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第5章  流来

第47話  真化

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 鈴の音を聞いたあの日に起きた変化の話だ。

 一つは何故か世界樹の若木を一〇年に一柱を生み出せるようになった。

 一つはファギティーヴォの免疫が消えて、カルマ免疫が追加された。

 一つは初級程度だった魔法が中級に上がり、元から中級だった水と土が上級に上がった。

 一つは聖魔法が使えるようになった。

 あとはツイストバンクルに注釈がついて、分かりやすくなったってことかな。

 世界樹を出せると言ったら、アノアディス大師がよろめく程驚いていた。

 何かエルフには重要な事柄のようだ。

 エルフの街の真ん中にそびえている巨木が世界樹なんだってさ。

 あれから俺はアノアディス大師に錬金術を指導してもらっている。

 だが、今日はゴブリンの集落に来ていた。

 何しろ今日は記念すべき、キノコの第一回目の収穫だ。

 ジョシュアさん。やったよっ!

 ゴブリンに永久的に恩返しする仕組みが出来たよ。

 あの時受けた恩があったから、ここに来られた。

 この恩返しは俺達二人が力を合わせて成したものだと思っている。

 でも、最大の功労者はベルント。――お前だ。

 ――ありがとう。

「べるっ! 取っていいか?」

「ベルッ! これはどうだ?」

 ゴブリン達がいちいちベルントに確認してくる。

 ベルントはこの集落の一員となって、しっかりと栽培方法を教えている。

 今日も子犬みたいなキラキラした瞳のゴブリン達にまとわりつかれている。

「人間。その白いのは本当に旨いのか?」

 村長さんが俺に聞いてくる。

「ええ。美味しいですよ。スープに入れると最高です」

 今日はこの後、収穫祭だ。

 キノコ祭りだぜ。

 俺は白いキノコ、ヤマブシタケを手に取る。

 ――――リリン♪

 えっ? キノコ収穫でも反応すんの?

 俺は慌ててツイストバンクルをチェックする。

 ――信仰値を獲得? どういう意味だろう。

 動きを止めた俺を村長が怪訝そうに見つめる。

 俺は考えるのを放棄し、とりあえずキノコの収穫とその後の祭りを楽しんだ。


§


 ツイストバンクルに隠すように追加された機能がある。

 過去のログ履歴だ。

 第一項目にはこう記されている。

 一二月三一日。✕✕✕✕によって創造される。

 一月一日。エクレヴィギータの✕✕✕×✕へ転移。――覚醒。

 最終項にはこう記載があった。

 階位の成長を確認。――試験体の強度に問題なし。

 ――真化を実行します。

 そして、今まさに追加された項目がある。

 やしろへの敬虔な祈りの人数が二〇〇人を超えました。

 ――新たに信仰値を獲得します。
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