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第6章  罪咎

第95話  本分

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 意識を取り戻した俺は、詫びを告げる。

「――失礼しました。意識を失ってしまいました。お待たせしませんでしたか?」

(良い。我がそうさせたのだ。だが、これで義理は果たした。主はここから居ね。定命の者は生を急ぐがよい)

 俺は瞬間的にリングを確認する。

 祝福:創世龍エクレヴィギータの加護

 ただそれだけが追加されていた。

「――御方の加護とは何でしょうか?」

(質問には全て答えた。その加護の意味は必要な時に理解するであろう)

 おいおい。急に渋ちんだな。

(――境界域への転移か。辞去かを選べ。話はしまいじゃ)

 取り付く島もない感じ。まぁ、それだけの武威と格がある。始めからこちらに選択権はない。龍の気分次第だからな。だったら、機嫌を損ねる前に去るとしよう。

「過分にも加護を賜り恐悦至極に存じます。崇高な御方にお時間を斯くも頂き感謝に堪えません。厚く御礼を重ねたい処ですが光陰矢の如しとも申します。定命の身として万謝を胸に辞去させて頂きます」

(うむ。――居ね)

 ジャバワさんへも目礼して俺はその場を離れた。エステラも心配して……あれ? お茶しているな。まぁ。ピリピリしているよりその方がいいか。

 ゆっくりと上空へと到達すると始まりと同じように広大な空間は隠蔽されて見えなくなる。相棒のモルトも俺の肩に手を置いてついて来ていた。

(――ツンツク。オナイギ。こちらは片がついた今から戻るよ)

(ダンナ。……面目ねい。ご迷惑かけやした)

(ツンツクの所為じゃない。俺が会いに行かなければいけない相手だったみないだ。こちらこそ危険な眼に合わせてごめんな)

(謝らないでくだせい。アッシはケガもなく無事でさぁ)

 それは、何よりだよ。これで、俺の忘れ物は確認できた。あんな存在にもう会う事もないだろうが、あれこそ、神がいた証明なんだろうな。世界を壊す為の使われない絡繰りだ。

 取り敢えず拠点の都市に戻ってイェルダさん達に別れの挨拶をしたら、世界を見回りながら最前線を目指すか。

 ――――最終目的地は辺境都市。

 最前線には農家が要るからな、米国のフロンティアを切り開いたのは銃を持った農家だし。一四〇年続いた戦国時代の食を支えたのも農家だ。しかも驚くことに戦の主戦力としてだぞ。

 そして、天下統一を果たした豊臣が恐れたのが農民だ。その証拠が刀狩り。練度の高い農兵に武器を持たせていたらオチオチ寝てもいられない。

 農家は困難な時代、切迫した場所でも武と食で社会を支える。


 ――農家はいつの時代も最前線でこそ輝く。
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