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第6章  罪咎

第39話  自覚

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 連撃の五段目に乾坤一擲けんこんいってきの奥義を打ち込む。

 
 ――それは。


 しなやかに腕を畳んで差し込まれた、ジョシュアさんの楯術の技により阻まれてた。

 だが、槍杖が当たった楯の打撃点にヒビが入る。

 ――アダマンティンすら断つ神剣で、この程度しか打撃が通らないのはずるを超えて反則では?

 だが、知っているよ。世の中は不公平だと。だから、俺は準備する。

 至近距離に寄り、身体を抑えたのはこの為だ。

 右手でジョシュアさんの頭を掴むと、カルマ免疫の連打をイメージする。

 なにしろ、発動方法が分からない、だから、取り敢えず想像上の連打。連打。連打。打。打。打。

 神武かみたけさんに効いたんだ。――頼む。


 ――集中して無防備な俺は、打ち込まれたバッシュの衝撃で吹き飛んだ。一縷の望みは敵わない。器用貧モブ乏な俺は何時だってそうだ。

 飛びそうな意識を引き留めて空中で体制を整え着地する。

 その時、俺はウェン師の言葉を思い起こす。『ファギティーヴォは感染続けるよりも、定着する事に重きを置いて開発されている。そして、定着した後は分離も回復も不可能』

 ずっと気になっていた、悪い予感の正体だ。

 しょうがない。このリングは俺が望んだ時にありがたい効果をくれる訳がないからな。

 結構期待していたんだが、あいつ。仕事しねぇな。……初めて期待したのに。大切な事だから、二度言っておく。

 現状分析だ。取り敢えず俺の力は通じるが、……ガチンゴチンに硬すぎる。

 唯一無防備な頭部は、さすがにガードが堅い。

 覚悟を決めて殺す気で仕掛けたが、それすらいなされた。

 俺の今の戦力で闘えるが、決着が直ぐには着きそうにない。

 そして、俺には時間が無い。タイトロープには既にナイフで切り込みが入っている。

 ――アレを使うしかないか。

 ビュンビュン動き回るジョシュアさんに簡単に当てられる気がしない。

 だから、機会は一度ないし二度。時間との勝負もある。

 ――日和るな!!

 ジョシュアさんを殺す事になっても。それは俺が背負う責任だ。


§


 シルビニオンは小さな体で森の中を駆ける。
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