最強魔法は生活魔法!? ~異世界ではモンスター退治も生活のうち~

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第七章 リュータと魔王

第八十四話 リュータと魔王と生活魔法

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「リュータ、大丈夫か!」
「その声は、シルちゃん!?」
「私もいるわ」
「ミントさんまで!?」

 魔王が呆然自失としている間に『応急手当』で腕のしびれを回復させている所、森をかき分けハイエルフのシルちゃんが現れた。頭に木の枝が刺さっている・・・。
 そしてそんな彼女の護衛なのか、二メートル近い長身のダークエルフであるミントさんが、大型の弓を構えながら木々の合間をぬって走る器用な真似をしつつ現れた。

「ここに来て新手か、だが物の数ではないな。・・・、いや待て、貴様は・・・、その加護、まさか!」
「リュータ、これは一体なんじゃ? なぜ、森が無くなっておるのじゃ?」
「あれが噂の魔王かしら?」

 シルちゃんとミントさんが俺と対面している魔王を警戒しつつ、それぞれ妖精ズと勇者ズの元へと向かいながら問いかけてきた。
 それに対し、目の前が魔王であると肯定し、なおかつ森を荒野にした犯人が目の前のコイツであると警戒を促す。俺のジェスチャーを受けた二人は静かに頷き、魔王を睨む。
 睨まれた魔王は、目を真ん丸に開いて驚き固まっていた。

 ・・・、さっきから魔王が色々と驚きすぎではないだろうか。
 先ほどの話からすれば、エルフとヒューマンは敵対してなきゃいけないはずだし、それで驚いているのかもしれないけど。

 なんて俺は思っていたが、魔王の驚愕は違うものだった。

「貴様は、生命神の巫女!」

 そう言ってシルちゃんを指差した魔王の腕は、プルプルと震えていた。
 怒り、なのだろう。
 先ほどまでの妙に気のいい魔王から打って変わり、その表情は土気色した顔色と相まって

「まるで鬼瓦・・・、おい、俺とネタ被ってんじゃんよ!?」

 そう思わず突っ込んだが、魔王は俺を無視してシルちゃんを睨んでいる。
 いやはや、これはヤバいね。今まで良くも悪くも俺一筋だった魔王がシルちゃんにターゲットをチェンジしてしまったようだ。
 俺はさり気なく移動し、ゆっくりとシルちゃんと魔王の間に割って入るような立ち位置で魔王に尋ねた。

「なんだ魔王、人の彼女を指差して。まさか昔振られた女に似てたのか? ハッハ、お笑いだねぇ。残念だが、シルちゃんは俺の彼女だ!! お前にはやらん!」
「・・・」

 小粋な俺のジョークも、鬼瓦と化した魔王には通じないようだ。
 緊張を解きほぐしてやろうと思っての事だったが、これはやばい、魔王がガチギレしてるかも。
 俺を完全に無視して、今にも額の青筋から血を噴出させそうな勢いで憤怒中だわ。

「ふ、ふははははは!! 生命神! 貴様はまた我の邪魔をするか!! おのれ、おのれ!! 目障りだ、消え失せろ!!」

 そう叫んだ魔王から発せられた力は、これは・・・、勇者二人の加護を消した例のヤツか!!
 そう思い振り向けば、淡い光がシルちゃんを包み込む。あの光はやっぱりさっきのアレだ。加護を消す力の光だ。
 となると、シルちゃんも加護を失って普通の人になったのか。
 これは逆に、良かったのか? 加護を受けている状態だと魔王がシルちゃんの魔力に呼応してパワーアップするし、そうなると魔力量の高いシルちゃんの影響で魔王無双が始まるところだったし、冷静になって考えてみると結果オーライか?

