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第6章 罪咎
第40話 切札
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長の下を離れ、シルビニオンは森を奥へとひた走る。
その不安はいや増すばかりだ。轟音があれほど鳴り響いていた森が急に静かになった。
あの時に少年は確かに聞いたのだ。風の声を。『追わなくて良いのかい?』そう囁かれた。
そして、その声はこう続ける『――最後の機会だよ』と。
賢者故の賢さか、少年故の一途さか。シルビニオンは進む。不穏の森を。
◇
アノアディス大師にも止められたアレの話をしよう。
着想理念はカロのレーザーだ。その源の精霊力は禁忌とは言わないまでも、エルフでも分析できない謎エネルギーで独特のものだ。
残念ながら、俺も分からなかった。――悔しいので今のところは、とだけ大きく付け加えておく。
神器には様々な武器があったが、さすがにレーザー兵器は無かった。だったら作ってみようぜと生み出したものがある。
『精霊さん』だ。基本理念は、魔法エネルギーで生み出す矢の仕組みを暴走させて、継続的に打ちだす。
言葉にすると簡単だが、製造は困難を極めた。
そして、それは今も完成していない。何しろ膨大なそれをコントロール出来ない。
つまりは未完兵器。――自爆兵器だ。
『精霊さん』の可愛らしい名前の割に、その威力は凶悪だぞ。
――当たればだが。
一度の試射で開発の禁止を言い渡された。その時の被害状況により、俺から『くん』ではなく『さん』の称号を勝ち取った。
なので、持っているのは一つだけ。
カロのレーザーが精霊的で魔法に満ちているのに対して、『精霊さん』はゴリゴリの物理って感じだ。
荷電粒子砲がこの世界に合ったらこんな感じかなと思ったよ。
これを使った後に起こる事は、ジョシュアさん消滅。ジョシュアさん欠損で生き残り。俺消滅。俺欠損で生き残りという、単一ではなく、複合的な未来もあるパターンだ。
だが、俺は本当に短い付き合いだが、ジョシュアさんが暴走して誰かを傷つけるなんて望んでいるとは思えない。
もし俺が同じ状況でも止めて欲しいと願う筈。……そう俺の判断基準でだ。
業免疫が効かなければ、このカードを切ろうと思っていた。
――禁忌の切札だ。
俺も命を張る。すまんが付き合ってもらうぜ。ジョシュアさん。
その不安はいや増すばかりだ。轟音があれほど鳴り響いていた森が急に静かになった。
あの時に少年は確かに聞いたのだ。風の声を。『追わなくて良いのかい?』そう囁かれた。
そして、その声はこう続ける『――最後の機会だよ』と。
賢者故の賢さか、少年故の一途さか。シルビニオンは進む。不穏の森を。
◇
アノアディス大師にも止められたアレの話をしよう。
着想理念はカロのレーザーだ。その源の精霊力は禁忌とは言わないまでも、エルフでも分析できない謎エネルギーで独特のものだ。
残念ながら、俺も分からなかった。――悔しいので今のところは、とだけ大きく付け加えておく。
神器には様々な武器があったが、さすがにレーザー兵器は無かった。だったら作ってみようぜと生み出したものがある。
『精霊さん』だ。基本理念は、魔法エネルギーで生み出す矢の仕組みを暴走させて、継続的に打ちだす。
言葉にすると簡単だが、製造は困難を極めた。
そして、それは今も完成していない。何しろ膨大なそれをコントロール出来ない。
つまりは未完兵器。――自爆兵器だ。
『精霊さん』の可愛らしい名前の割に、その威力は凶悪だぞ。
――当たればだが。
一度の試射で開発の禁止を言い渡された。その時の被害状況により、俺から『くん』ではなく『さん』の称号を勝ち取った。
なので、持っているのは一つだけ。
カロのレーザーが精霊的で魔法に満ちているのに対して、『精霊さん』はゴリゴリの物理って感じだ。
荷電粒子砲がこの世界に合ったらこんな感じかなと思ったよ。
これを使った後に起こる事は、ジョシュアさん消滅。ジョシュアさん欠損で生き残り。俺消滅。俺欠損で生き残りという、単一ではなく、複合的な未来もあるパターンだ。
だが、俺は本当に短い付き合いだが、ジョシュアさんが暴走して誰かを傷つけるなんて望んでいるとは思えない。
もし俺が同じ状況でも止めて欲しいと願う筈。……そう俺の判断基準でだ。
業免疫が効かなければ、このカードを切ろうと思っていた。
――禁忌の切札だ。
俺も命を張る。すまんが付き合ってもらうぜ。ジョシュアさん。
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