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第16話 魔術師の説明会 1
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「それでは私が正式にこの呪いの解決を引き受けるにあたり、現時点において提示できる解決策についてご説明したいと思います!!」
私がピシッと人差し指を立ててそう言ったのは、アルフォンス様を含めた呪いをかけられた使用人の面々が一堂に会した真ん前だった。
「皆さんにかけられた呪いについて私なりの見解を述べるにあたり、まずは呪いについて最低限の説明をさせて頂きたいと思いますね」
「ちょっと待って欲しい……!!」
意気揚々と説明を続けようとしたところで、やや前のめりなアルフォンス様がガバッと手を上げた。
「はいはい、なんでしょうかー」
「よく分からないうちに並ばされていて、よく分からないうちに話が始まっていたのだが!?」
そういえば、そうだったような……どうしようかな。
「そこらへんは察して頂けると助かるのですが……?」
「無茶を言わないでくれないか……!?」
まぁそうですよね。
私の頭が説明の方にシフトしていたから、話を戻すのは若干面倒だけど仕方ない。
「簡単にいいますと部屋についた時点でロクに返事をしていただけないため勝手に指示を出して並んで頂いたのです」
「…………」
「返事をしていただけなかったので」
「二度言わないでもいい……!!」
「そして並んで頂いた手前待たせるのも悪いのでそのまま話を始めました」
「それは一体どうなんだ……!?」
確かにそこでもう一度くらい声をかけてもよかった気がするけど、過ぎてしまったことはしょうがない次から気をつけよう。
「それ以上はありません、ということで説明に戻ってもよろしいでしょうか?」
「いやいや……というか、その説明というのはなんなんだ……」
「その辺は先程も言ったのですけど、より端的にいうと呪いと解呪についての説明です。これから呪いを解くにしても多少時間が掛かりそうなので、私が何をするつもりなのか最低限の情報共有を皆さんにしたいと思いまして」
ほら、突然やってきた余所者が何かやっているけど内容が全く分からないとなったら不信感の一つも生まれるでしょう。だから始めにちゃんと説明をして置こうと思ったワケですよ。
「……なるほど」
アルフォンス様はそこで深くうなずいたのち。
「ようやくまともで納得できる発言が聞けた」
何かぼそっと余計なことを言った気がした。
心当たりはなくもないが、わざわざ言及したくないので気のせいということにしておこう。
「説明に戻ってくれて構わない」
「そうですか、では戻りましょう!!」
「無駄に元気になったな……」
小声でまた何か聞こえたけど、気にしない気にしない。
さて、私はどこまで話を進めたていたかな…………一切進めてなかったね。
「それではまず呪いの概要から説明しますね」
そもそも呪いの知識というのは一般的なものではない。だから呪いの解き方の説明をする前に、呪いについての説明が必要なのではないかと考えた。とはいってもココの皆さんは今まで呪いで苦労してきた当事者であるうえに、曲がりなりにも呪いを解こうとしてきたワケだから、そこらの人よりは詳しいのかもしれない。
それでも、その知識水準が私の想定しているものと全く同じとは限らない。だから念の為、一番簡単な基礎知識の話だけはして置こうと思ったわけですよ
「一般的に呪いというのは悪意をもって相手を害する魔術の形式の一つであり、その効果は実に様々です。ですが、今回はあえてある大きな二つのくくりでお話をしましょう」
呪いの説明をすると言ったけど、実際問題呪いの種類というものは本当に沢山あるので、一から十まで説明してしまうとキリがない。だから当然、これからの話の流れで必要な情報のみを選んで話す。
「そのくくりは呪いをかけられた時にすぐ分かるものと分からないものです」
「……流石に呪いをかけられて分からないなんていうのはおかしくないか?」
分かりやすい呪い代表にかけられたアルフォンス様が躊躇いがちに疑問を投げかけてきた。
「そうですね、一般的な呪い印象としては相手を苦しめることに重きを置いた分かりやすいものが主流ですからそう思うのも無理はありません」
しかしそれは想定内の疑問だったため、即座に答えた。
フフッこう見えて私は割と優秀なのですよ?
