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帰り道、ガブに言われたとおりルーカスの店に立ち寄る。
「いらっしゃい! あっ、君は……」
かつてプラグをプレゼントした時には動かなかったアンドロイドが、いきいきと街を歩き、自然に店に入ってきたことに、ルーカスは驚いているようだ。
「初めまして、シャンテと申します」
「ルーカスです。よろしく。……ふうん、友の忠告を無視したわけだね。それはさておき、とても綺麗だね」
「これをガブさんから渡すようにと」
ガブが書き殴ったメモを言われたとおりルーカスに渡した。
「……へえ、ガブじいまでお気に入りかよ。さあシャンテ、好きな服選んでいきな」
「え、でも……」
シャンテが困惑するようにちら、とロイを見る。察したルーカスが
「お代はガブじい持ちだからさ、うんと高いのたくさん持って行きなよ!」
懐こく言うと破顔した。シャンテもホッとしたように笑みを浮かべる。
「ありがとうございます。それでは……これを」
シャンテが選んだのは、くすんだアンバーの、地味で質素な服を一着。
「どうして? もっと他にもいろいろあるだろうに。これなんかほら、今街で流行りのタイプだよ。君に良く似合う」
ルーカスは鮮やかな色彩で華美な装飾のドレスをシャンテにあてがおうとするが、シャンテは首を振った。
「これがいいんです。これ、ロイとお揃いっぽいでしょう」
ルーカスは微笑むシャンテの言葉に目を丸くしたが、すぐに相好を崩した。
「なんでガブじいが入れあげてるのかわかったよ」
ルーカスはシャンテが選んだ服と、プレゼントだと言ってルーカスがあてがおうとした華やかなドレスも一緒に包み、シャンテに手渡した。
「君は男型なのにドレスなんか贈ってごめんな。だけど、いつか、ステージに立つときが来たら、これを着て歌って欲しいって願いを込めて」
「……ありがとうございます」
シャンテはルーカスの好意に深々と頭を下げ、再び上げた顔には喜びの感情がありありとにじみ出ていた。ロイはルーカスがシャンテにそんな顔をさせたのが憎らしかったし、初ステージの衣装は俺が買ってやるんだからな、と心の中で息巻いた。
帰り道、シャンテはほとんど口を利かなかったが、足取りは軽く見えた。肩の力が抜けたような、どこか安心した横顔。ロイはその横顔を、ずっと見守っていた。
「いらっしゃい! あっ、君は……」
かつてプラグをプレゼントした時には動かなかったアンドロイドが、いきいきと街を歩き、自然に店に入ってきたことに、ルーカスは驚いているようだ。
「初めまして、シャンテと申します」
「ルーカスです。よろしく。……ふうん、友の忠告を無視したわけだね。それはさておき、とても綺麗だね」
「これをガブさんから渡すようにと」
ガブが書き殴ったメモを言われたとおりルーカスに渡した。
「……へえ、ガブじいまでお気に入りかよ。さあシャンテ、好きな服選んでいきな」
「え、でも……」
シャンテが困惑するようにちら、とロイを見る。察したルーカスが
「お代はガブじい持ちだからさ、うんと高いのたくさん持って行きなよ!」
懐こく言うと破顔した。シャンテもホッとしたように笑みを浮かべる。
「ありがとうございます。それでは……これを」
シャンテが選んだのは、くすんだアンバーの、地味で質素な服を一着。
「どうして? もっと他にもいろいろあるだろうに。これなんかほら、今街で流行りのタイプだよ。君に良く似合う」
ルーカスは鮮やかな色彩で華美な装飾のドレスをシャンテにあてがおうとするが、シャンテは首を振った。
「これがいいんです。これ、ロイとお揃いっぽいでしょう」
ルーカスは微笑むシャンテの言葉に目を丸くしたが、すぐに相好を崩した。
「なんでガブじいが入れあげてるのかわかったよ」
ルーカスはシャンテが選んだ服と、プレゼントだと言ってルーカスがあてがおうとした華やかなドレスも一緒に包み、シャンテに手渡した。
「君は男型なのにドレスなんか贈ってごめんな。だけど、いつか、ステージに立つときが来たら、これを着て歌って欲しいって願いを込めて」
「……ありがとうございます」
シャンテはルーカスの好意に深々と頭を下げ、再び上げた顔には喜びの感情がありありとにじみ出ていた。ロイはルーカスがシャンテにそんな顔をさせたのが憎らしかったし、初ステージの衣装は俺が買ってやるんだからな、と心の中で息巻いた。
帰り道、シャンテはほとんど口を利かなかったが、足取りは軽く見えた。肩の力が抜けたような、どこか安心した横顔。ロイはその横顔を、ずっと見守っていた。
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