農家は万能!?いえいえ。ただの器用貧乏です!

鈴浦春凪

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第6章  罪咎

第87話  対面

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 目の前に現れた竜に、俺は敵意を示さずにゆっくりと地に足を付ける。

 眼が合ったが攻撃される様子はない。

 それにしても世界は深い。人知が及ばぬ程の迫力だ。その気になれば人間などひとたまりもないだろう。

 ――モルト。敵対しちゃいけないヤツだ、頼むな。

(――やっと来たか。アールカの使い。長幼の序の習いもあるぞ。挨拶は使いではなくお主が来んとな)

 俺はジッとドラゴンを見つめる。……念話?

(あなたですか? 御前にお邪魔して恐縮です。こちらに敵対の意思はありません。先程鳥が現れたと存じますが、その者は無事でしょうか?)

(――風颶ふうぐか。それならばそれに)

 その言葉と共にクリスタルに囚われたツンツクが空中に現れた。羽ばたく姿勢のままときに囚われている。

(――! あなたっ!)

(――解放をおんねがい奉ります)

(敬意があれば言葉なぞ装飾に過ぎん。堅苦しい話し方を改めよ。――だが、まぁ。良い。使い魔の不調法は不問としよう)

 クリスタルが大気に解けるように消えた。一度の羽ばたきでツンツクは急上昇する。

(――ツンツク。状況把握! ゆっくりと旋回。敵対行動の禁止だ)

(――あなた。大事はない?)

 オナイギが追従して飛翔し、落ち着かせるように意思を伝える。

(――ダンナ。一体何が……)

 オナイギが様子を確かめる為に戯れ合うように纏わる。

御方おんかた。――解放頂き感謝します)

 心よりの感謝を込めて言霊にのせる。

(ツンツク。済まないがエステラへ無事の報告へ戻ってくれ)

(へい。ガッテンでさ。ダンナも健勝で戻る事を祈りまさぁ)

 その返事と共に二羽は彼方へと飛び去った。

 さて、取り敢えずツンツクの安全は確保した。今の天秤には俺のたましか載っていない。

 んっ? モルト? 一緒にいるよって、ありがとな。すまんが、付き合ってくれよ相棒。

 だが、今伝えられた意志で分かった。やはりこちらが正規ルート。このドラゴン攻略こそ俺が得る筈だったものの答えだ。それにアールカの使い? そう呼んだな。アールカ? それって……。

(立ち話ではいきもない。――せ)

 それと共にユリを思わせるクリスタルな椅子が現れる。そして揃いの装飾の丸テーブル。
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