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第二章 離された手、繋がれた手
第6話 孫で妹
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放課後になって、蕾生と永は昇降口で身を潜めながらある一団の様子を伺っていた。
「どれだよ?」
蕾生が柄にもない小声で尋ねると、正門へと向かう通路の脇にある花壇を指差して、やはり小声で永が答えた。
「あの、ボブカットの子!」
その視線の先にはジャージ姿の女生徒が数人。花壇の花を植え替えている。
さらにその指が示しているのは、肩にかかるくらいのふわふわの髪に笑顔をたたえる女子がいた。周りの女子達と親しそうに話しながら花の世話をしている。
「あれが──?」
「銀騎星弥。銀騎研究所の関係者。詮充郎の孫で、皓矢の妹」
件の人物を認識した蕾生は、それまでに抱いていた銀騎研究所のイメージを覆すような雰囲気の彼女に感嘆の声を漏らした。
「へえ……」
「可ン愛いよね?」
「べ、別に普通じゃね?」
永に言われて思わず頷きそうになった所を堪えたので、蕾生はどもってしまった。
「ああ、ライくんの好みなんだね」
「べ、別に普通じゃね?」
それ以外の言葉が浮かんでこない蕾生をニヤニヤと見ながら永は説明する。
「あの子さあ、園芸部じゃないんだよ。なのにお手伝いで花植えたりしてんの。普通する? そんなこと」
「さあ……花が好きなんだろ」
永の言い方にトゲのようなものを感じて、蕾生は首を傾げる。
「僕の調べでは、入学してから今まで、彼女を悪く言う人がいない。それどころかクラスの中ではぶっちぎりの好感度を獲得してるらしい」
「一ヶ月かそこらでか?」
「確かに可愛いけど、彼女より可愛い子は他に何人もいる」
「はあ……」
どんどんトゲを増してくる永の言葉。女子には平等に優しい永が珍しいなと蕾生は思った。
「容姿はそこそこなのに、性格がずば抜けていいんだって。実家が超絶金持ちなのに全然嫌味がないって」
「お前、すごいな……」
別のクラスの女子にそこまで、と蕾生は半ば呆れてしまった。
「乙女ゲームの主人公みたいって言えばわかる?」
「いや、ますますわかんね」
永のたとえはわからないが、とにかく稀有な女子であることは伝わった。
確かに永はそういう人物は好かないかもしれない。結局、自分より完璧な人物の存在が気に食わないのだろう。
欠点がない人間は逆に不気味だということだ。ただ、彼女の場合は銀騎憎しで永が冷静ではない可能性もあるが。
「どれだよ?」
蕾生が柄にもない小声で尋ねると、正門へと向かう通路の脇にある花壇を指差して、やはり小声で永が答えた。
「あの、ボブカットの子!」
その視線の先にはジャージ姿の女生徒が数人。花壇の花を植え替えている。
さらにその指が示しているのは、肩にかかるくらいのふわふわの髪に笑顔をたたえる女子がいた。周りの女子達と親しそうに話しながら花の世話をしている。
「あれが──?」
「銀騎星弥。銀騎研究所の関係者。詮充郎の孫で、皓矢の妹」
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「へえ……」
「可ン愛いよね?」
「べ、別に普通じゃね?」
永に言われて思わず頷きそうになった所を堪えたので、蕾生はどもってしまった。
「ああ、ライくんの好みなんだね」
「べ、別に普通じゃね?」
それ以外の言葉が浮かんでこない蕾生をニヤニヤと見ながら永は説明する。
「あの子さあ、園芸部じゃないんだよ。なのにお手伝いで花植えたりしてんの。普通する? そんなこと」
「さあ……花が好きなんだろ」
永の言い方にトゲのようなものを感じて、蕾生は首を傾げる。
「僕の調べでは、入学してから今まで、彼女を悪く言う人がいない。それどころかクラスの中ではぶっちぎりの好感度を獲得してるらしい」
「一ヶ月かそこらでか?」
「確かに可愛いけど、彼女より可愛い子は他に何人もいる」
「はあ……」
どんどんトゲを増してくる永の言葉。女子には平等に優しい永が珍しいなと蕾生は思った。
「容姿はそこそこなのに、性格がずば抜けていいんだって。実家が超絶金持ちなのに全然嫌味がないって」
「お前、すごいな……」
別のクラスの女子にそこまで、と蕾生は半ば呆れてしまった。
「乙女ゲームの主人公みたいって言えばわかる?」
「いや、ますますわかんね」
永のたとえはわからないが、とにかく稀有な女子であることは伝わった。
確かに永はそういう人物は好かないかもしれない。結局、自分より完璧な人物の存在が気に食わないのだろう。
欠点がない人間は逆に不気味だということだ。ただ、彼女の場合は銀騎憎しで永が冷静ではない可能性もあるが。
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