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第1章 伏龍
第11話 通称
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やあ! みんな! こぉ~んにちわぁ~~!
ぼくのあだ名はジャンボ! 13歳だよ。
あの日トントン拍子に採用試験に合格して、教会へ行ってから一ヶ月が経ったんだ!
もう共通語も大分しゃべれるようになったんだ! やったね!
名前は何だった? 職業は何なの? だって?
ん? なになに? キャラ変わってないかって?
今はね。現実逃避の真っ最中なんだ!
名前があるのに、誰もぼくの事を名前で呼んでくれないんだ。
今もずっっっと壁を見つめているんだよ!
ぼくのあだ名はジャンボ! 13歳だよ。
大学院の宿舎で一番ちいさな男の子さ。
なのにジャンボ! 司書のほうでもあだ名が広がりつつあるんだ!
インパクトって大事だよね!
広めているのは、ぼくの導き手の一人でもある。パオラさん。
この間とうとう、司書長までそう呼び出したんだ。
ぼくが一番恐れているのは、ポンコツさんが本名をジャンボに改名してしまわないかなんだ!
自業自得とはいえ、ぼくは本当はジャンボって呼ばれたくないんだ。
名前で呼んで欲しい。
教会に行った一ヶ月前のあの日から思い返すね。
ウゥゥゥ! ジャンボゥ!
◇
パオラさんに連れられて、俺は教会へ着いた。
司祭が空いていれば直ぐに啓示を受ける事ができる。
その日の俺は運よくスムーズに受ける事が出来た。
お布施として慣例で銀貨一枚の10,000べル。
ゲン担ぎで金を積む貴族もいるそうだ。
司祭が祝詞を唱える。
――――と。
俺の体の表面がぼんやりと光り。
アイテムボックスと同じように頭に浮かんでくる文字がある。
名前:ノア・メートランド
職業:篤農家
年齢:13歳
篤農家?? 研究熱心な農業者って感じか?
――補助金いっぱい貰えそうだな。
まぁ。農業に知識が偏ってるんだから、農家とかは確実に出るかと思ったが、ちょいレアな職業なのかな?
日本語で理解できたし、共通語で表示されたら銀貨無駄になってたな。
それと、よかったぜ。
――名前が有った。
日本だと女性寄りの名前だから、しっくりこねぇ~けど。
これって司祭も把握できてるのかな? 聞いてみよう。
「パオラさんこの啓示は、司祭様も把握しているのでしょうか?」
パオラさん曰く、はいとの事。
「パオラさん。司祭にはどう見えているのか聞いて頂けませんか?」
聞かなくても後で文字に起こしてくれると言われる。
司祭とパオラさんが会話をする。
そして、手のひら大のメモを渡されている。
あれに書いてあるのだろう。
パオラさんが戻ってきて、メモを渡してくれる。縁取りが着いたしっかりした厚紙だ。
良い職業が出たら、飾ったりするのかな? なんて書いてあるか尋ねてみる。
「司祭も初めて啓示された。職業だと言っていました。ちょっと私には、神聖語でどう訳せばいいの分かりません。ノウ ガク シャ ですかね? 先生に確認した方が良いでしょう」
そう言うパオラさん。
先生とは司書長のことで、大学院で教鞭を振るっているらしい。
パオラさんは、生徒と言うよりも直弟子に近い。
司書長のあたりが、パオラ嬢に若干強かったのもそういう理由のようだ。
農学者……アグロノミストか。かっこいいじゃねえか!
