最強魔法は生活魔法!? ~異世界ではモンスター退治も生活のうち~

gagaga

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第四章 リュータ、定住する

第四十二話 リュータの賭け

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「デカい! デカすぎるぞ!! なんだあれ!」
『まさかグランドテラートータス! 伝説上の魔物が何故ここに!?』
『それは封印されし邪悪な魔物の名ね。とはワケが違うわ』

「え? 【魔物】と【魔物的なモンスター】は違うの!?」

 ・・・。

『貴様は何を! このような時に冗談など言っている場合ではないぞ!!』
『リュータ、ごめんなさい。今のは笑えないわ』

 一体何が起こっているのか。どうにも現地民二人と俺の意見は食い違っているようである。しかしこれは、詰まるところ、なんだ?
 とにかく【魔物】と【魔物的なモンスター】は違うもの、なのか? 良く分からんぞ。

『リュータは数字もよく間違えるからな! 頭の方がアレなのかもしれん』
『そうなの? でもそう言う子ほどかわいいと言うわ。ただ、とにかく今は勇者の子たちに連絡すべきだと思うの』

 っと、あまりに酷い物言いだったから忘れていた。

 もしもし、ミチルさん? ああ、こっちは【魔物的なモンスター】は倒したんだけど、【魔物】が出てきて・・・、うん、そんなに【魔物】はヤバいの?

 『電話』越しの向こうの声も、巨大カメの【魔物】の存在を知ってかなり切羽詰まっているようだ。そしてあのメテオを耐えたのも納得と言っていた。つまりこの【魔物】と言うキーワードだけで危険が伝わるレベルであり、共通認識の何かがあるようだった。俺だけが話についていけていない。
 何故だ。分からん。

『今はグランドテラートータスを倒すのが先決ね』
『その通りだ! 行け! リュータ!』
「ど、どうやって戦えばいいんだ?」

 沈黙。

「参謀! 頼む! 何か案をくれ!」
『う、うむ。いや、がんばる?』

 なんだその根性論は! しかもやるの俺だろ? ふざけんなよ!

『ちょっと待って。案がないならまず結界の準備をするわ』

 プシューとサンルーフが開いてミントさんが登場した。そして何やら魔法を唱えると、近くの地面が盛り上がってきた。そこに現れたのは、祠?

「ここにダンジョンの結界用の神々のモノリスが埋め込まれているわ」
「モノリス!?」

 あ、本当だ。ミントさんが魔道馬車から降りてその祠の中を開けたら、見慣れた『- アースガルズへようこそ -』の文字が見えた。いや、ちょっと違う気がする。俺が見たのは『- ようこそ アースガルズへ -』だった、よな?
 しかしあのモノリス、どこでも似たような文面なんだな。そしてここにも異世界人が来ていたのか。こんな状況だけど、何だかなぁ。
 ん? もしかして俺、宙のダンジョンからここに飛ばされてきてたのか? そして吹雪の中、何百メートルと歩いていた気がしたけど、もしかしてこの辺りをグルグルと回っていただけなのか?

「吹雪の中、散歩をしている人がいると思っていたの。同じ場所を何度も行き来していたから、最初は遭難中だったとは気が付かなかったわ」

 いや、そんな懐かしむような目で呟かないで下さい。恥ずかしさに身もだえしますよ。

『それで結界は起動できるのか?』
「グランドテラートータスを止めなければ完全とはならないわ。でも小物をこれ以上出さないようには出来そうよ」
『やらぬよりはマシだ。それと、ヤツはどうする?』
「ん? それは俺に聞いてるの?」

 聞かれても困るな。俺ってかなり一般人だから。そもそもあんな大物と戦った事がない。いや、そう言えば巨大ウナギのグラトニーイールと戦ったな。戦いと呼べるほどハイレベルな攻防ではなかったが・・・。

「ひとまず勇者連中に連絡を入れたから、一時撤退はどう? 戻りながら魔物的なモンスターの討伐をしてさ」
『・・・、それがよかろう。ではミントよ、入れ。リュータは、がんばれ』