「呪いというのは例えるなら毒のようなものです。アルフォンス様も王族であるのなら暗殺に備えて毒の知識ならあるのではないですか?」
「毒……」
「毒には少量ですぐ効く即効性のもの、少し時間を置いてから効く遅効性のもの……更に長い期間をかけて少しずつを使う必要がある代わりに症状が他の病と区別の付かず毒と判別しづらいものもあるのはご存じですか?」
「……っ!!」
「すぐに分からないような呪いは、そのような用途に使います。誰がそれを仕組んだと悟らせないために、それを呪いと悟らせないために存在する呪いなのです」
説明を聞いて一旦は納得した様子のアルフォンス様だったが、ん?と声をあげて再び思案顔になった。
「今の話になんの意味があるのか疑問を感じていますね?」
「……ああ、少なくとも分かりづらい呪いというのは我々には無関係なものに思える」
まぁ姿を変えるという、呪われた瞬間に分かる呪われ方ですものね。
普通の呪いなら、それで間違いないのだけれども。
「実は関係があるんですよ」
ただこの呪いは普通じゃなかったということ。
私がピシッと人差し指を立ててそう言ったのは、アルフォンス様を含めた呪いをかけられた使用人の面々が一堂に会した真ん前だった。
「皆さんにかけられた呪いについて私なりの見解を述べるにあたり、まずは呪いについて最低限の説明をさせて頂きたいと思いますね」
「ちょっと待って欲しい……!!」
意気揚々と説明を続けようとしたところで、やや前のめりなアルフォンス様がガバッと手を上げた。
「はいはい、なんでしょうかー」
「よく分からないうちに並ばされていて、よく分からないうちに話が始まっていたのだが!?」
そういえば、そうだったような……どうしようかな。
「そこらへんは察して頂けると助かるのですが……?」
「無茶を言わないでくれないか……!?」
まぁそうですよね。
私の頭が説明の方にシフトしていたから、話を戻すのは若干面倒だけど仕方ない。
「簡単にいいますと部屋についた時点でロクに返事をしていただけないため勝手に指示を出して並んで頂いたのです」
「…………」
「返事をしていただけなかったので」
「二度言わないでもいい……!!」
「そして並んで頂いた手前待たせるのも悪いのでそのまま話を始めました」
「それは一体どうなんだ……!?」
確かにそこでもう一度くらい声をかけてもよかった気がするけど、過ぎてしまったことはしょうがない次から気をつけよう。
「それ以上はありません、ということで説明に戻ってもよろしいでしょうか?」
「いやいや……というか、その説明というのはなんなんだ……」
「その辺は先程も言ったのですけど、より端的にいうと呪いと解呪についての説明です。これから呪いを解くにしても多少時間が掛かりそうなので、私が何をするつもりなのか最低限の情報共有を皆さんにしたいと思いまして」
ほら、突然やってきた余所者が何かやっているけど内容が全く分からないとなったら不信感の一つも生まれるでしょう。だから始めにちゃんと説明をして置こうと思ったワケですよ。
「……なるほど」
アルフォンス様はそこで深くうなずいたのち。
「ようやくまともで納得できる発言が聞けた」
何かぼそっと余計なことを言った気がした。
心当たりはなくもないが、わざわざ言及したくないので気のせいということにしておこう。
「説明に戻ってくれて構わない」
「そうですか、では戻りましょう!!」
「無駄に元気になったな……」
小声でまた何か聞こえたけど、気にしない気にしない。
さて、私はどこまで話を進めたていたかな…………一切進めてなかったね。
「それではまず呪いの概要から説明しますね」
そもそも呪いの知識というのは一般的なものではない。だから呪いの解き方の説明をする前に、呪いについての説明が必要なのではないかと考えた。とはいってもココの皆さんは今まで呪いで苦労してきた当事者であるうえに、曲がりなりにも呪いを解こうとしてきたワケだから、そこらの人よりは詳しいのかもしれない。
それでも、その知識水準が私の想定しているものと全く同じとは限らない。だから念の為、一番簡単な基礎知識の話だけはして置こうと思ったわけですよ
「一般的に呪いというのは悪意をもって相手を害する魔術の形式の一つであり、その効果は実に様々です。ですが、今回はあえてある大きな二つのくくりでお話をしましょう」
呪いの説明をすると言ったけど、実際問題呪いの種類というものは本当に沢山あるので、一から十まで説明してしまうとキリがない。だから当然、これからの話の流れで必要な情報のみを選んで話す。
「そのくくりは呪いをかけられた時にすぐ分かるものと分からないものです」
「……流石に呪いをかけられて分からないなんていうのはおかしくないか?」
分かりやすい呪い代表にかけられたアルフォンス様が躊躇いがちに疑問を投げかけてきた。
「そうですね、一般的な呪い印象としては相手を苦しめることに重きを置いた分かりやすいものが主流ですからそう思うのも無理はありません」
しかしそれは想定内の疑問だったため、即座に答えた。
フフッこう見えて私は割と優秀なのですよ?
「呪いというのは例えるなら毒のようなものです。アルフォンス様も王族であるのなら暗殺に備えて毒の知識ならあるのではないですか?」
「毒……」
「毒には少量ですぐ効く即効性のもの、少し時間を置いてから効く遅効性のもの……更に長い期間をかけて少しずつを使う必要がある代わりに症状が他の病と区別の付かず毒と判別しづらいものもあるのはご存じですか?」
「……っ!!」
「すぐに分からないような呪いは、そのような用途に使います。誰がそれを仕組んだと悟らせないために、それを呪いと悟らせないために存在する呪いなのです」
説明を聞いて一旦は納得した様子のアルフォンス様だったが、ん?と声をあげて再び思案顔になった。
「今の話になんの意味があるのか疑問を感じていますね?」
「……ああ、少なくとも分かりづらい呪いというのは我々には無関係なものに思える」
まぁ姿を変えるという、呪われた瞬間に分かる呪われ方ですものね。
普通の呪いなら、それで間違いないのだけれども。
「実は関係があるんですよ」
ただこの呪いは普通じゃなかったということ。
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