最強魔法は生活魔法!? ~異世界ではモンスター退治も生活のうち~

gagaga

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第二章 リュータと不思議な他種族

第十六話 リュータとドワーフと

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「今日も一日、お疲れっしたー!!」
「「「おー!!」」」

 今日も俺は農夫の皆さんと酒を酌み交わす。
 一日の重労働の末のビールはまた一段と、旨し!

「いやしかし、皆さんすごい腕前ですね。あっという間に収穫するなんて」
「いやいや、おめさんの耕しっぷりもてーしたもんで」
「そうですかー? ゲンさんのあの超高速豆もぎの方が凄いですよ」

 そう、本当にすごいのです。
 学校の運動場くらいの広さのある豆畑、その成っている豆をこのゲンさん、見た目美少女にしか見えない中年オッサンドワーフは、一時間もせずに熟れた実だけをもぐんですよ。
 すごいです。


 ああ、そうそう。
 この世界のドワーフね、男と女が逆転したような見た目しているんだ。
 男は絶世の美少女、のようなオッサン。
 女はガチムチヒゲモジャのオバサン。

 だから俺、今、とってもハーレムなの。

 見た目だけな!!

 きちんとオチンがついているのは、一緒にお風呂入ったんで知ってるよ!
 顔に似合わぬドブっといのがぶら下がっているのですよ!?

 サイズが負けた。


 ちくしょーめ!!!!



「リュー坊、ジョッキがカラだぞぇ。ほれ、たんと飲め飲め!」
「ありあっす! ジョウさんも、ほら飲んで飲んで!」
「おっととー、いやー、うんめーなぁ」
「気の合う仲間と飲むお酒って、最高ですよねぇ」
「んだでな! ゲーデリックも飲んどるでなー」
「ん、うまい」

 寡黙なこのモグラは同じく農夫のゲーデリックさん。こう見えて65歳のおじいちゃん。
 猫背なんだけど力持ちで、おまけに農業についてかなり詳しく、この時期にはこれを植えて、前はこれ植えたからここにゃ次はこれだんべ、と言う知恵袋です。


 彼らの見た目、最初は戸惑ったけど、いざ実際に生活してみると人間とは慣れるもの。
 今や俺は目の前の美少女のようなオッサンを、きちんとオッサンとして認識している。加齢臭とか理解できちゃうもん。
 娘が臭いといいよるんだわ、と愚痴る見た目美少女にも、膝が痛いと嘆くモグラにも、慣れました。

「そう言えばリュー坊は明日からしばらく向こうっけ?」
「ええ、ハンター稼業も兼任してるんで、明日からしばらく狩りですね」
「ほっほ、そんだらこったやめて、こっちゃきんしゃいや」
「ははは、そうですね。そう言うのは、もうちょい冒険してからにしますよ」

 この街に永住?


 絶対、いやです。



 だってこの街、ロクな女性いないしさ!!
 なんだよ毛むくじゃらのモグラの麗人って!
 なんだよヒゲモジャマッチョのミス.ウーティ(街の名前)って!

「そうかー、流れのハンターならそんたらもんさね。こっちゃな言葉分かるた、よほど優秀さぁね」
「ははは、お誘いはありがたいのですがね」

 それに俺、この環境に慣れちゃいけないと思うんだ。
 だって

 今後、美少女にあってもゲンさんやジョウさんの影がチラついたら、嬉しくないもん!!


***

「アンデルス君、これで最後かい?」
「ニンニンと。よし、俺の『探査』には何もかからないぞ」
「おう。しかし便利だね、忍者」
「!? いや、そこは『探査』が便利なんだろーが!! 忍者を便利モノ扱いすんなって!!」

 悪い悪い。

 でも、忍者、便利だな。
 『生活魔法』を超えている気さえするわ。

 ま、俺も負けてないけどねっと。

 『ステータス』オープン、ってな。



 タナベ=リュータ Lv18 MP36
 筋力 18
 敏捷 17
 魔力 39
 生命 15
 器用 15
 信仰 9

 スキル:ステータス、生活魔法、解説+、棒術+、収納+、魚人式古代泳法+、流体操作+



 はい、御覧の通り新たに習得したスキルはなんと、『流体操作』。
 流れているものなら何でも操作出来てしまうチートスキル。アクセラレー・・・おっと、これ以上はまずい。
 ただし、相変わらずこの手のチートスキルは消費MPがハンパなく、いちまん・・・。
 ちなみに下位スキルはこうなっております。


 流体理解-流体感知-流体操作


 どうやら以前は『流体理解』と『流体感知』を使って、潮の流れを読んで泳ぎ切った模様。『流体操作』は無意識に使わなかったようです。
 そして『流体理解』は消費無しのパッシブ、『流体感知』は泳いでいる最中なら消費無し。地上で使うとMP10ほど減ります。これでも十分チートだったりするんだよね。合気道の達人よろしく、バッタの前足攻撃をスルリと棍でいなせました。


「おい。おい!? 何ボーっとしてんだ。ほら、ドロップ。魔石と、なんだこりゃ?」
「黒い卵? どれどれ、『鑑定』」


 根切りバッタのフン
 -文字通りフンである。栄養価が高く、畑にまくとよい肥料になる。


「げぇ、それウンコじゃないか!!」
「何!? 初めて見たぞ、レアドロップじゃないか!!!」

 ウンコがレアか。
 そしてそれを掲げて喜ぶモグラ。

 そっとしておいてやろう。

「こっちは足に、ん? なんだこれ? 紙?」

 根切りバッタカード
 -攻撃力+5。必要スロット1。


 え?

