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初デートです⑴
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私が御守りを渡したら、セディのことだから、どんなものでも喜んでくれるとは思っていた。
だけど泣くほど喜んでくれたのは、嬉しかったけれど私まで胸が苦しくなってしまった。
こんなことで、これほど喜んでくれるなら、何かあるたびに贈り物をしてあげよう。
国からいただいているお金だから、無駄使いはできない。
けれど、手作りなら少ないお金でも一点ものの贈り物ができるのだから。
そしていつか、言葉がもっと上手くなったら、自分でお金を稼いで何かしてあげたいな。
そんなことを考えていると、セディが私をデートに誘ってくれた。
私がする以上のことを、いつもセディがしてくれる。
前の世界でも彼なんていなかったのだから、私にとっての初デートだ。
こんな素敵な人と、デートできるなんて夢見たい。
ママさんに相談して、目一杯おしゃれしよう。
以前の私なら、おしゃれも虚しかったけれど、この世界で私はそれなりに魅力的な女の子らしいから。
おしゃれしたら、セディが喜んでくれるかな。
騎士団以外に出るのはこれで3回目だけど、1回目は王宮に行くのに緊張していたし、2回目はお買い物だけですぐに帰ってきたから、これが実際には初めてのお出かけみたいなものだ。
私はセディが帰った後、ワクワクしながらサンドイッチを食べた。
デートでセディと素敵なドキドキがあるといいなあ。
◇◇◇
私は翌日、いつものように朝食の手伝いをしにキッチンへ入った。
「おはよございます、ママさん。レイさん」
私はママさんとレイさんに朝の挨拶をする。
「おはようゆいちゃん。今日も来てくれたんだね。助かるよ」
レイさんはこのお屋敷で長く仕えるシェフで、今まではレイさんとママさんがふたりで朝食の準備をしていたらしい。昼食と夕食は、通いのメイドさんが手伝いに来るらしい。
ママさん言わく、主人と息子に恐怖や嫌悪感を感じる人は雇いたくないとのことで、古くからいて耐性のある人や、あまり見目が良くないために真面目なのに働き口が見つからない同類な人たちしか住み込みでは雇わないらしい。
足りない部分は、必要最低限の通いの使用人でこのお屋敷を管理しているので、私は色々お手伝いができて嬉しく思う。
「きょうはわたし、なにするですか?」
「じゃあ、とりあえず、シンクの中の洗い物を頼むよ。それからそこの豆のスジを取ってくれるかな?」
「よろこんで!」
私は元気よく返事をして、にこにこしながら使用済みの調理器具を洗っていく。
昨日のセディとのやりとりを思い返しながら、かなり楽しいであろうデートに思いを馳せていた。
するどいママさんは、そんな私に声をかけてきた。
「今朝のゆいちゃんは随分ご機嫌ね?何か良い事があったの?」
私はよくぞ聞いてくれましたとばかりに、満面の笑みをママさんに向けた。
「はい!きのう、セディに、御守りわたせたです。セディ、とてもよろこんでくれたです」
「そう。ありがとう。セドリックはゆいちゃんから貰った物なら、なんでも喜ぶのは分かっていたけど。ゆいちゃんのそのご機嫌さんは、それだけのことではなさそうね?」
ママさんがニヤリと私を見た。
私は少し頬が赤くなるのを自覚しながら言った。
「はい......。そのあとセディが、デート、さそってくれたです......」
ヒューッ!レイさんが口笛を吹いた。
「坊ちゃん頑張りましたね!」
「ふふっ、そうね」
レイさんとママさんは、手を動かしながらも見つめあって微笑んだ。
「ママさん、オネガイあるです......わたし、デートのとき、おしゃれしたいです.....でも、このセカイのおしゃれわからないデス......」
私がそう言うと、にっこり笑顔のママさんが、楽しそうに答えてくれた。
「分かったわ。セドリックがゆいちゃんに、更に惚れるくらい魅力的なおしゃれをしてあげるわ」
