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第6章 罪咎
第17話 接点
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最後の任務に男はほくそ笑んだ。
すると、進む路の先に巨木が倒れて進路を塞いでいる。男は慌てて騎獣を制御し止めた。
「――何だってんだ?」
毒つく男の前に別の人物が現れる。
「久しぶりだな。――そんなに急いでどうしたんだ?」
男は訝し気に噛みつく。
「――何だ? お前? デカいなりで路を塞ぐな。邪魔だからどけよっ!」
騎獣をけしかけるように近づける。
それを気にする様子もなく、その人物は珍しく獰猛に笑った。
ж
エステラはジレンマを抱えている。本当は工作員を追い詰めたいがスタンピードの被害を出さない為に街に待機しなければならない。
名無しの手紙が届いた後は、ダンジョンによってスタンピードの発生する期間が異なる。
あるダンジョンは二ヶ月を要し、あるダンジョンは一ヶ月で氾濫する。
その所為で後から手紙が届いたダンジョンが先に氾濫する事もあり、その都市へ急行せざるを得なかった。
つまり効率が悪いのだ。だが、クラーラの村の悲劇が思い切った判断を鈍らせている。
現状は発生する氾濫を一つずつ確実に鎮圧するしかない。やきもきとした思いを鎮め淡々と日々を過ごす。
そして、ある日に発生したスタンピードを鎮圧しギルドに戻るとその一報を聞いた。
――帝国の工作員確保の報だ。
今エステラが留まる都市より更に東の小さな町のギルドで確保されたと伝え聞いた。
喜びたいが、何も出来なかったもどかしさで、複雑な心境に陥る。
(――ララにこの事を伝えないと。スタンピードは残り一つ。それを制圧したらそこへ向かおう)
エステラは持ち前の責任感でそう線を引いた。
§
――――時は少し遡る。
トラを駆るノアは、無理を押して夜も東へと進む。今晩は満月の夜だ。
――と。エレオノーラを捉えていた『追跡くん』の反応が消える。
(……反応が消えた? ――故障? ……いや。楽天的に考えるな。気付かれたと見るべきだろう。だが、大分近づいた筈だ)
ノルトライブを出て二ヶ月が経過している。騎獣より早いトラでの移動だ。距離は大分詰めたと見立てている。
そして、ノアは少し思案する。
(――いずれにしても現地まで行くしか手はない。そこに何があるのかで判断しよう)
そう腹を決めると夜通しトラを進ませた。頻りに休憩を挟むように言われたが今はそれには従わず先を目指した。
~~~
数日が過ぎた頃。
ノアの探知にある人物の反応を捉えた。騎獣で逃げるように駆ける人物だ。
そして、その人物の存在感をノアは前に感じた事があった。
(――これは、あの時の……)
すると、進む路の先に巨木が倒れて進路を塞いでいる。男は慌てて騎獣を制御し止めた。
「――何だってんだ?」
毒つく男の前に別の人物が現れる。
「久しぶりだな。――そんなに急いでどうしたんだ?」
男は訝し気に噛みつく。
「――何だ? お前? デカいなりで路を塞ぐな。邪魔だからどけよっ!」
騎獣をけしかけるように近づける。
それを気にする様子もなく、その人物は珍しく獰猛に笑った。
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エステラはジレンマを抱えている。本当は工作員を追い詰めたいがスタンピードの被害を出さない為に街に待機しなければならない。
名無しの手紙が届いた後は、ダンジョンによってスタンピードの発生する期間が異なる。
あるダンジョンは二ヶ月を要し、あるダンジョンは一ヶ月で氾濫する。
その所為で後から手紙が届いたダンジョンが先に氾濫する事もあり、その都市へ急行せざるを得なかった。
つまり効率が悪いのだ。だが、クラーラの村の悲劇が思い切った判断を鈍らせている。
現状は発生する氾濫を一つずつ確実に鎮圧するしかない。やきもきとした思いを鎮め淡々と日々を過ごす。
そして、ある日に発生したスタンピードを鎮圧しギルドに戻るとその一報を聞いた。
――帝国の工作員確保の報だ。
今エステラが留まる都市より更に東の小さな町のギルドで確保されたと伝え聞いた。
喜びたいが、何も出来なかったもどかしさで、複雑な心境に陥る。
(――ララにこの事を伝えないと。スタンピードは残り一つ。それを制圧したらそこへ向かおう)
エステラは持ち前の責任感でそう線を引いた。
§
――――時は少し遡る。
トラを駆るノアは、無理を押して夜も東へと進む。今晩は満月の夜だ。
――と。エレオノーラを捉えていた『追跡くん』の反応が消える。
(……反応が消えた? ――故障? ……いや。楽天的に考えるな。気付かれたと見るべきだろう。だが、大分近づいた筈だ)
ノルトライブを出て二ヶ月が経過している。騎獣より早いトラでの移動だ。距離は大分詰めたと見立てている。
そして、ノアは少し思案する。
(――いずれにしても現地まで行くしか手はない。そこに何があるのかで判断しよう)
そう腹を決めると夜通しトラを進ませた。頻りに休憩を挟むように言われたが今はそれには従わず先を目指した。
~~~
数日が過ぎた頃。
ノアの探知にある人物の反応を捉えた。騎獣で逃げるように駆ける人物だ。
そして、その人物の存在感をノアは前に感じた事があった。
(――これは、あの時の……)
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