「お、おおお、おい! これ、これって!!」

 おれ、知ってるぞ!
 こういうパワーアップ系のドロップ、激レアだって!!


「あー、カードね。売れなくもないからいいけど、フンよりは価値が低いな」
「まじかー」

 どうなってんの、異世界?


***

「そうか、武器に装着するとしてもスロットは限られている、と」
「そうだよ。それすら知らなかったのにハンターやっていたのかい?」
「駆け出しなんでご勘弁を」

 俺は今、ハンターギルドの受付担当のパンナさん(男)に軽いお説教とスロットについて解説してもらっている。

 ちなみに要点をまとめると、こう。

 1.カードを利用するには武器にスロットが必要。
   ただしスロット付きは高価なうえに、伝説級の武器でも三つしかスロットがない。

 2.カードを嵌めると、取り出せない。
   次により強力なカードを手に入れても、差し替えられない。

 3.確率は低いけど、カードは魔物的なモンスターを狩ればいつか出る。
   日常的に魔物を狩っているから、嵌める武器のないカードが溜まっている。


「それでも買い取ってくれるんですね?」
「研究している連中が欲しがるんだよ。いつか絶対に自分の手でスロット付き武器を作ってやるってね」
「そうなんですか。すごいんですね」
「ああ、うちのカカアも張り切ってるさ。ほら、買い取り価格の五百円だ」
「うわーい」

 なお、バッタのウンコは八千円でした。


***

「あのお店は?」
「あれは鍛冶屋だね」
「あっちは?」
「あれは、鍛冶屋だよ」
「・・・、あれも?」
「鍛冶屋だねぇ」

 俺は今、パンナさんにウーティの街を案内してもらっている。
 しかし見る場所見る場所、ほとんど鍛冶屋だった。

「鍛冶屋、多すぎませんか?」
「そうは言っても土竜族もドワーフ族も、鍛冶が好きだからね」
「あ、あれ。薬っぽいのが置かれていますよ!」
「あれは薬屋と鍛冶屋を兼任しているポポイピッチの家だよ」

 ええー。
 鍛冶屋と薬屋って兼任できるんですかー?
 ハンターと農家を兼任している俺が言うのもなんだが、この街はこんな調子で鍛冶屋以外の専門店が全くない。
 食料品店でさえ、奥が鍛冶屋だった。

 なんでそう言う所だけドワーフに寄せてくるのか。

 訳が分からないよ、異世界。

「よし、今日はここで飯を食べようか。お勧めのお店なんだ」
「はい、おいしそうですね。しかしそれでもやっぱり奥が鍛冶屋なんですね」
「それはそうだよ。やあ、そこのベッピンさん、ランチを二つお願いね!」

 可愛い女子(見た目だけ)が野太い声で近くを通ったヒゲモジャマッチョに注文をすれば、高い声で可愛らしく体をよじらせたマッチョさんが、「はぁい、いつもお上手なんだからぁ」と甘えた調子で返す。

 うん、やっぱ馴染めないわ、俺。

「パンナさん、人妻、じゃなかった、奥さんいるのに何やってるんですか?」
「このくらいいいでしょう。カカアも美人だけれども、ここいらの人たちはみーんな美人ぞろいだからね。あ、もしかしてお前さん、狙っていたのかい?」
「いえいえいえいえ」

 いえいえいえいえいえいえいえ!!!!
 全力で否定させて頂きます!!

 人を見た目で判断しちゃいけないとは言え、オネェ調のマッチョガールはどうかご勘弁ください。


 しかし、飯、旨いな。
 この街はどの店に入っても、飯が旨い。

「なんでこんなに飯が旨いのか」
「そんなのは、おいしい飯が好きだからに決まっているでしょう?」
「そうですねー」
「あとは、偶にバッタのフンで作った肥しを撒いた野菜を使っているからね」
「ぶふぅ!!」

 ここで出てくるのか、あのレアアイテム。
 全く油断ならないぞ、異世界。いや、ウーティの街!

「大丈夫かい? ほら、お水だよ」
「ありがとうござ・・・、水面、揺れてません?」
「お、妙だね」

 かた、かたたたたたた。

 店全体が、揺れている?

「何が起こっていうわああああああ!!!」

 突然壁から何かが生えてきた。
 そしてそれは、ウネウネしているだけだった。

「これは、ウーティの街の名物だったりします?」

 そう聞くも、パンナさんからのお返事はなかった。
 まさか今の衝撃に巻き込まれたのかと見たけど、美少女が怯えているだけだった。

 可憐だ・・・


 って違う!! 相手、39歳! オッサン!!


「まずい、まずいぞリュー坊! あれは、タイラントポテトだよ!!」


 ・・・、なんて?


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