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おばあさんに騙されました。
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私はおばあさんに連れられて王宮へやって来てわかった。
このおばあさんは、私を騙して王宮に売りに来たのだと。
この世界の人間て、みんなこんな人たちばかりなのかしら。
人間不信になりそうだ。
おばあさんは太った文官に、たくさんのお金を貰って、嬉しそうに私に言った。
「悪く思わないでおくれ。こうすることが、私にとっても、嬢ちゃんにとっても良いことなんだから。ちょっと我慢すれば、きれいな服を着て、美味しいご飯が食べられるんだからね」
そう言って、おばあさんは鼻歌を歌いながら上機嫌で帰って行った。
そばにいる文官は、私の腕を掴むと「来い」と荒々しく引っ張った。
そして広い何もない部屋に入れられた。
部屋には数人の騎士たちがいて、扉からも逃げられないように見張っている。
さっきのエロジジイもそうだったけど、ここにいる騎士たちもみんな赤い顔で私を見てる。なんか気持ち悪くて嫌だ。それに太った人か、もやしのような人しかいない。
普通って感じの人を、まだ見たことがなくて不思議に感じた。
しばらくすると、でっぷりと太った王様らしき人と、ふくよかな王妃様らしき人が一段高い場所へ入って来て座った。
その隣には先ほど荒々しく私を連れて来た文官が立っている。
王様に侍っているところを見ると、宰相かなにか偉い人なのだろう。
「どうです、陛下。かなりの上物でしょう。これならきっと第1王子もお気に召しますよ」
そう言って、意地の悪そうな顔でニヤリと笑った。
「うむ。前の奴隷はひと月もせぬうちに気が狂ってしまったからな。どうせダメになるのだから、無理にでも手を付けて楽しんでおけば良かったものを」
(な、なんだろう......奴隷とか、手を付けるとか......私、かなり危機的状況なのでは......?)
私は不安になりつつも、どうすることもできなくて立ち尽くしていた。
「女、記憶喪失というのは誠か?」
王様は私に向かって聞いてきた。
人でなしばかりのこの世界で、抵抗したら何をされるか分からない。
私は本能的に、逆らわず穏便に過ごすが吉と判断して返事をした。
「はい」
「行く当てもなく困っていると言うのも誠だな?」
「はい」
「ならば、この王宮で使ってやるから、誠心誠意務めるように。どんな事も主人に従うようにな」
「はい」
「なかなか従順で良い女ですな、陛下。これなら第一王子の褥にも、素直に入るやも知れませぬ。ククッ」
「たとえ素直にならずとも、お前に与えた所有物なのだから、遠慮なく使えと伝言しておくさ」
私はゲスな王様の言葉にドン引きした。
エロジジイといい、
乱暴な感じの宰相といい、
赤い顔の気持ち悪い騎士たちといい、
国王まで。
この世界の男はまともな者がいないのか!
それにさっきの話からして、私は第1王子の所有物になるようだけど、その第1王子って、何か訳ありみたい。
前の奴隷がひと月もしないうちに狂ったとか言っていたけど、一体どんな人なんだろう......。
私はとんでもなく嫌な世界へ来てしまったと恐怖した。
このおばあさんは、私を騙して王宮に売りに来たのだと。
この世界の人間て、みんなこんな人たちばかりなのかしら。
人間不信になりそうだ。
おばあさんは太った文官に、たくさんのお金を貰って、嬉しそうに私に言った。
「悪く思わないでおくれ。こうすることが、私にとっても、嬢ちゃんにとっても良いことなんだから。ちょっと我慢すれば、きれいな服を着て、美味しいご飯が食べられるんだからね」
そう言って、おばあさんは鼻歌を歌いながら上機嫌で帰って行った。
そばにいる文官は、私の腕を掴むと「来い」と荒々しく引っ張った。
そして広い何もない部屋に入れられた。
部屋には数人の騎士たちがいて、扉からも逃げられないように見張っている。
さっきのエロジジイもそうだったけど、ここにいる騎士たちもみんな赤い顔で私を見てる。なんか気持ち悪くて嫌だ。それに太った人か、もやしのような人しかいない。
普通って感じの人を、まだ見たことがなくて不思議に感じた。
しばらくすると、でっぷりと太った王様らしき人と、ふくよかな王妃様らしき人が一段高い場所へ入って来て座った。
その隣には先ほど荒々しく私を連れて来た文官が立っている。
王様に侍っているところを見ると、宰相かなにか偉い人なのだろう。
「どうです、陛下。かなりの上物でしょう。これならきっと第1王子もお気に召しますよ」
そう言って、意地の悪そうな顔でニヤリと笑った。
「うむ。前の奴隷はひと月もせぬうちに気が狂ってしまったからな。どうせダメになるのだから、無理にでも手を付けて楽しんでおけば良かったものを」
(な、なんだろう......奴隷とか、手を付けるとか......私、かなり危機的状況なのでは......?)
私は不安になりつつも、どうすることもできなくて立ち尽くしていた。
「女、記憶喪失というのは誠か?」
王様は私に向かって聞いてきた。
人でなしばかりのこの世界で、抵抗したら何をされるか分からない。
私は本能的に、逆らわず穏便に過ごすが吉と判断して返事をした。
「はい」
「行く当てもなく困っていると言うのも誠だな?」
「はい」
「ならば、この王宮で使ってやるから、誠心誠意務めるように。どんな事も主人に従うようにな」
「はい」
「なかなか従順で良い女ですな、陛下。これなら第一王子の褥にも、素直に入るやも知れませぬ。ククッ」
「たとえ素直にならずとも、お前に与えた所有物なのだから、遠慮なく使えと伝言しておくさ」
私はゲスな王様の言葉にドン引きした。
エロジジイといい、
乱暴な感じの宰相といい、
赤い顔の気持ち悪い騎士たちといい、
国王まで。
この世界の男はまともな者がいないのか!
それにさっきの話からして、私は第1王子の所有物になるようだけど、その第1王子って、何か訳ありみたい。
前の奴隷がひと月もしないうちに狂ったとか言っていたけど、一体どんな人なんだろう......。
私はとんでもなく嫌な世界へ来てしまったと恐怖した。
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