。
先生はあの頃と同じ裾が白い修道服を身にまとい、縁の白い頭巾をかぶっていた。
あの時の変わらない慈愛に満ちた眼差し、包み込まれるように微笑みを私に向けていた。
私はその笑顔がとても心苦しいかった……なぜなら、私は教会から……先生から逃げ出したのだから。
その後、先生から快く迎え入れられた私は建物内を案内してもらった。その際、運び入れたママチャリは玄関口に停めておいた。
私は姉さんたちの手腕に感心しながらも、ニールが用意してくれたメモを片手に歩みを進めた。メモを見るために片手でハンドル操作をしないといけないのが少しだけ面倒くさい。
また王都に出向くことがあったら、次は門番にママチャリを預かってくれないか相談してみるとしよう。さすがにママチャリなしで樹海から王都を踏破するのはしんどい……歩きとかマジで勘弁。
このメモには門から目的地までのアクセスルートが書かれている。これを見ながらじゃないと確実にたどり着けない自信がある。魔女としてはまだまだ若輩者だけど、それでも百歳越えてからの迷子はなかなか心にクルものがある……それだけはなにがなんでも回避しないと。
私は大勢の行き交う人々に目が回りそうながらも、なんとかメモを頼りに目的地に到着した。
「えっ……ほんとにここ?」
私は手元のメモと目の前の建物を何度も往復し目視で確認した。さらに周囲を見回して、再度確認してみたけど……やっぱり目的地はここで合っているらしい。
王都で最古の宿屋だと紹介されても納得できるほどに、歴史を感じさせるレンガ造りの建物だった。ただその歴史うんぬんとは正反対に全窓からは、ランタンによる自然の灯りではない、電灯を用いた人工の明かりが零れていた。その電灯は建物内だけじゃなくて、あちこちの外壁にも設置されていた。屋外用のものは玄関前や建物に通ずる街路に向けて照らされていた。
王都内にある街灯でも場所によっては、まだランタンや松明を使用しているし、商店や民家ですらまだ電気も通っていない地区があるにもかかわらず、ここは真っ昼間から電灯をこれでもかと点けていた。
これほどの照明……電力はどうやって確保しているのだろうか。
私の場合は、霊峰に流れ落ちる滝からの水力発電と屋根に設置した風見鶏による風力発電の二つから電力を得ている。メインは水力発電で、サブの風力発電は何というか観賞用になり果てている。それでも普通に生活するだけなら問題ない。ただ夏と冬だけは少し我慢しないと、すぐに電力不足に陥ってしまう。
ただその問題も解決の兆しがある、カサンドラ姉さんが太陽光発電なるものを絶賛開発中だからだ。太陽の熱を利用して電力を蓄えることができるらしい? 水車や風車が回転することで、発電するのはなんとなく理解できるけど、熱による発電ってどういうことなのか。
私は往来する人々の邪魔にならないよう建物に向かって平行にママチャリを仮置きした。
電灯の明かりが反射して鈍い光を放つ獅子の頭を模したドアノックを掴むと、振りかぶり無骨な鉄製の両扉に三度叩きつけた。こういうのに慣れていないため、どれぐらいの力加減ですればいいのか全然分からなかったので、聞こえないよりかはマシかと思って強めにしておいた。
「……これでいいのよね?」
それからしばらくすると、ガチャっと開錠する音が聞こえた後、ゆっくりと扉が開いていった。
扉の先には――私が最も恐れて、最も尊敬した先生の姿があった。
先生はあの頃と同じ裾が白い修道服を身にまとい、縁の白い頭巾をかぶっていた。
あの時の変わらない慈愛に満ちた眼差し、包み込まれるように微笑みを私に向けていた。
私はその笑顔がとても心苦しいかった……なぜなら、私は教会から……先生から逃げ出したのだから。
その後、先生から快く迎え入れられた私は建物内を案内してもらった。その際、運び入れたママチャリは玄関口に停めておいた。
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