「消えろ消えろ! 我の邪魔をする全ては壊れてしまえ!! ・・・、何!?」

 先ほどの加護を失う光を受けてシルちゃんに起こった変化、それはもう一人のシルちゃんを生み出す、だった。

「うふ、お久しぶりですわね、お に い さ ま?」

 もう一人のシルちゃんの方は神々しい光を自発的に発していて、着ている服もキトンに似た真っ白い衣装で、妙にキンキラな杖を持っている。まるでアテナ様だ。ギリシャ神話ではなく、セイントな人たちを導く方の。

 本物のシルちゃんは戦時なので野暮ったい厚布の胸鎧をまとっている。それに、ラブリーさでは本物のシルちゃんの方が上だから見間違えようがないが、それにしてもよく似ている。

「シルちゃんの偽物が、現れた?」

 しかも魔王に向かってお兄様?
 先ほどの魔王の放った光は、コレをするために・・・、な訳ないか。魔王もびっくりしてるし。

「わたくしはこの子の偽物ではありませんよ、リュータ」
「なら、分身?」
「違いますわ。私の名はエンテと申します。その姿では初めまして、ですわ」

 どうやら別人だったようだが、「その姿では」という言い回しが何故か引っかかる。
 それに、シルちゃんにそっくりな顔をしてあの魔王をお兄様と呼ぶのも心がモヤモヤするのでやめて欲しい。

「き、きき、貴様!! 貴様貴様! 貴様ぁ!!」
「はい、いかがしましたか? お兄様? いえ、名も無き破壊神とお呼びするのがこの場では相応しいでしょうか」
「ふざ、ふざけるな! 貴様が降臨するなどあり得ぬ! あり得ぬのだ!! 何をどうやったのだ、生命神!!」

 どうやら生命神様=エンテ様らしいが、俺にはさらに気になるものが目に入ってしまった。
 エンテ様の隣で所在なげに佇んでいる、いや、呆然としているのは、いつかどこかで見た雰囲気がチャラい男。
 そいつと目が合った・・・、知り合いを見つけた! って具合に安堵した表情で手を振られた。
 それに俺は顔を引きつらせながら、問いかけた。

「ヲイ、なんでアンタまでここにいるんだ? 笑いの神様」
「いやー、なんでっすかねぇ。不思議っすねぇ」

 ハッハッハー、って、いやそれ、笑えないから。

「事情説明、プリーズ」
「僕も気が付いたらここにいたっす。あ、そうそう、亜神化、おめでとうっす。いやー、その所為でリンクが切れるとは予想外だったっすねー。君の残り香を追うのが大変だったっすよー」
「残り香って、もうちょい言い方あるだろ。・・・、ねぇ、俺って臭う? カメムシ臭くない?」
「その辺は、気にしたら負けっすよー」

 ハッハッハーと再び笑う元賢者。そこは否定してよ!?

 いやしかし、本当にこの人、いやこの神様、元賢者なの? 最初の出会いから今まで、まるで頭がカラッポな会話ばっかりなんですけど。

「ふふ、彼に生前の記憶はありませんよ。もっとも、その崇高な魂には何をなすべきか刻まれていたようですけどね」
「エンテ様、えーと、それはどういう事ですか?」
「はい、エンテ様です。あなたにそう呼ばれると、こそばゆいと言いますか、もっと言って下さい」
「はい?」
「・・・、こほん。彼は魔王を倒した褒美に半神、デミゴッドへと至ったのです。その際に記憶は封印させて頂きました」

 先ほどの妙なエンテ様は忘れるとして、笑いの神様については、そうだったのか、としか思わないので質問したのを若干後悔した。

「それにしても、ようやくこの姿でお会い出来ましたね。うふふ」
「なんで俺の頭を撫でているんでしょうか、エンテ様」
「なぜでしょうね、うふふ」
「のう、リュータ。ほんに今世界では何が起こっておるのじゃ? ワシにはもうさっぱり付いていけんのじゃが」

 空中に浮かんでまで俺の頭を撫でているエンテ様と、神々降臨という大惨事に呆然とするシルちゃん。
 大丈夫、俺も全くついていけてないから。
 いきなり始まった神様祭りに、俺の脳みそのキャパシティーもパンパンですわ。


「ぬおお! 愚弄するのも大概にせよ!」

 魔王・・・、すっかり影が薄くなってまぁ。
 さっきまで肌で感じるほどだった霊圧が、もはや虫の息レベルですよ。あ、まだいたの? なんて言われてもしょうがないレベルだね。

