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初デートです⑵
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「......ママさん。こんな、アシ、でてだいじょぶですか?」
私は戸惑っていた。
デブスを自認していた私は、足が出るワンピースなんて着た事がない。
今、屋敷に来ている商人が私に勧めているのは、ラベンダー色の綺麗なワンピース。
袖は肘あたりまであるバタフライスリーブで、肩から先はシフォンレースで透けている。
スカートはAラインで膝がようやく隠れる長さだ。
スカートに重ねられたシフォンレースに小さなパールのような飾りが散りばめられている。
派手ではない華やかさが上品でいて可憐。
確かに美しいワンピースだけど、これが似合うのは、細めの華奢な女の子でしょう。
そう思っていたのだけれど、ママさん曰く、
「私が若い頃には、考えられない衣装だけれど、最近の若い子には、このくらいの長さが流行しているのですって。特にゆいちゃんみたいに肉感的で足が綺麗な女の子が着ると、男性からすごく喜ばれるみたいよ?」
「ほんとうですか?セディ、こういうのスキかな......?」
「ゆいちゃんなら何を着ても喜ぶとは思うけど、きっとこういうのは飛び上がって喜ぶんじゃないかしら?」
ママさんがそういうのなら......。
勇気を出して着てみようかな......。
私は商人とママさんに乗せられて、その衣装とそれに合わせた靴やバッグ一式をお買い上げしてしまった。
(これはローランド様が買ってくれたのだけど)
◇◇◇
そしていよいよデート当日。
私はママさんに髪を綺麗に結い上げてもらい、ちょっと大人っぽい髪型にしてもらった。
パールグレーのパンプスとバッグがラベンダー色に静かに馴染んでいる。
「素敵よ。ゆいちゃん。いつもよりセクシーな感じだけど、上品な美しさだわ。これなら通り過ぎる人たちがみんな振り返ってみること間違いなしね!」
ママさんが満足そうに微笑んだ。
「ありがとございます、ママさんのおかげデス」
私はママさんにエスコートしてもらいながら階段を降りる。
玄関ホールにはすでにセディが待っていてくれた。
「セディ。待たせてゴメンです。きょうは、さそってくれて、ありがとです」
私はぺこりと頭を下げた。
「............. 」
セディはじっと私を見て固まっている。
「あ、あの、やっぱり、にあわない、ですか......?」
私は急に自信がなくなって俯いてしまった。
「いやっ、そうじゃない!綺麗すぎて、見惚れていただけだ。......綺麗すぎて、他の人間に見られるのが惜しい気がするんだが」
「その気持ちも分かるけど、あなたの素敵な彼女をみんなに見せびらかすっていうのも楽しいと思うわよ?」
ママさんはニヤリと笑ってセディに言った。
私は短いスカートが変だと思われたんじゃなくてホッとした。
この世界でいくら綺麗だと言ってもらっても、今までの長い時間、デブだと思っていた足を他人に晒しているのだから。
それよりもセディだ。
上質だけれど、シンプルなシャツとズボンというラフな格好なのに、とっても格好よくて素敵なのだから。
やっぱり私と違って、本物の美形はお洒落を必要としないのだ。
「セディ、セイフクもすてき。だけど、きょうのすがたもかっこいいデス」
私も勇気を出して、セディを褒めた。
こんな風に、前の世界ではとても言えなかったのに、少しずつ自分が積極的になれているみたい。
明るく前向きなセディといるから、もっと私も変わっていける気がするな。
セディは頬を赤らめて「ありがとう」と言うと、手を差し伸べてエスコートしてくれる。
私は彼の手を取ってママさんに挨拶をした。
「いってきます、ママさん!」
「楽しんでいらっしゃい、ふたりとも」
そうして私たち2人は馬車に乗り込んだ。
私は戸惑っていた。
デブスを自認していた私は、足が出るワンピースなんて着た事がない。
今、屋敷に来ている商人が私に勧めているのは、ラベンダー色の綺麗なワンピース。
袖は肘あたりまであるバタフライスリーブで、肩から先はシフォンレースで透けている。
スカートはAラインで膝がようやく隠れる長さだ。
スカートに重ねられたシフォンレースに小さなパールのような飾りが散りばめられている。
派手ではない華やかさが上品でいて可憐。
確かに美しいワンピースだけど、これが似合うのは、細めの華奢な女の子でしょう。
そう思っていたのだけれど、ママさん曰く、
「私が若い頃には、考えられない衣装だけれど、最近の若い子には、このくらいの長さが流行しているのですって。特にゆいちゃんみたいに肉感的で足が綺麗な女の子が着ると、男性からすごく喜ばれるみたいよ?」
「ほんとうですか?セディ、こういうのスキかな......?」
「ゆいちゃんなら何を着ても喜ぶとは思うけど、きっとこういうのは飛び上がって喜ぶんじゃないかしら?」
ママさんがそういうのなら......。
勇気を出して着てみようかな......。
私は商人とママさんに乗せられて、その衣装とそれに合わせた靴やバッグ一式をお買い上げしてしまった。
(これはローランド様が買ってくれたのだけど)
◇◇◇
そしていよいよデート当日。
私はママさんに髪を綺麗に結い上げてもらい、ちょっと大人っぽい髪型にしてもらった。
パールグレーのパンプスとバッグがラベンダー色に静かに馴染んでいる。
「素敵よ。ゆいちゃん。いつもよりセクシーな感じだけど、上品な美しさだわ。これなら通り過ぎる人たちがみんな振り返ってみること間違いなしね!」
ママさんが満足そうに微笑んだ。
「ありがとございます、ママさんのおかげデス」
私はママさんにエスコートしてもらいながら階段を降りる。
玄関ホールにはすでにセディが待っていてくれた。
「セディ。待たせてゴメンです。きょうは、さそってくれて、ありがとです」
私はぺこりと頭を下げた。
「............. 」
セディはじっと私を見て固まっている。
「あ、あの、やっぱり、にあわない、ですか......?」
私は急に自信がなくなって俯いてしまった。
「いやっ、そうじゃない!綺麗すぎて、見惚れていただけだ。......綺麗すぎて、他の人間に見られるのが惜しい気がするんだが」
「その気持ちも分かるけど、あなたの素敵な彼女をみんなに見せびらかすっていうのも楽しいと思うわよ?」
ママさんはニヤリと笑ってセディに言った。
私は短いスカートが変だと思われたんじゃなくてホッとした。
この世界でいくら綺麗だと言ってもらっても、今までの長い時間、デブだと思っていた足を他人に晒しているのだから。
それよりもセディだ。
上質だけれど、シンプルなシャツとズボンというラフな格好なのに、とっても格好よくて素敵なのだから。
やっぱり私と違って、本物の美形はお洒落を必要としないのだ。
「セディ、セイフクもすてき。だけど、きょうのすがたもかっこいいデス」
私も勇気を出して、セディを褒めた。
こんな風に、前の世界ではとても言えなかったのに、少しずつ自分が積極的になれているみたい。
明るく前向きなセディといるから、もっと私も変わっていける気がするな。
セディは頬を赤らめて「ありがとう」と言うと、手を差し伸べてエスコートしてくれる。
私は彼の手を取ってママさんに挨拶をした。
「いってきます、ママさん!」
「楽しんでいらっしゃい、ふたりとも」
そうして私たち2人は馬車に乗り込んだ。
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