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第四章 新たな仲間とともに
第7話 どうせ罠
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「──という訳で、美少女転入生の御堂鈴心ちゃんです!!」
説明し終わった星弥はやぶれかぶれの勢いで、もう一度明るく鈴心を紹介した。
その様に鈴心も蕾生も溜息しか出ない。
「……おっかしい」
永が首を傾げて言うと、星弥はにこやかに凄んで言う。
「すずちゃんが美少女ではない、と?」
「いやそれに異論はないけど」
──ないんだ、と蕾生は心の中でつっこんだ。永と星弥は蕾生の手の届かない次元で言葉を交わしている。こういう時は放置が正解だろうと最近は思うことにしている。
「どうせ罠なんだろ? 絶対おかしいよ」
「デスヨネー」
永の疑いは当然で、星弥もそれを棒読みで肯定した。その空気感に耐えられなくなったのだろう、やっと鈴心が口を開く。
「まあ、タイミングがあれなんで、私もそう思います」
「鈴心はなんか聞いてんのか?」
蕾生が尋ねると鈴心は小さく首を振った。
「いえ。ほんの数日前にお兄様から『学校に行く気はあるか』と聞かれたので、ある、と答えたらトントン拍子に」
「あのジジイ、何考えてんだ……」
永は歯噛みしながら宙を睨んでいた。
「家の外に出られさえすれば、中学に行くふりをしてハル様の所に馳せ参じることができると思ったので承知したら、まさか──」
「全部お膳立てされたって訳ね」
「はい」
そこまで聞いて蕾生からも感想が漏れる。
「バカの俺でもなんかあると思うな」
「そうですね……」
鈴心の相槌になにか含みを感じた蕾生は、思わず掘り下げてしまった。
「おい、今バカを肯定したか?」
「ああ、はい」
悪びれずに頷く鈴心に頭にきて、挑発に乗ってしまう。
「クソガキ、そこに座れ。説教だ」
「冗談でしょう。貴方に説かれる教えなんてある訳がない」
スンとした態度の鈴心に、どうしてくれようかと蕾生が歯を食いしばった所で星弥からタオルが投げられる。
「ストップ、ストーップ! 興奮しないの! すずちゃんたら、いつになくご機嫌だね?」
「すみません、つい」
今のがご機嫌? わかりにくい! ──と蕾生がやり場のない苛立ちを持て余していると、やっと冷静な声音の永が戻ってきた。
「つまりは、向こうも動き出したってことか」
すると鈴心も蕾生を華麗に無視して永に向き直る。
「はい、真意は掴めていませんが。早急に探ります」
「うん、でもあまり目立つなよ? しばらくは大人しく銀騎さんと一緒に学校に通うだけにしな」
「御意」
このガキには後で必ず思い知らせてやると蕾生は密かに誓う。
「駆け引きはもう始まってる。ライ、気を抜くな」
蕾生に向ける永の目はいつにも増して主君然としていて、それだけで蕾生の気を引き締めるには充分だった。
「ああ、わかってる」
おそらく罠なのだろうが、リンがこちらに帰ってきたことを今は喜んでいよう、と言う永に従い蕾生はまた誓いを改める。
鈴心と星弥も含めて四人で協力していく。そして自分は皆の盾になる、と。
説明し終わった星弥はやぶれかぶれの勢いで、もう一度明るく鈴心を紹介した。
その様に鈴心も蕾生も溜息しか出ない。
「……おっかしい」
永が首を傾げて言うと、星弥はにこやかに凄んで言う。
「すずちゃんが美少女ではない、と?」
「いやそれに異論はないけど」
──ないんだ、と蕾生は心の中でつっこんだ。永と星弥は蕾生の手の届かない次元で言葉を交わしている。こういう時は放置が正解だろうと最近は思うことにしている。
「どうせ罠なんだろ? 絶対おかしいよ」
「デスヨネー」
永の疑いは当然で、星弥もそれを棒読みで肯定した。その空気感に耐えられなくなったのだろう、やっと鈴心が口を開く。
「まあ、タイミングがあれなんで、私もそう思います」
「鈴心はなんか聞いてんのか?」
蕾生が尋ねると鈴心は小さく首を振った。
「いえ。ほんの数日前にお兄様から『学校に行く気はあるか』と聞かれたので、ある、と答えたらトントン拍子に」
「あのジジイ、何考えてんだ……」
永は歯噛みしながら宙を睨んでいた。
「家の外に出られさえすれば、中学に行くふりをしてハル様の所に馳せ参じることができると思ったので承知したら、まさか──」
「全部お膳立てされたって訳ね」
「はい」
そこまで聞いて蕾生からも感想が漏れる。
「バカの俺でもなんかあると思うな」
「そうですね……」
鈴心の相槌になにか含みを感じた蕾生は、思わず掘り下げてしまった。
「おい、今バカを肯定したか?」
「ああ、はい」
悪びれずに頷く鈴心に頭にきて、挑発に乗ってしまう。
「クソガキ、そこに座れ。説教だ」
「冗談でしょう。貴方に説かれる教えなんてある訳がない」
スンとした態度の鈴心に、どうしてくれようかと蕾生が歯を食いしばった所で星弥からタオルが投げられる。
「ストップ、ストーップ! 興奮しないの! すずちゃんたら、いつになくご機嫌だね?」
「すみません、つい」
今のがご機嫌? わかりにくい! ──と蕾生がやり場のない苛立ちを持て余していると、やっと冷静な声音の永が戻ってきた。
「つまりは、向こうも動き出したってことか」
すると鈴心も蕾生を華麗に無視して永に向き直る。
「はい、真意は掴めていませんが。早急に探ります」
「うん、でもあまり目立つなよ? しばらくは大人しく銀騎さんと一緒に学校に通うだけにしな」
「御意」
このガキには後で必ず思い知らせてやると蕾生は密かに誓う。
「駆け引きはもう始まってる。ライ、気を抜くな」
蕾生に向ける永の目はいつにも増して主君然としていて、それだけで蕾生の気を引き締めるには充分だった。
「ああ、わかってる」
おそらく罠なのだろうが、リンがこちらに帰ってきたことを今は喜んでいよう、と言う永に従い蕾生はまた誓いを改める。
鈴心と星弥も含めて四人で協力していく。そして自分は皆の盾になる、と。
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