195 / 403
第5章 流来
第30話 集中
しおりを挟む
俺は心よりの感謝を伝える。
「私は以前。恩を受けた方がいます。死すら覚悟していた私を救ってくれた方です」
「その方は昔。ケガをして動けないところをホブゴブリンに救われたそうです。そして、そのホブゴブリンに恩を返そうとしました」
「しかし、そのホブゴブリンは恩を受け取らず、手助けを求めるゴブリンが居たら手を貸してくれとだけ言い別れたそうです」
「私を助けたその方も同様に私からの恩を受け取らず。困っている隣人に受けた恩を返すように言いました」
「私とその方の二つの恩が、回り回って私をここに連れて来ました。――今回。私に恩を返させてくれる機会を頂き、感謝とお礼を捧げます」
村長は温かい微笑みで俺を見つめこう言った。
「我らには意思の通じる、隣人を助けよという格言がある。エルフに報いろと伝えられた言葉だ。こちらこそ、その機会を作ってくれてありがとう」
その言葉を聞いて俺のやる気は鰻登りだ。
早速事前に申し入れして確保していたスペースに案内してもらう。
魔法で土をならし固めて、地面を平らにする。
コンクリートと軽鉄鉄筋を魔法で飛ばして、ベタ基礎を広げ、壁面に立ち上がりを作る。
コンクリートの乾燥も本気の三〇倍だ。
この為に速乾性のコンクリートを開発している。
固まるのに反応熱が出るから注意が必要だ。
あらかじめコンクリートには蓄熱冷暖房を設置しておく。
固まるまで時間がかかるから、ベタ基礎を先に一〇棟分作っておく。
一番初めに作った基礎が固まったら、栽培ユニットに向けて新たに開発したパーライト断熱パネルを組み立ててゆく。
パーライトは黒曜石や真珠岩を高温処理して発砲化させたものだ。
農業では土壌改良に使われるが、多孔質で軽量だ。
空気の層が無数にあるから、天然の発砲スチロールって感じかな。
パネルはそのパーライトを軽鉄で挟み、黒い軽鉄の表面を白く塗っている。
夏の熱さも冬の寒さも通さない丈夫な壁材だ。
魔法でパネルを飛ばして組み込んでゆく。
このパネルは左右にレールが付いていて、上からスライドさせれば組み上がる仕様だ。
パネルは立ち上がりの基礎にボルトで固定する。
軽鉄の筋交いもきっちり取り付け強度を増し、五〇坪のキノコ栽培施設が出来上がった。
トントン作ってその日のうちに一〇棟の栽培施設が完成した。
ここでは十種類のキノコを栽培する。
あとは任せたぞっ! ベルントっ!
§
魔法を使いキノコの栽培施設を猛スピードで立ててゆくノアを一同呆然と見ている。
急に現れたパネルがガッシャン、ガッシャン音を立てて繋がって行く。
複数のボルトがギューンという音を立てて締めあげられてゆく。
アイテムボックスから出す場合に、普通は手元にしか出せないのだが、ノアは20m先でも問題なく呼び出すことが出来て、取り込むことも出来る。
ノアの異常性に慣れているベルントは疲れたように笑う。
「私は以前。恩を受けた方がいます。死すら覚悟していた私を救ってくれた方です」
「その方は昔。ケガをして動けないところをホブゴブリンに救われたそうです。そして、そのホブゴブリンに恩を返そうとしました」
「しかし、そのホブゴブリンは恩を受け取らず、手助けを求めるゴブリンが居たら手を貸してくれとだけ言い別れたそうです」
「私を助けたその方も同様に私からの恩を受け取らず。困っている隣人に受けた恩を返すように言いました」
「私とその方の二つの恩が、回り回って私をここに連れて来ました。――今回。私に恩を返させてくれる機会を頂き、感謝とお礼を捧げます」
村長は温かい微笑みで俺を見つめこう言った。
「我らには意思の通じる、隣人を助けよという格言がある。エルフに報いろと伝えられた言葉だ。こちらこそ、その機会を作ってくれてありがとう」
その言葉を聞いて俺のやる気は鰻登りだ。
早速事前に申し入れして確保していたスペースに案内してもらう。
魔法で土をならし固めて、地面を平らにする。
コンクリートと軽鉄鉄筋を魔法で飛ばして、ベタ基礎を広げ、壁面に立ち上がりを作る。
コンクリートの乾燥も本気の三〇倍だ。
この為に速乾性のコンクリートを開発している。
固まるのに反応熱が出るから注意が必要だ。
あらかじめコンクリートには蓄熱冷暖房を設置しておく。
固まるまで時間がかかるから、ベタ基礎を先に一〇棟分作っておく。
一番初めに作った基礎が固まったら、栽培ユニットに向けて新たに開発したパーライト断熱パネルを組み立ててゆく。
パーライトは黒曜石や真珠岩を高温処理して発砲化させたものだ。
農業では土壌改良に使われるが、多孔質で軽量だ。
空気の層が無数にあるから、天然の発砲スチロールって感じかな。
パネルはそのパーライトを軽鉄で挟み、黒い軽鉄の表面を白く塗っている。
夏の熱さも冬の寒さも通さない丈夫な壁材だ。
魔法でパネルを飛ばして組み込んでゆく。
このパネルは左右にレールが付いていて、上からスライドさせれば組み上がる仕様だ。
パネルは立ち上がりの基礎にボルトで固定する。
軽鉄の筋交いもきっちり取り付け強度を増し、五〇坪のキノコ栽培施設が出来上がった。
トントン作ってその日のうちに一〇棟の栽培施設が完成した。
ここでは十種類のキノコを栽培する。
あとは任せたぞっ! ベルントっ!
