農家は万能!?いえいえ。ただの器用貧乏です!

鈴浦春凪

文字の大きさ
115 / 403
第3章  進窟

第20話  感染

しおりを挟む
 外壁を完成させるべく屋根に登り屋根瓦を引っぺがし、収納して再利用する。

 そして、王都で買っておいたレンガを使って2階を作る。

 レンガは土だから俺の得意魔法だ。

 王都で開発済みのセメントと一緒に出来上がりをイメージして魔法でレンガを飛ばし重ねる。

 シュバババババッと整然と組み上がっていった。

 1階から一部せり出すように組み立てる。

 10畳ほどの寝室と2畳ほどのクローゼット部分で1部屋。

 2階用のトイレスペースと通路。

 ちょっとした水洗い場とシャワースペースを確保出来るようにイメージして組み上げる。

 そして、地下への入り口を作るべくその上の天井にあたる床をぶち抜いて収納。

 ガンソさんとこの鍛冶で思いついた形状フォーム魔法でミスリルのらせん階段を作り出し取り付けた。

 らせん階段が1階まで届いたら下りて、元からあった地下への階段を切り離し収納する。

 らせん階段を地下まで伸ばして地下から2階までの移動手段の完成だ。

 次は10畳の寝室があったところの左奥の壁をぶち抜いて外に通路をレンガで積み上げる。

 通路の先に丸い三角屋根の2階建ての塔を作った。

 ここが錬金と調合の研究室になる。

 そして外に新たに出来た通路が倉庫兼パントリーとなる予定だ。

 これで外モノの箱が完成だ。

 あとはまた1階の屋根に上って屋根瓦の葺き替えだ。さっき回収したレンガ瓦も再利用する。修復リペア魔法で新品同然にしたら、レンガと同じように飛ばしてあっという間に完成だ。

