281 / 403
第6章 罪咎
第21話 騒動
しおりを挟む
ゴブリンの集落に叫びながら戻って来る者がいる。
「森中を動物が逃げ惑っているぞっ!」
そう大声を出したのは集落のゴブリン達。森の異変をいち早く報せにきたのだ。
それを聞き長のホブゴブリンはこの頃騒がしい森の気配を探った。
(聖獣様が住まうこの森で混乱して逃げ惑う動物か……一体何が起きているのか)
長は思考を止めずに指示を出す。
「――皆の者。必要な荷物だけ持って地下壕へ避難しろ!! 騒ぎが収まるまで身を隠すのだ」
そう言って自身は息子のホブゴブリンへ指揮を任せて集落を離れる。
(――原因を確認せねば、一族が滅びるかもしれない。今回の危険度の判断をしなければならない)
それによっては集落を捨てて逃走しなければならない。最悪を想定すれば、人間の領地を通る事になる。
(その時にはあの人間を頼る事になるかもしれんな)
今では友人とも呼べる関係となったジョシュアの顔を思い浮かべた。
ゴブリンは年配で力ある者がその身を危険に晒し一族を守る。そういう仕来りだ。
ゴブリンが研鑽するのは闘鬼拳。それは武器を使わずに徒手空拳で闘う誇り高き武術である。
――闘鬼を身に纏い長は混迷の森を突き進んだ。
~~~
奥へと進む長。逃げ惑う動物達は彼には眼もくれず闇雲に駆け回る。
(――なんと。虎狼が逃げておる)
虎狼はこの森の連鎖の頂点だ。ゴブリンを襲う事は稀だが、同族以外に恐れるものは無い。
(――まさか! 聖獣様の代替わりの儀式か?)
数十年に一度。森の主を決める闘いがある。衰えた主が身を引き。新たな王が森を治める儀式だ。
(――それならば、この森の状態もあり得るのか? 早すぎる気がするが。それにこんなに荒れたとは聞いたことはない……)
――と
長は信じられないものを目の当たりにした。
「森中を動物が逃げ惑っているぞっ!」
そう大声を出したのは集落のゴブリン達。森の異変をいち早く報せにきたのだ。
それを聞き長のホブゴブリンはこの頃騒がしい森の気配を探った。
(聖獣様が住まうこの森で混乱して逃げ惑う動物か……一体何が起きているのか)
長は思考を止めずに指示を出す。
「――皆の者。必要な荷物だけ持って地下壕へ避難しろ!! 騒ぎが収まるまで身を隠すのだ」
そう言って自身は息子のホブゴブリンへ指揮を任せて集落を離れる。
(――原因を確認せねば、一族が滅びるかもしれない。今回の危険度の判断をしなければならない)
それによっては集落を捨てて逃走しなければならない。最悪を想定すれば、人間の領地を通る事になる。
(その時にはあの人間を頼る事になるかもしれんな)
今では友人とも呼べる関係となったジョシュアの顔を思い浮かべた。
ゴブリンは年配で力ある者がその身を危険に晒し一族を守る。そういう仕来りだ。
ゴブリンが研鑽するのは闘鬼拳。それは武器を使わずに徒手空拳で闘う誇り高き武術である。
――闘鬼を身に纏い長は混迷の森を突き進んだ。
~~~
奥へと進む長。逃げ惑う動物達は彼には眼もくれず闇雲に駆け回る。
(――なんと。虎狼が逃げておる)
虎狼はこの森の連鎖の頂点だ。ゴブリンを襲う事は稀だが、同族以外に恐れるものは無い。
(――まさか! 聖獣様の代替わりの儀式か?)
数十年に一度。森の主を決める闘いがある。衰えた主が身を引き。新たな王が森を治める儀式だ。
(――それならば、この森の状態もあり得るのか? 早すぎる気がするが。それにこんなに荒れたとは聞いたことはない……)
――と
長は信じられないものを目の当たりにした。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1,582
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる