上 下
351 / 403
第6章  罪咎

第91話  鉄槌

しおりを挟む
 この世界に伝わる。子供でも知っている創世の伝説をおさらいしよう。

 創世神が世界を創り、他の神を生み出した。

 時が経ち創世神は、自神への戒めとして、龍を生み出した。これが創世龍。最高神を止める為の切り札だ。

 そして、十万年前に神は一柱も残らずに上天して居なくなった。ここまでが古代真聖紀。

 そしてここから始まる神聖紀。神以外の種族の時代だ。繁栄したが二万年前の神の鉄槌と呼ばれる光の矢で崩壊した。

 それから続く。氷河期一歩手前の暗雲紀。新たな文明が起こりなんとか生き残って今に至る。

 ここで俺の感じる疑問。神が去った世界で何故職業の啓示が行われるのか? 予想ではシステムだけが残されて維持している。つまり、この世界に神はいない。事実その痕跡もない。

 いない筈なのに起きた二万年前の神の鉄槌とは何か? しかも死の草原はその時に出来たものだと伝えられる。そして、その場所はダンジョン的な何かで龍が管理者。

 更なる情報だ。アールカは何者かの質問の回答は友の友人だと答えられた。龍が友と呼ぶ人物。暫定的だが創世神だろうな。そして繋がる。エルフの口伝。

 創世神は多くの神を創り出したが、世界に顕現するときたった一柱だけ連れていた神がいた。その神は生命をこの世界に運んだという。そして、その世界に生命を産みだした神はその権能により力を失い。その座から降りたと伝わる。

 口伝ではそれが龍だという説とエルフの祖だという説がある。だが、龍ではないのだろう。龍はエクレヴィギータと名乗った。

 力を失った元神が――アールカ。俺をこの世界へいざなった者。ポンコツさんの正体だ。

 龍はアールカの使い。――人形に格下げされたが――そう俺を呼んだ。

 更なる情報。ここは源初の森。世界が始まった場所。エルフの口伝が正しければ、アールカが力を振るった場所だ。

 思わず。創世神が力を振るったのか確認したのはその為だ。答えを貰えば確定できたが。

 命を生み出した元神が龍だというのも何処かで誤り伝えられたのだろう。正確にはその場所を龍が守るとかか?

 それにエルフの祖の口伝。――因果を感じる。何しろ俺は世界樹を産む存在だ。世界樹はエルフの人口と密接に関係する。

 ここまでこの世界の真理に近づけた者はエルフにもいない。ウェン師。アノアディス大師への報告案件だな。

(うむ。問答が無いようなら始めるか)

 ――長考し過ぎたか。ここまでの分析で俺が恐れる内容が一つだけある。世界の滅亡につながる伝説の出来事の謎。

「――神の鉄槌とは何でしょうか?」
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

僕らの青春はここにある。

BL / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:76

重婚なんてお断り! 絶対に双子の王子を見分けてみせます!

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,590pt お気に入り:44

偽りの恋人達

恋愛 / 完結 24h.ポイント:653pt お気に入り:38

ある国の王の後悔

恋愛 / 完結 24h.ポイント:2,477pt お気に入り:99

婚約破棄ですね。これでざまぁが出来るのね

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:170pt お気に入り:4,131

君の瞳は月夜に輝く

BL / 連載中 24h.ポイント:28pt お気に入り:170

眼鏡モブですが、ラスボス三兄弟に愛されています。

BL / 完結 24h.ポイント:234pt お気に入り:3,167

森の中で勇者を目覚めさせたら、一目惚れされました!?【R-18】

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:49pt お気に入り:1,215

処理中です...