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第6章  罪咎

第19話  格上

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 捕獲した男に使った『独白くん』調べで、ここに『暴走くん』の解析箱が忍ばされているらしい。

 おっ? これだな。樹の洞からそれを取り出しアイテムボックスへしまう。

 俺が捕まえた元バーテンの話では、この森で何を行っているかは不明だそうだ。

 少なくともあの元バーテンは聞かされていないと言っていた。

 だが、どう考えても良い事はしていないよね?

 ファギティーヴォってダンジョンへの兵器だった筈何だけど。

 この森でも何か起こるのかな? まぁ。でも結構無理を押して此処まで来たから、今日は早めに休んで英気を養おうかな。

 近くに小さな街があるからそこを目指しても良いよね。

 そんな事を俺が考えていると。

 森の奥から地響きが聞こえてきた。そして、膨れ上がる強者の覇気。

 それが、――二つだ。

 ――化け物じみた存在感を持つ何かが闘っている。

 俺はその力の在りように背筋を冷汗が流れる。今まで感じた事が無い程の圧倒的な上位の格だ。

 この後俺は絶望的な闘いを眼にする事になる。この世界の深淵にいる真の強者達の闘いを。


§


 ――――王都

 レオカディオはダンテス家の執務室で帝国の報告を受けていた。

 国交の無い帝国へは行商人として帝国籍を持つ配下を送り込んでいる。

「――魔人側と鬼人側へ帝国の聖騎士はどう動いている?」

 帝国には聖騎士がいる。絶界と同じように個人で戦局を動かしかねない戦力だ。その情報には神経を使う必要がある。

「はい。式典などに出席していますが、ここ数年は紛争地に向かったという噂はありますが、戦闘行為は確認されておりません。――それと。私見ですが、公の場へ出席している聖騎士は影武者の可能性が高いです」

 レオカディオは怪訝そうに聞いた。

「――影武者? 何故だ。病にでも倒れたのか? まだ聖騎士バルデラスは若い筈だが?」

 配下は頷き続ける。

「――バルデラス家のお話はご存じでしょうか?」

「たしか、先王に疎まれて没落した武門の名家だったか?」

「はい。その通りです。先王により一族は処刑され、見せしめに末子だけが残されていました。彼は成人前から前線に送られており、その才能により生き残り聖騎士にまでなりました。そして、王が代替わりしてから扱いが変り重用され始めました」

「苦難の聖騎士ジョルジア・バルデラス。王国への亡命提案を計画した事もあった筈だ」

「はい。その生い立ちにより帝王との関係は良好とは言えません。実力で立場を勝ち取った人物です。可能性としては帝王派からの圧力による幽閉。あるいは――」

「――聖騎士が最後に活躍したのは、第三王子が討死した無謀な奇襲です。魔人の王を討ち凱旋したと言われていますが、その時に一緒に命を落としたか、大怪我を負ったか。帝国から公にはされておりませんが、紛争に投入出来ない何かがあるのだろうと推測します」

 レオカディオはその話をジッと聞き言葉にする。
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