 なんて思っていたら、エンテ様が俺の頭から手を放して、魔王に向き直った。
 真面目な表情で、先ほどの軽い調子などどこへ飛んでいったのかと思わず心の中で突っ込みつつも、その神々しさに思わずその後姿を見つめてしまった。
 人を惹きつける何かがあるのだろう。
 勇者二人も、妖精ズも、シルちゃんもミントさんも、そして俺もその姿を口をつぐんで目で追ってしまっていた。
 先ほどまでの近所のお姉さんのような軽い感じではない。どうやら、伊達に女神様じゃないようだ。

「今までわたくしはこの戦いを見ておりました。そしてこれを伝えるが為に、あなたの先の術を介してこの場に降りてきました」
「先の術・・・、まさか!?」
「ええ、加護を断ち切るスキル。あれは糸を断つナイフのようなものですが、そのナイフを降臨の媒介に用いればこのようにわたくしでも降臨が可能となるのです。次は注意なさい。もっとも、次はないでしょうけどね、うふふ」

 うーん、先ほどから神同士でよく分からんトークが繰り広げられているが、俺たちに説明とか、うん、ないよね。
 笑いの神様なんか額に汗かきながら遠い目をして「はっはっはー」しか言わなくなったし。

 笑いの神様のあの様子は例えるなら、犬猿の仲と大層評判な社長同士のトークの場に連れてこられた哀れな平社員だな。

「心してお聞きなさい、破壊神。先ほどのあなたの話、混血が存在しないと言うのは、ある意味で事実でした」
「・・・、ほう?」
「ええ、その通り。過去形です。あなたの欠片がばらまかれて数億年。その長きにわたる年月は、あなたの本懐を成し遂げました」
「・・・」

 なるほど。ここまで言われたら俺でも分かる。
 どうやら「混血が生まれない」と言う「神々のルール」を、「破壊神の力で破壊」したようだ。

 すごいな破壊神。それとそれが本懐ならば、破壊神の望みがそれだったのか。

 ・・・破壊神はもしかすると、イイヤツなの?

「フ、フハハハハハ!!」
「ええ、そうですね。あなたは最後まで、そうですね」
「ハハハハハハ!!」

 突然笑い出した魔王、いや、破壊神に付いていけない俺。
 今の話で笑うところ、あった?
 ゴッデスジョークみたいなのでも、あったの? 神様界隈でしか分からない冗談だったとか?

 隣の笑いの神様を見ると、あ、うん。アンタも魔王が何で笑ったのか分かってないのね。
 これ、本当に元賢者なのかなぁ。

「己の手で成しえずして、何が望みだ! 何が、本懐だ!! 下らぬ、実に、下らぬわ!!」

 そうか、神々が自分の体引き裂いて勝手に世界にばらまいて、それが結果的に世界にいい影響を与えたってのが不満なのか。
 ・・・、こうやって頭で思い浮かべてみると確かに酷いな。さすがに俺も宿敵に自分の身体をバラバラにされて世界に撒かれて、それで結果オーライとは言えないな。俺の体は肥料かと突っ込みたい。
 そんなバカな事を考えている俺の肩に、ポンと乗った白魚のような指は、女神さまのものだった。

「ではリュータ、最後の仕上げです」
「はい?」
「魔王はこの世界で生きる者の手で討たれるべきなのです」
「はい!?」
「頑張って下さい」
「えええ!?」

 ここに来て、俺に丸投げ!?
 ちょっと女神様?
 いや、シルちゃんやミントさん、勇者二人に妖精さんたちを宙に浮かせてそのまま離れて・・・「避難完了です」ってかわいく両手を打って・・・、うおい!
 なんでここまで魔王を挑発しておいて、最後を俺に託すのさ! 意味分かんないよ!?

