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第6章  罪咎

第16話  連携

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 レオカディオは、名無しの手紙にドワーフが関わっているそう判断した。

 その後は早かった、直ぐに使いを立てて主長であるガンソ・アナザラスを招待したのだ。

「我が家の秘文には、過去に共闘した記録も残っていました。――ですので、協力し合えるのではないかと期待しています」

 そう言うとレオカディオは害意が無い事を示すように微笑んだ。

「王国には未曽有の危機が迫っています。バイシャオウェン師の予想では五~一〇年で事件が起きます。有史以来体験した事の無い混乱になるでしょう。その為に携える力は多い方が良い」

 ガンソはそれをジッと聞く。レオカディオは続ける。

「ノアが市民を守る光の楯を用意してくれました。『天望』という魔道具だそうです。ご存じかも知れませんが、ノルトライブは突発転移という驚異的なスタンピードが発生しましたが、それのお陰で死者が出ませんでした」

「――あの白い板はやっぱり坊主が……」

 ガンソが呟く。

「――ノアがこの時代に遣わされた意味もその危機に関係しているのかもしれません」

 その言葉を受けてガンソが答える。

「――御使いか? エルフがそう呼ぶ?」

 我が意を得たりとレオカディオが頷く。

「英雄は時代が呼ぶのですよ。――少し風変わりで天然ですがね」

 そう言ってレオカディオは笑う。

 それを受けてガンソも笑う。何度もやり込められた。コロコロと表情を変える少年の事を思い出して。

「――協力関係を結ぼう。あの狂乱の一族は世界の破滅を目論んでいる。拠点は帝国の深部だろう。もとはドワーフだったが、他種族との交配を続けて殆ど人間と変わりない姿になっている。始まりは二万年前の禁忌からだ。あれは――」

 この時、人間とドワーフの共闘の誓いが結ばれる。そこにはギルドも加わり王国全土を網羅する広大な組織となってゆく。

 その組織は四人のA級冒険者と二人の切り札を備える事になる。絶界の弟子という切り札を。


§


 男は血走らせた眼で辺りを伺い、騎獣を走らせる。恨みは止まらず口から吐き出される。

「あのクソあま。全部のスタンピード潰しやがって。冗談じゃねぇぞっ!」

「子供を連れているから人質にしろだぁ? 近づけねぇのに無理に決まってんだろっ! バカか? こちとら戦闘班じゃねぇんだぞ」

「だが、まぁ。いい。――最後の任務だ。森に設置されたファギティーヴォ分析箱を回収すれば、めでたくお役御免で国に帰れる。――心置きなくガキをぶっ殺せるな」

 男はそう言うと嬉しそうに笑った。
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