よし、今後はアグロノミストを自称しよう。こっちでは通じないから心の中で。
マーズ計画で絶対連れて行かなきゃいけない重要な職種の一つだな。
念のため、名前も聞いてみる。
こちらの発音でも、ノア・メートランドと同じだった。
実際に俺は農家が職業で誇らしい。死んだじーさまも専業農家だったしな。ファンキーな人だった。
何歳の時に亡くなったのかは、未だに思い出せないがな。
教会への道すがら聞いたが、この世界では五歳で啓示を受け、それと同時に生活魔法を取得する。
生活魔法の取得は、神からの祝福だと言われている。
職業は人生を進みやすくする神からの援助で、生き方は自分で決めていいらしい。
この世界で有名な話がある。親に憧れて鍛冶師を目指した少女が、希望のその職業になれなかった。
その後、少女はめげずに努力と研鑽を続け、とうとう神から啓示された職業が鍛冶師になる。
やがて、世界有数のマイスターとなった。
茨の道を進んだ少女の話は美談として、今なお語り継がれている。
その為、この国では職業選択の権利が非常に強固に保護されているそうだ。
教会も個人の職業は国へは漏らさず秘匿する。
本人が同意したものか、親族以外は、その啓示の部屋には入れないそうだ。
本当かな? と疑うのは俺ぐらいなのだろうか。
いつでも、有効戦力が投入できるように協会は名簿作ってると見たね。
まぁ、いいや。どうせ俺は農家だし戦力と見なされまい。
神の力を実際に感じる世界で、そんな悪いこともできないでしょう。
ね? ――司祭様?
教会をでて宿舎へ歩きながら、意地悪な質問をする。
聖騎士や剣聖、勇者の職業がでても違う職に就けるのか聞いてみた。
くすくす笑いながらパオラさんは言った。
「勇者なんて、物語の中だけですよ。しっかりしているようで、ノアくんもおこちゃまですね。それと、剣聖も聖騎士も、神から啓示される職業ではなく。努力と研鑽により到達する職業です」
「聖女と賢者は歴史上で何人か神から啓示を受けたと言われていますが、少なくともこの国では、聖女だろうと賢者だろうと、好きな職業を選択する権利が認められています」
「啓示された職業以外を目指しても、その事をとやかくいう人はほとんどいません。それが神から認められている権利ですから」
なるほど剣聖いたんだ。
剣士が研鑽を積み、その格が上がるといつの間にか剣聖になる。
剣聖だから強いのではなく、強くなったから、その強さにふさわしい剣聖という職業になるという事なんだろうな。
大学院宿舎の受け入れ準備完了までもう少し掛かるということで、パオラ嬢おススメのカフェで、茶をしばく事になった。
ぼくのあだ名はジャンボ! 13歳だよ。
あの日トントン拍子に採用試験に合格して、教会へ行ってから一ヶ月が経ったんだ!
もう共通語も大分しゃべれるようになったんだ! やったね!
名前は何だった? 職業は何なの? だって?
ん? なになに? キャラ変わってないかって?
今はね。現実逃避の真っ最中なんだ!
名前があるのに、誰もぼくの事を名前で呼んでくれないんだ。
今もずっっっと壁を見つめているんだよ!
ぼくのあだ名はジャンボ! 13歳だよ。
大学院の宿舎で一番ちいさな男の子さ。
なのにジャンボ! 司書のほうでもあだ名が広がりつつあるんだ!
インパクトって大事だよね!
広めているのは、ぼくの導き手の一人でもある。パオラさん。
この間とうとう、司書長までそう呼び出したんだ。
ぼくが一番恐れているのは、ポンコツさんが本名をジャンボに改名してしまわないかなんだ!
自業自得とはいえ、ぼくは本当はジャンボって呼ばれたくないんだ。
名前で呼んで欲しい。
教会に行った一ヶ月前のあの日から思い返すね。
ウゥゥゥ! ジャンボゥ!
◇
パオラさんに連れられて、俺は教会へ着いた。
司祭が空いていれば直ぐに啓示を受ける事ができる。
その日の俺は運よくスムーズに受ける事が出来た。
お布施として慣例で銀貨一枚の10,000べル。
ゲン担ぎで金を積む貴族もいるそうだ。
司祭が祝詞を唱える。
――――と。
俺の体の表面がぼんやりと光り。
アイテムボックスと同じように頭に浮かんでくる文字がある。
名前:ノア・メートランド
職業:篤農家
年齢:13歳
篤農家?? 研究熱心な農業者って感じか?
――補助金いっぱい貰えそうだな。
まぁ。農業に知識が偏ってるんだから、農家とかは確実に出るかと思ったが、ちょいレアな職業なのかな?