「ハハハッ! そうだ、ヒューマン、いや、リュータよ。魔王の最後はこうあるべきなのだ! なので、死ねぇ!」
「おまえっ! やっぱそれかよ! あと、死ねとか言うな!!」

 魔王が不意に繰り出してきた左拳を咄嗟に右腕で受ける。
 すると、魔王の左手がパァンと言う風船が弾けたような音と共に、透明になった。

「はぁ? なんだそれ!?」
「くっ、これは『生活魔法』か!? ・・・これが、生きるものの為の魔法。実に厄介だが、クッ!」
「あ、そうか、さっきから右手に『応急手当』を使っていたっけ」

 右手のしびれを取るために断続的に使用していた『応急手当』で魔王に触れたら、魔王が弾けて透けた。
 そして魔王が呻くも、意味が分からん。

「破壊と対となる、創造の力。どうやら貴様は俺の天敵だったようだな!」
「はぁ!? 創造の力!? いやこれ、『生活魔法』だぞ!?」
「それだけではないが、教える義理もないわ!! ハァッ! ぬ、ぐぅぅぅ・・・」

 魔王が左足でローキックしてきたので、今度は『生活魔法』の『そよ風』を右足にまとわせてみた所、魔王の左足が弾けたような音と共に透ける。
 やっている本人ですが、何が起こっているのか分かりませんが、とりあえず効いているようなのでこのままごり押ししてみようと思います。

「これでお前を倒せるのだけは分かったよ」
「フッ! 世の中そんなに甘くはない! ぐあああ!!」

 いや、めっちゃ甘いですよ、激アマです。
 魔王は軽く『生活魔法』を使ったうえで殴れば弾けて透けるし、後ろから女の子たちの声援も聞こえるし、アマアマですわ。

「と言う訳で、よく分からんが滅びろ、魔王!」

 かつて獣人王国を震撼させたあの魔物、グラトニーイールを倒した魔法、火と風の融合である『温風』を右手に宿し、俺は魔王の胴体に正拳突きをねじ入れた。

「そのドテッ腹に風穴、空けてやる! せいやぁ!」
「そ、それでうまいこと言ったつもりかーー! ぐわー!」

 そんなちょっとしまらない魔王の断末魔の叫びと共に俺の手から『生活魔法』の光が弾け、眩く輝いた。
 その眩しさに思わず目を細めつつ拳を引っ込め様子を伺うと、俺の目の前に全身スッケスケの魔王が現れた。
 風穴は開かなかったけど、魔王の実体は全て消えた。

 これで良かったのだろうか?

「よくやったのじゃ、リュータ!!」
「さすがね、リュータ」
「や、やりやがった・・・、さすがだ兄弟、いや、アニキ!」
「リュータさん・・・あなたって人は、本当にすごいです、すごすぎです」
「よくぞやってくれました、リュータ」

 どうやらこれでよかったらしい。と言うか、みんなにはスケスケ魔王が見えていないのか?
 しかしそんな戦勝ムードに水を差すのは我らが妖精さんたちだ。

「なんたって、アタイのリュータだからな!」
「私のリュータよ」

 あーあー。またケンカし始めたよ。モテる男は、ほんとつらい、超つらい。誰だよハーレム最高とか言ったの。俺みたいな恋愛偏差値の低い男には苦行でしかないよ。

「もう、みんなのリュータでいいじゃない」

 え?

「「「「「それだ!」」」」」
「うむうむ、家族が増えるのぉ。よきかなよきかな」

 いやいや、良くないよ、シルちゃん!? あと、「それだ!」って言ってる中にツヨシ君がいるんだけど、まさかツヨシ君もそこに混じるの!?

「うふふ、この世界の為にも多くの子を産んでくださいね」

 エンテ様も神々しい笑顔でみんなを煽らないで!

「フ、フハハハ! いやはや、参った。これはたまらぬな」

 スケスケ魔王が、しゃべった。
 ・・・、あれ? これって倒せてないんじゃないの?

「よくやりました、リュータ。これで魔王が現世に干渉する力は失われました」
「あ、どうもエンテ様。みんなには見えていないようですが、これでいいんですか?」
「フハハハハ! 我は神ぞ。ヒューマン如きに滅せられるはずがなかろう! これから先はこの姿で世界を破滅へと導いてくれるぞ!」

 えー、なんかすごく面倒な事言ってるんだけど。

「こんなことを言っていますが、破壊神の望みは知っていますよね?」
「世界を滅ぼす、ですか?」
「違いますわ。彼の望みは滅茶苦茶にされた世界を元に戻す、ですわ」
「ああ、そんな事も言っていましたね」

 それが一体何なのだろうか。

「ですから、リュータ、あなたに使命を与えます」

 突然なんですか!?