 え? と思ったらすでにミントさんは車内。俺は車外と言うか、屋上にいる。そして発進する魔道馬車。

『しっかりつかまっているがいい! 飛ばすぞ!』

 移動中は中でも良かっただろぉぉぉぉぉぉ。


***

「相手は魔物だ。放置すれば国が滅ぶ」

 戻った俺たちと共に作戦会議を開いたオーリム王子のこの一言により、電撃作戦が決定された。
 俺、ミチルさん、ツヨシ君改めスレーブワンの異世界人三人であのデカブツを対処するらしい。


「マジだりーよ。俺様、寒いの苦手なんだよ。それにあのデカさ。あり得んだろ」
「だよなー」

 意外と気が合うツヨシ君、じゃないスレーブワンとそんな話をしながらのんびり山を登ってく。隕石の衝撃でかなりデコボコで歩きにくいが、それでも前を歩く騎士団の面々が地ならしをしてくれているのでマシだった。

「そろそろ着きます。気を引き締めましょう」

 呪いのハチマキを締め直したミチルさんがそう呟くと、俺とツヨ・・・、スレーブワンは頷いた。

「これが終わったら俺様、姐さんに告白するんだ」
「俺、これが終わったらシルちゃんと一緒に暮らすんだ」

 ・・・。

「二人して何死亡フラグを立ててるんですか! 行きますよ!」
「「へーい」」

 やる気がない?
 いや、逆だよ。

「さーて、俺様の快適な奴隷ライフを阻むクソッタレは土にお還り願わないとナァ?」
「俺の充実した農家ライフを邪魔する粗大ごみは、解体してポイだ、ポイ」


 イカれたメンバーを紹介するぜ!

 まず勇者。頭部装甲を偽装中だ! 次に奴隷。元勇者だが今は変態マゾ奴隷だ!
 そして最後に、一般人の俺だあああ!!

 いざ、勇者パーティ、 出 陣 !!


 ちなみに俺の護衛にミントさんも付いてきていますが、結界優先なので戦闘にはあまり参加出来ないようです。


***

 恰好を付けてはみたものの、俺が出来ることは少ない。勇者の面々が人外の動きで跳ね回りGTT(グランドテラートータス)に縦横無尽の攻勢をかけている間に、攻略法を探すと言うものだ。本来であれば先遣隊が派遣され、情報を持ち帰って精査するのが普通だが、今回はそんな時間もない。だから現地でトライアンドエラーを繰り返して攻略するのが唯一の作戦だった。勇者がいるのでごり押しも可能だろうと、上は判断したようです。

「しかし、デカいしカタいし、どうしたもんだか」

 現場は隕石の落下の影響でクレーターが出来ている。ただし今いる場所でさえその末端部。クレーターの本当の中心部ははるか1㎞先だが、それでもこの辺りが斜面となるほどにえぐられており、その威力の高さを物語っている。自然破壊なんてレベルではなく、連峰だったのが、今や完全に二分されていた。ただし隕石にあるはずの熱は感じない。さすが魔法、自然現象をも超越している。

 そうやって周囲を確認し活動可能だと判断した勇者二人はと言うと、まずミチルさんが左右へと揺さぶりをかけながらGTTに斬りつけている。しかし何かに阻まれているのか。本体に斬撃が届いていないように見える。
 そしてツヨシ君、いや元勇者のスレーブワンはジャンプして大技を披露している。どうやらこれが彼本来の戦い方らしく、ジャンプして急降下の『ドラゴンダイブ』や、空中でホバリングしながら爆撃を行なう『フレイムボムズ』などの技名が先ほどから聞こえてくる。滅茶苦茶格好いい上に威力も申し分ないようだが、いかんせんGTTの本体には届いていない。