 もちろん。研究塔への屋根も完璧に仕上げた。

 次は1階に戻って室内の作業再開。

 左奥をトイレとして設置。土魔法を使って地下に空間を作り表面を硬化する。

 表に消滅と書かれた不要物を消滅させる魔道具を設置。

 裏には魔道具の効果が永続的に継続するゴーレム由来の再生を刻んである。

 トイレは日本式水洗トイレと魔道具のハイブリッド。

 便座の保温とウォシュレット機能付きだ。

 水は無くなると魔道具が補充する安心設計で配管不要の優れもの。

 貴族に絶賛発売中!! メイリンさんのヒット商品の一つになりつつある。

 その隣は風呂だ。

 水回りは一ヶ所にまとめるのが良いだろう。

 風呂場は脱衣所も込みで贅沢に15畳とるぞ。

 あとで空間拡張を魔道具で施してもいいな。

 陶磁器のような四角い滑らかな浴室を作り排水は土で下水管を作るイメージで先ほどの地下空間につなげる。

 隙間があると掃除がしづらいので浴槽と床は一体のタイル張りのような見た目で仕上げる。

 浴室への注ぎ口はミスリル製で幅広くなめらかに注ぐ高級ホテル仕様だ。

 そしてポイントは温泉の魔道具の設置だ。ふっふっふっ。

 魔刻石の表に温泉で裏に再生だ。

 これで源泉かけ流し温泉の完成だ。

 篆書を記号化した”紋”は同じ刻印をすれば効果があったが、なぜか日本語に単純化した”紋”の代わりはその意味を理解していないと作用しなかった。

 初めメイリンさんに日本語の”紋”を真似て刻印してもらっても効果が出ずに不思議だった。

 原初の言葉である篆書は象形文字に近く言葉に力があり、単純化された日本語の文字は意味に力があるのだろうというのがウェン師の見解だ。

 最後にキッチンだ。アイランド型を作る。

 ベースはミスリル製で、王都で買いためていた木材を形状フォーム魔法で整えて組み上げる。

 食洗器的な魔道具もあるが取り付けは明日以降だな。

 食器も洗える素敵なシャララン魔法もあるが、無駄に高性能はロマンだからな! 譲れない。

 パントリー兼倉庫へも棚を据え付ける。

 キッチンからはドア無しで入れるが、研究塔にはしっかりとした扉をつける。

 危険な調合への対策や飛散防止のためだね。

 研究塔には外からも入れる扉をつけてある。

 最後に家の床の修復だ。

 土足で歩いた床だから丁寧に修復リペア魔法をかける。

 細かいところはまだまだ手を入れないといけないが今日のところはこんな感じかな。

 ここまでの作業を急いだのには理由がある。

 時間は既に夕暮れ時だ。

 例の文字化けの楯をウェン師に任せる前に試しておきたいことがあった。

 俺は研究塔へ移動するとギリギリまで薄くしたミスリル製の布で囲いを作りそこへ文字化けの楯を置く。

 そして、そこから手首のアイテムボックスへ収納する。

 おれのアイテムボックスは距離があっても収納できるからね。

 壁のような障害物はさずがに無理だが向こうが透けるほどうすいミスリル製の布のように視認できれば大丈夫だ。

 あの黒いドットがはがれてミスリル製の布に付けばウェン師に送るのと俺が調べるのが分けられるからね。

 だが、今度はドットが弾かれることなく楯は手首のアイテムボックスへ収納された。

 ????


 ――今度は文字化けしてないな。

 ――ナイトシールド”感染中”??

 なんだ? ――あの黒いドットは感染する何かだったのか?

 良かった勘に頼って避けておいて。

 まぁ。設備も整ってないし早めにウェン師を頼って結果を教えてもらうか。

 俺は机と椅子を取り出し事情説明の手紙を書く。

 ミスリル製の布でガッチリ梱包して手首のリングとは違うアイテムボックスへ収納する。

 モルト! と呼ぶより早く笑顔で現れた。

 ブカブカな制帽風のキャスケット帽を斜めにかぶり詰襟のシャツに大きな半月型の鞄といういつもの姿だ。

 やる気満々の顔をしている。

 俺は微笑んで手紙とアイテムボックスを渡す。

 モルト配達員! ウェン師宛だ。宜しくな。

 モルトは敬礼をすると元気いっぱい返事をした。

 ラ――――♪

 消えたモルトを見送り落ち着いて寝るために2階の寝室は仕上げるかと歩き出す。

 ソーラーパネルはどうすっかな?  
しおりを挟む
感想 331

あなたにおすすめの小説

最強スライムはぺットであって従魔ではない。ご主人様に仇なす奴は万死に値する。

棚から現ナマ
ファンタジー
スーはペットとして飼われているレベル2のスライムだ。この世界のスライムはレベル2までしか存在しない。それなのにスーは偶然にもワイバーンを食べてレベルアップをしてしまう。スーはこの世界で唯一のレベル2を超えた存在となり、スライムではあり得ない能力を身に付けてしまう。体力や攻撃力は勿論、知能も高くなった。だから自我やプライドも出てきたのだが、自分がペットだということを嫌がるどころか誇りとしている。なんならご主人様LOVEが加速してしまった。そんなスーを飼っているティナは、ひょんなことから王立魔法学園に入学することになってしまう。『違いますっ。私は学園に入学するために来たんじゃありません。下働きとして働くために来たんです!』『はぁ? 俺が従魔だってぇ、馬鹿にするなっ! 俺はご主人様に愛されているペットなんだっ。そこいらの野良と一緒にするんじゃねぇ!』最高レベルのテイマーだと勘違いされてしまうティナと、自分の持てる全ての能力をもって、大好きなご主人様のために頑張る最強スライムスーの物語。他サイトにも投稿しています。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜

リョウ
ファンタジー
 僕は十年程闘病の末、あの世に。  そこで出会った神様に手違いで寿命が縮められたという説明をされ、地球で幸せな転生をする事になった…が何故か異世界転生してしまう。なんでだ?  幸い優しい両親と、兄と姉に囲まれ事なきを得たのだが、兄達が優秀で僕はいずれ家を出てかなきゃいけないみたい。そんな空気を読んだ僕は将来の為努力をしはじめるのだが……。   ※画像はAI作成しました。 ※現在毎日2話投稿。11時と19時にしております。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

処理中です...