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第5章 流来
第41話 聖創
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ギルド長室へ通されたエステラを見送り声を疑問の声を上げた男。
その隣の冒険者がそれに答える。
「だが、見ろ。――ギルド長室へ通された。一体誰なんだ? あんなのこのギルドにいたか?」
「どうやら。エイルミィから来たらしい」
「おいっ! エイルミィ出身の奴はいねぇか? 何でも良い情報をくれっ!」
冒険者達に伝えられたのは、スタンピードが収まるまで街に留まるようにという指示だけ、その間にスタンピードは制圧されると告知があった。
情報不足のなかジリジリと待っていた冒険者たち。
すると――スタンピードを知らせる警鐘と警笛が止み。
冒険者が見つめる眼の前で何事も無かったかのように門が開き。
そして――エステラが入って来た。
どう受け止めればいいか分からない。
だが、状況としてはエステラが制圧したというのが自然。
可憐な少女と状況証拠の齟齬に混乱のまま夜は更ける。
§
アノアディスの執務室にエルフの男性が入って来る。
「大師。ノアさんを連れて戻って参りました」
「はい。お疲れ様。ノアちゃんはおかわりないかしら?」
「はい。ゴブリンの集落が名残惜しいようでしたが、失礼ながら少々強引に帰って参りました」
「ふふっ。嫌な役をさせたわね。ありがとう」
男性は断りを入れると懐から小瓶を取り出してアノアディスへ渡す。
「ノアさんが生み出したものです。死人系によく効くのでゴブリンに役立ててほしいと渡されました」
アノアディスはその瓶を見つめ吟味すると大きく息を呑む。
「――聖属性? 古代真聖紀に失われた属性じゃない。これをノアちゃんが?」
「はい。そうです。ですが、やはりそうですか。――私では判断しかねたもので……」
「ふふふふふっ。ウェンの言う通りね。ノアちゃんは私たちの想像を軽々と超えてくる。あの娘からの手紙の文字が躍るように楽しげなのも納得ね」
古代真聖紀には、一〇種の魔法があったと言われている。
現代に伝わるのは、火水土風の源素魔法。そして、光と闇の陰陽魔法。
無属性の魔法の七つだ。
失われた三つの魔法は、聖魔法、時空魔法、滅消魔法だ。
その聖属性を帯びた液体が不意に現代に現れた。
――ノアの手によって。
その隣の冒険者がそれに答える。
「だが、見ろ。――ギルド長室へ通された。一体誰なんだ? あんなのこのギルドにいたか?」
「どうやら。エイルミィから来たらしい」
「おいっ! エイルミィ出身の奴はいねぇか? 何でも良い情報をくれっ!」
冒険者達に伝えられたのは、スタンピードが収まるまで街に留まるようにという指示だけ、その間にスタンピードは制圧されると告知があった。
情報不足のなかジリジリと待っていた冒険者たち。
すると――スタンピードを知らせる警鐘と警笛が止み。
冒険者が見つめる眼の前で何事も無かったかのように門が開き。
そして――エステラが入って来た。
どう受け止めればいいか分からない。
だが、状況としてはエステラが制圧したというのが自然。
可憐な少女と状況証拠の齟齬に混乱のまま夜は更ける。
§
アノアディスの執務室にエルフの男性が入って来る。
「大師。ノアさんを連れて戻って参りました」
「はい。お疲れ様。ノアちゃんはおかわりないかしら?」
「はい。ゴブリンの集落が名残惜しいようでしたが、失礼ながら少々強引に帰って参りました」
「ふふっ。嫌な役をさせたわね。ありがとう」
男性は断りを入れると懐から小瓶を取り出してアノアディスへ渡す。
「ノアさんが生み出したものです。死人系によく効くのでゴブリンに役立ててほしいと渡されました」
アノアディスはその瓶を見つめ吟味すると大きく息を呑む。
「――聖属性? 古代真聖紀に失われた属性じゃない。これをノアちゃんが?」
「はい。そうです。ですが、やはりそうですか。――私では判断しかねたもので……」
「ふふふふふっ。ウェンの言う通りね。ノアちゃんは私たちの想像を軽々と超えてくる。あの娘からの手紙の文字が躍るように楽しげなのも納得ね」
古代真聖紀には、一〇種の魔法があったと言われている。
現代に伝わるのは、火水土風の源素魔法。そして、光と闇の陰陽魔法。
無属性の魔法の七つだ。
失われた三つの魔法は、聖魔法、時空魔法、滅消魔法だ。
その聖属性を帯びた液体が不意に現代に現れた。
――ノアの手によって。
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