 一通り攻撃を終えた二人が一時的に俺の元へと帰ってくる。

「ッチ! ダメだ。ヤツの障壁に阻まれてやがる!」
「こちらもですね。強固、と言うのとは別物の力を感じます。こう、拒まれているような、何なのでしょうか」
「俺の『鑑定』もダメだね。たぶん距離がありすぎるんだろう」

 そうなると、あれに接近するしかない? 触手がウネウネしてもはやカメよりも植物に近くなってしまったアレに? やる気はともかく実力的に厳しい気がする。

「近づくのはヤメとけ。あの障壁に触れたらテメーごときじゃコナゴナだぜ」
「おう、そうなのか。それに耐えている君らはすごいな」
「そうだろう! 俺様ァ、ツエーんだぜ!」

 今までの流れからすれば『芳香剤』も効かないだろう。何かヒントがあればいいのだが、ちょっとミントさんに聞いてみるか。

「ミントさん、何かこう、攻略の切っ掛けとか、何でもいいんで話とかないですか?」
「そうね。言い伝えのお話では、グランドテラートータスは元々違う名前だったそうよ。確か名前はギャン・ブー?」

 何だろうか。ビームレイピアのようなものに武器庫 兼 盾を持ったツボがよさそうな人を思い出した。
 しかし不思議な名前だが、ヒントにはなりそうにないな。

 妖精クインテットも今はだんまりである。

「こうしていても消耗するだけだ。『鑑定』の為にも突撃しよう」
「それで、どうするのですか?」

 ミチルさんが真剣なまなざしで俺を見つめ・・・見つめ・・・近づいてくる!?

「ち、近いって!」
「フフフッ、そうですね。それで、どうするんですか?」
「あ、あの」
「近くてもお話は出来ますよ」

 あ、これはあれか。俺が特攻野郎をしようとしているのを察してマジギレしているんだ。なんという威圧感。でも美少女に詰め寄られるのは、ちょっと役得。
 だから、そう、任せて欲しい。

「私にいい考えがある」

 折角決めたのに、日本人二人はとてもうさん臭そうな顔をしていた。

「それ、失敗フラグだよナァ?」
「無能な司令官はダメです」

 しんらつ~。


***

 それで、どうしたかって?
 強引に攻め込んだに決まってるでしょ!!

「力こそパワーだ!」
「ウオオオオ!! 強引すぎんゾォォ!!」
「スレーブワンそっち行きましたよ!」
「任せろってンダァァ!」

 そう、三人で一気に駆け寄ります。そして割と本気で一般人な肉体を持つ俺を護衛してもらい、俺が巨大カメ、もしくはその障壁を『鑑定』する。
 なお、二人とも『鑑定』は持っているが、共にLv1。俺はいつの間にやら『鑑定』がLv7になっていた。それでも通るかは賭けだが、やってみる他はなかった。

「着いた、よし、『鑑定』!」

 ・・・。

「ダメだ! レベルが足りないみたいだ! 本体にも、障壁にも通じない!!」
「なんだと! どうするつもりなんだヨ!」

 まだ、手はある。ただしこの場を二人で耐えきれるなら、と言う条件付きだ。

「30分、耐えてくれ!」
「ハァ!?」
「30分ですか・・・、それで勝機が見いだせるならやります!!」

 よし、ミチルさんがそう言ってくれたんだ。きっと彼女ならやり遂げてくれる。

「では行くぞ。今こそ封印を開放して、頼みます! 英知の神様らしきお方よ!

 ギャン・ブーに対して

 『解説』  !!」


 ・・・ ・・・。

 ・・・。

 なんだ、これ。

 前に『解説』を使った時とは違う現象が起こった。脳内に情報が溢れてくる。次々と波のように、いや、暴風、違う、瀑布、それでも足りない。

 なんだ、なんだこれ!?
 これは、情報の、ビッグバン!? 脳が、記憶が、俺自身が弾けてしまいそうなほどの無数の情報が頭に押し込まれてくる!

「頭が、頭が割れるッ!」

 そして俺はその衝撃を受けて、意識を失った。

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