私は本当に、そうなってくれたら良いなと思いながらぺこりと頭を下げた。
「どうぞよろしくです、ママさん」
だけど泣くほど喜んでくれたのは、嬉しかったけれど私まで胸が苦しくなってしまった。
こんなことで、これほど喜んでくれるなら、何かあるたびに贈り物をしてあげよう。
国からいただいているお金だから、無駄使いはできない。
けれど、手作りなら少ないお金でも一点ものの贈り物ができるのだから。
そしていつか、言葉がもっと上手くなったら、自分でお金を稼いで何かしてあげたいな。
そんなことを考えていると、セディが私をデートに誘ってくれた。
私がする以上のことを、いつもセディがしてくれる。
前の世界でも彼なんていなかったのだから、私にとっての初デートだ。
こんな素敵な人と、デートできるなんて夢見たい。
ママさんに相談して、目一杯おしゃれしよう。
以前の私なら、おしゃれも虚しかったけれど、この世界で私はそれなりに魅力的な女の子らしいから。
おしゃれしたら、セディが喜んでくれるかな。
騎士団以外に出るのはこれで3回目だけど、1回目は王宮に行くのに緊張していたし、2回目はお買い物だけですぐに帰ってきたから、これが実際には初めてのお出かけみたいなものだ。
私はセディが帰った後、ワクワクしながらサンドイッチを食べた。
デートでセディと素敵なドキドキがあるといいなあ。
◇◇◇
私は翌日、いつものように朝食の手伝いをしにキッチンへ入った。
「おはよございます、ママさん。レイさん」
私はママさんとレイさんに朝の挨拶をする。
「おはようゆいちゃん。今日も来てくれたんだね。助かるよ」
レイさんはこのお屋敷で長く仕えるシェフで、今まではレイさんとママさんがふたりで朝食の準備をしていたらしい。昼食と夕食は、通いのメイドさんが手伝いに来るらしい。
ママさん言わく、主人と息子に恐怖や嫌悪感を感じる人は雇いたくないとのことで、古くからいて耐性のある人や、あまり見目が良くないために真面目なのに働き口が見つからない同類な人たちしか住み込みでは雇わないらしい。
足りない部分は、必要最低限の通いの使用人でこのお屋敷を管理しているので、私は色々お手伝いができて嬉しく思う。
「きょうはわたし、なにするですか?」
「じゃあ、とりあえず、シンクの中の洗い物を頼むよ。それからそこの豆のスジを取ってくれるかな?」
「よろこんで!」
私は元気よく返事をして、にこにこしながら使用済みの調理器具を洗っていく。
昨日のセディとのやりとりを思い返しながら、かなり楽しいであろうデートに思いを馳せていた。
するどいママさんは、そんな私に声をかけてきた。
「今朝のゆいちゃんは随分ご機嫌ね?何か良い事があったの?」
私はよくぞ聞いてくれましたとばかりに、満面の笑みをママさんに向けた。
「はい!きのう、セディに、御守りわたせたです。セディ、とてもよろこんでくれたです」
「そう。ありがとう。セドリックはゆいちゃんから貰った物なら、なんでも喜ぶのは分かっていたけど。ゆいちゃんのそのご機嫌さんは、それだけのことではなさそうね?」
ママさんがニヤリと私を見た。
私は少し頬が赤くなるのを自覚しながら言った。
「はい......。そのあとセディが、デート、さそってくれたです......」
ヒューッ!レイさんが口笛を吹いた。
「坊ちゃん頑張りましたね!」
「ふふっ、そうね」
レイさんとママさんは、手を動かしながらも見つめあって微笑んだ。
「ママさん、オネガイあるです......わたし、デートのとき、おしゃれしたいです.....でも、このセカイのおしゃれわからないデス......」
私がそう言うと、にっこり笑顔のママさんが、楽しそうに答えてくれた。
「分かったわ。セドリックがゆいちゃんに、更に惚れるくらい魅力的なおしゃれをしてあげるわ」
私は本当に、そうなってくれたら良いなと思いながらぺこりと頭を下げた。
「どうぞよろしくです、ママさん」
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