§
魔法を使いキノコの栽培施設を猛スピードで立ててゆくノアを一同呆然と見ている。
急に現れたパネルがガッシャン、ガッシャン音を立てて繋がって行く。
複数のボルトがギューンという音を立てて締めあげられてゆく。
アイテムボックスから出す場合に、普通は手元にしか出せないのだが、ノアは20m先でも問題なく呼び出すことが出来て、取り込むことも出来る。
ノアの異常性に慣れているベルントは疲れたように笑う。
1
あなたにおすすめの小説
最強スライムはぺットであって従魔ではない。ご主人様に仇なす奴は万死に値する。
棚から現ナマ
ファンタジー
スーはペットとして飼われているレベル2のスライムだ。この世界のスライムはレベル2までしか存在しない。それなのにスーは偶然にもワイバーンを食べてレベルアップをしてしまう。スーはこの世界で唯一のレベル2を超えた存在となり、スライムではあり得ない能力を身に付けてしまう。体力や攻撃力は勿論、知能も高くなった。だから自我やプライドも出てきたのだが、自分がペットだということを嫌がるどころか誇りとしている。なんならご主人様LOVEが加速してしまった。そんなスーを飼っているティナは、ひょんなことから王立魔法学園に入学することになってしまう。『違いますっ。私は学園に入学するために来たんじゃありません。下働きとして働くために来たんです!』『はぁ? 俺が従魔だってぇ、馬鹿にするなっ! 俺はご主人様に愛されているペットなんだっ。そこいらの野良と一緒にするんじゃねぇ!』最高レベルのテイマーだと勘違いされてしまうティナと、自分の持てる全ての能力をもって、大好きなご主人様のために頑張る最強スライムスーの物語。他サイトにも投稿しています。
俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~
シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。
主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。
追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。
さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。
疫病? これ飲めば治りますよ?
これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
収奪の探索者(エクスプローラー)~魔物から奪ったスキルは優秀でした~
エルリア
ファンタジー
HOTランキング1位ありがとうございます!
2000年代初頭。
突如として出現したダンジョンと魔物によって人類は未曾有の危機へと陥った。
しかし、新たに獲得したスキルによって人類はその危機を乗り越え、なんならダンジョンや魔物を新たな素材、エネルギー資源として使うようになる。
人類とダンジョンが共存して数十年。
元ブラック企業勤務の主人公が一発逆転を賭け夢のタワマン生活を目指して挑んだ探索者研修。
なんとか手に入れたものの最初は外れスキルだと思われていた収奪スキルが実はものすごく優秀だと気付いたその瞬間から、彼の華々しくも生々しい日常が始まった。
これは魔物のスキルを駆使して夢と欲望を満たしつつ、そのついでに前人未到のダンジョンを攻略するある男の物語である。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
魔法筆職人の俺が居なくなったら、お前ら魔法使えないけど良いんだよな?!
大石 とんぼ
ファンタジー
俺は慈悲深い人間だ。
だから、魔法の『ま』の字も理解していない住民たちに俺の作った魔法筆を使わせてあげていた。
だが、国の総意は『国家転覆罪で国外追放』だとよ。
馬鹿だとは思っていたが、俺の想像を絶する馬鹿だったとはな……。
俺が居なくなったら、お前ら魔法使えなくて生活困るだろうけど良いってことだよな??
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる