転生帰録──鵺が啼く空は虚ろ

城山リツ

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第二章 離された手、繋がれた手

第4話 今回の転生は

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 続けてはるかはやや遠慮がちに語った。

「ライくんは初めてのことで違和感があると思うけど、あえて現在の僕達のことを『今回の転生』って呼ぶけど……」
 
「ああ、それでいい」
 
「今回の転生では、リンの合流が遅れていたんだ」

「確かに、昨日会ったアイツはそういう雰囲気じゃなかったな」
 
 出会った事だけを考えれば今回も矛盾はないように思えたが、蕾生らいおは昨日拒絶されたことを思い出した。
 
「僕もうまく説明できないんだけど、いつもだったら『そろそろリンが来そうだな』って思うんだ」
 
 永にしては珍しく感覚的な物言いだった。
 
「だけど、今回の転生では『リン遅いな』って思ってしまった。そんなこと考えたことがなかったのに。これは十分異常事態なんだよ」
 
 だから自ら銀騎しらき研究所に乗り込んで調べようとしたのか、と蕾生は思った。
 
「結果として僕達はリンに会えたけれど、合流には至っていない。それどころか、このままじゃリンは合流しないかもしれない。それに昨日会ったリンはとても僕達と同い年には見えなかった」
 
 昨日見たリンの姿は高校生には見えなかった。せいぜい中学生か、小学校高学年といったところだ。
 その姿を思い出すとともに、蕾生はあの時ひどく永が狼狽したことも鮮明に思い出した。
 
「だから、永はあんなに取り乱してたんだな」
 
「ええっと、話を少し戻すけど、リンが遅いって思った時に、少し思い出したことがあって」
 
 へへ、と照れくさそうに笑った後、真面目な顔になって永が続ける。
 
銀騎しらき詮充郎せんじゅうろう。あいつが前回の転生でリンに異常な興味を示していたんだ」

 登場した人物の名に、蕾生はやはり何かあったのだと思った。説明会で「できれば二度と会いたくなかった」と言っていた永の呟きを思い出した。
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