「わたくしの巫女、シルビィエンテクライテアと共に世界を回り、全てのモノリスを掌握して下さい。それで、世界はまた一つに戻ります」
「はい?」
「大丈夫です。ダンジョンを攻略し、ダンジョンコアに認められればお嫁さんが増えますよ」
「なんでだろう。途中までは理解できていたのに最後が理解出来ない。お嫁さんが増えますって、何でですか!? 俺、そんなの望んでましたっけ!?」
「うふふ。ではよいですね?」

 抗議するも柳のようにユラユラとエンテ様に回避されています。どうにも拒否権はないようだ。
 仕方なく肯定の意を示せば、満足したかのような顔で何度もエンテ様が頷いている。
 はぁ、まいったねぇ。

「リュータよ、世界の為にがんばろうぞ!」

 そんなキラッキラした目でかわいい彼女に言われたら、俺もやる気出すしかないじゃないですか!

「アタイたちも付いていきたいけど・・・」
「あなた方はもうただの人です。魔物に後れを取ることはないでしょうが、ダンジョンボスとの戦いでは命を落としかねません。素直に留守番をした方がよいでしょう」
「神様にそう言われちゃ、しゃーねぇか。アニキ、オビヒロのことは俺らに任せな!」
「ツヨシ君、ありがとう。みんなも、それで頼むよ」
「いいわよ。そのご褒美に、私、子供が欲しいわ」

 えーと・・・。

「フハハハハ! 貴様のようなヤツに出来るのか? 子作りでさえ怖気づく貴様に世界を修復できると?」
「魔王・・・。ハッ! なんかアンタに言われると意地でもやりたくなってくるな!」

 微妙に魔王に乗せられた。いやこれ、あれか。物理的に干渉できなくなった魔王の意趣返しか。

「ちくしょう! こうなったら世界の修復も子作りも両方やってやるよ!」
「ええ、その意気です、リュータ。では最後に、この破壊神にトドメを刺して下さい」
「出来るんですか!?」
「出来るはずがなかろう!!」

 うわっ、魔王と被った。
 向こうもめちゃくちゃイヤそうな顔してるし。

「出来ますよ。ごにょごにょごにょ」

 耳元でエンテ様がささやいた内容に、え? となったが、エンテ様は終始笑顔で胸の内がまったく読めない。

「さぁ、破壊神、覚悟をなさい」
「フン、我が滅びる等あり得ぬな。それに、世界を壊すのは我の役目だ」

 はぁ。この状況でまだそんな事を言ってるのか。
 破壊神を滅するとか、気が滅入るなーなんて思っていた感情がどこぞへと吹き飛んだわ。

「うっせー、この野郎。あとは俺たちに任せて、お前はもう、逝け」

 合掌した手の平の間を少し開け、そこに力をため込むように念じる。『生活魔法』の力をそこに集約させ、エンテ様に言われた通り、生命と死、創造と破壊の相反する力をそこに束ねるようイメージする。
 そして少しばかりソレをコネコネして生まれた光は、俺が見た事のある光。

 サーベルタイガー魔人に贈られた、あの魔法。

「じゃぁな、魔王。生まれ変わってやり直してこい」
「その光、まさか! それは我専用のスキルぞ! なぜ貴様が扱えるのだ! いや、そもそもその他の魔法にしても」
「往生際が悪すぎだろ、魔王! いいから行ってこい!! 『フォーチュン』!!」
「ぬ、ぬおおお!!」

 俺の魔法の解放と共に溢れた光に飲み込まれ、透けていた破壊神の体は粉々に砕け散り、光の粒子となった。

「終わった・・・のかな?」
「そうですが、同時に始まりでもありますわ、うふふ」

 そう言うの、疲れるんでいいです、エンテ様。
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