日本語で理解できたし、共通語で表示されたら銀貨無駄になってたな。
それと、よかったぜ。
――名前が有った。
日本だと女性寄りの名前だから、しっくりこねぇ~けど。
これって司祭も把握できてるのかな? 聞いてみよう。
「パオラさんこの啓示は、司祭様も把握しているのでしょうか?」
パオラさん曰く、はいとの事。
「パオラさん。司祭にはどう見えているのか聞いて頂けませんか?」
聞かなくても後で文字に起こしてくれると言われる。
司祭とパオラさんが会話をする。
そして、手のひら大のメモを渡されている。
あれに書いてあるのだろう。
パオラさんが戻ってきて、メモを渡してくれる。縁取りが着いたしっかりした厚紙だ。
良い職業が出たら、飾ったりするのかな? なんて書いてあるか尋ねてみる。
「司祭も初めて啓示された。職業だと言っていました。ちょっと私には、神聖語でどう訳せばいいの分かりません。ノウ ガク シャ ですかね? 先生に確認した方が良いでしょう」
そう言うパオラさん。
先生とは司書長のことで、大学院で教鞭を振るっているらしい。
パオラさんは、生徒と言うよりも直弟子に近い。
司書長のあたりが、パオラ嬢に若干強かったのもそういう理由のようだ。
農学者……アグロノミストか。かっこいいじゃねえか!
よし、今後はアグロノミストを自称しよう。こっちでは通じないから心の中で。
マーズ計画で絶対連れて行かなきゃいけない重要な職種の一つだな。
念のため、名前も聞いてみる。
こちらの発音でも、ノア・メートランドと同じだった。
実際に俺は農家が職業で誇らしい。死んだじーさまも専業農家だったしな。ファンキーな人だった。
何歳の時に亡くなったのかは、未だに思い出せないがな。
教会への道すがら聞いたが、この世界では五歳で啓示を受け、それと同時に生活魔法を取得する。
生活魔法の取得は、神からの祝福だと言われている。
職業は人生を進みやすくする神からの援助で、生き方は自分で決めていいらしい。
この世界で有名な話がある。親に憧れて鍛冶師を目指した少女が、希望のその職業になれなかった。
その後、少女はめげずに努力と研鑽を続け、とうとう神から啓示された職業が鍛冶師になる。
やがて、世界有数のマイスターとなった。
茨の道を進んだ少女の話は美談として、今なお語り継がれている。
その為、この国では職業選択の権利が非常に強固に保護されているそうだ。
教会も個人の職業は国へは漏らさず秘匿する。
本人が同意したものか、親族以外は、その啓示の部屋には入れないそうだ。
本当かな? と疑うのは俺ぐらいなのだろうか。
いつでも、有効戦力が投入できるように協会は名簿作ってると見たね。
まぁ、いいや。どうせ俺は農家だし戦力と見なされまい。
神の力を実際に感じる世界で、そんな悪いこともできないでしょう。
ね? ――司祭様?
教会をでて宿舎へ歩きながら、意地悪な質問をする。
聖騎士や剣聖、勇者の職業がでても違う職に就けるのか聞いてみた。
くすくす笑いながらパオラさんは言った。
「勇者なんて、物語の中だけですよ。しっかりしているようで、ノアくんもおこちゃまですね。それと、剣聖も聖騎士も、神から啓示される職業ではなく。努力と研鑽により到達する職業です」
「聖女と賢者は歴史上で何人か神から啓示を受けたと言われていますが、少なくともこの国では、聖女だろうと賢者だろうと、好きな職業を選択する権利が認められています」
「啓示された職業以外を目指しても、その事をとやかくいう人はほとんどいません。それが神から認められている権利ですから」
なるほど剣聖いたんだ。
剣士が研鑽を積み、その格が上がるといつの間にか剣聖になる。
剣聖だから強いのではなく、強くなったから、その強さにふさわしい剣聖という職業になるという事なんだろうな。
大学院宿舎の受け入れ準備完了までもう少し掛かるということで、パオラ嬢おススメのカフェで、茶をしばく事になった。
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