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第6章 罪咎
第94話 階位
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『悪意の欠片』に取り込まれることは無いと語った女性言葉を受けて男は応える。
「そうだね。第一戦は無効試合で終わったが、なり損ないの人形もそのうち出てくるだろう。今のままでは性能差がレベチで瞬殺されるけど。魂刈り切りだっけ? あっちはもう直ぐ人の在り様から外れそうだ」
「――アセットを追加投入しますか?」
「やり過ぎは野暮だよ。エムザラ。あるがままに。何しろ因果を改変する鬼札だ。せっかくの化札が何に変わるかは笑いながら眺めた方が粋だろう?」
「何しろ、いきなり聖域を生み出す存在だ。いずれ至ったかもしれないが、トリックルート? いやもう突発バグでいいか? あれには笑った」
「――人族から祭壇で信仰されており、エルフからもその値が急速に上がっております。何故かダンジョン都市からも加算が継続しています」
村の社に石像が祀られて、エルフからは肖像画のお守りがその偶像を兼ねた。ノルトライブでは都市を守った英雄としてその感謝が信仰値に変換されていた。
「くっくく。――そう! 狙ってもできないよ。神のいない世界で宗教でも興すつもりかよ。想定より階位の上昇だけは良いからね」
「おっしゃる通りです。件のサイネ・モヤウィロス。神武の管理ダンジョンの五階級も上位です。世界でも階位の高いあのダンジョンよりもです。驚異的ですね。――あそこは介入せず宜しいのですか?」
「うん。いいよ。彼は因果を掴み取ったんだ。始まりに少しの因縁はあるが、取るに足らないただの場所に興味もない。それより、あの子だよ。まだまだ上がりそうだよね。まぁ。そうしたんだから当然だけど。想像以上で楽しくなるね」
「――ドロップ率の調整パッチはあれでよかったのでしょうか?」
「ダンジョンからドロップされることを想定していなかったからね。親和性が100%になるのは当たり前だけど。ドロップも100%とは盲点だった」
男はそれにと前置きをして言った。
「上がり続ける階位と親和性があいつに届きうる最低条件だ」
楽し気に男は付け加えた。
「――僕にもね」
◇
目を覚ますと気を失う前と同じ景色。小山程の龍とジャバワさん。
「そうだね。第一戦は無効試合で終わったが、なり損ないの人形もそのうち出てくるだろう。今のままでは性能差がレベチで瞬殺されるけど。魂刈り切りだっけ? あっちはもう直ぐ人の在り様から外れそうだ」
「――アセットを追加投入しますか?」
「やり過ぎは野暮だよ。エムザラ。あるがままに。何しろ因果を改変する鬼札だ。せっかくの化札が何に変わるかは笑いながら眺めた方が粋だろう?」
「何しろ、いきなり聖域を生み出す存在だ。いずれ至ったかもしれないが、トリックルート? いやもう突発バグでいいか? あれには笑った」
「――人族から祭壇で信仰されており、エルフからもその値が急速に上がっております。何故かダンジョン都市からも加算が継続しています」
村の社に石像が祀られて、エルフからは肖像画のお守りがその偶像を兼ねた。ノルトライブでは都市を守った英雄としてその感謝が信仰値に変換されていた。
「くっくく。――そう! 狙ってもできないよ。神のいない世界で宗教でも興すつもりかよ。想定より階位の上昇だけは良いからね」
「おっしゃる通りです。件のサイネ・モヤウィロス。神武の管理ダンジョンの五階級も上位です。世界でも階位の高いあのダンジョンよりもです。驚異的ですね。――あそこは介入せず宜しいのですか?」
「うん。いいよ。彼は因果を掴み取ったんだ。始まりに少しの因縁はあるが、取るに足らないただの場所に興味もない。それより、あの子だよ。まだまだ上がりそうだよね。まぁ。そうしたんだから当然だけど。想像以上で楽しくなるね」
「――ドロップ率の調整パッチはあれでよかったのでしょうか?」
「ダンジョンからドロップされることを想定していなかったからね。親和性が100%になるのは当たり前だけど。ドロップも100%とは盲点だった」
男はそれにと前置きをして言った。
「上がり続ける階位と親和性があいつに届きうる最低条件だ」
楽し気に男は付け加えた。
「――僕にもね」
◇
目を覚ますと気を失う前と同じ景色。小山程の龍とジャバワさん。
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