41 / 94
第40話 出かける前に3
しおりを挟む
「それにしてもリア様は殿下と随分と親しくなられたのですねー」
肖像画の話題も落ち着いたところで、今度はそんな話しを振られた。
親しくか……自分ではイマイチ分からないけど、どうなんだろうね?
「そう見えましたかー?」
だからとりあえず聞き返してみた。
ほら、やっぱり客観的な視点というのは大事だからねー。
「ええ、それはもう……!!」
すると間髪を入れずに肯定してくれた。
なるほど、そんなにそう見えるのか……私自身まったく自覚はなかったけれど。
「そう仰って下さるのは素直に嬉しいですねー。まぁ、当のアルフォンス様がどう思われてるかは分かりませんけど」
「いえ、そこは殿下もきっとリア様のことを好ましく思われてるはずです……!!」
「そうですかね?」
「はい、そこは自信があります!! むしろこんなに可愛らしいリア様を気に入られない理由がございませんわー」
「そんな風に褒められても困るのですが……」
気に入られないというか、警戒すべき理由ならいくつか心当たりがあるんだけどね……。
まず、いきなり訪ねて来た身分不詳で正体不明の人物って冷静に考えてそれだけで警戒対象じゃありません? 気に入る気に入らない以前の問題な気がするんだけど大丈夫?
いや、確かにこちらとしては、そこら辺を一切無視してくれるのが助かるんだけどね……。
「そのようなところも可愛らしくて素敵ですわ」
「ええ……」
ど、どこ? どのようなところ……!?
……ダメだ、どこら辺が褒められているか全く見当が付かない。
もう余計なことは言わないで置こう、そうしよう……。
その後、採寸が終わるまで私は黙っていたが、その後も私への意図の分からない称賛は続いたのだった。
いや、わざわざ私を褒めても何も得しませんからね!?
そんな感じで採寸も終わり服やローブも着直した所で、室外で待っていたアルフォンス様に声を掛けた。
「お待たせしました、どうぞ中へお入り下さいー」
「ああ」
アルフォンス様は私の言葉に頷いて室内へ入って来ようとする。
「では私達は失礼いたしますので、お二人でごゆっくりお過ごし下さいませ」
それと同時に採寸をしてくれたお三方が退室していきながら、そんな言葉を残していったのだった。
ん? ごゆっくりって一体何を?
これから出掛けるだけなのですが……?
「お、おいっ!!」
何やら慌てて声を掛けようとするアルフォンス様をよそにお三方はくすくすと楽しそうに部屋を出て行ったのだった。
しかしその様子はただ部屋を出て行くだけだと言うのに、何故か随分と楽しげで私は思わず首を傾げてしまった。
あとアルフォンス様を無視して出て行っていいのですかね……いや、私は別にどちらでも構わないのですけどね?
そしてアルフォンス様は何故かお三方の出て行った扉を見つめて固まっているんですが……。
え、これは普通に声を掛けていいやつなんですかね?
……掛けちゃいますよー? えいっ。
「それではこれからどうしますか?」
「はっ!! ど、どうとは!?」
いや、なんで皆さんそんなに力んで返事をするんですかね……。
「それはもちろん、街へ行く前に他にするかとがあるかとか……そういうことですが?」
むしろそれ以外に何があるのだろうか……。
「そ、そうだな……!! うむ、そうだな!!」
何故か妙に力一杯二回も返事をされた。
なんなのだろうか、これは……うーん、でもまぁ気にしなくてもいいか。
「まず今日お越しになる運搬者さんに対して、どのような手筈で話しを通すつもりなのでしょうか?」
「うむ、それなのだがもうじき、この城のある城壁内の資材置き場小屋に運搬を請け負っている数名が物資を運んで来る予定なのだ。だからそのタイミングで彼らに声を掛けて、街へ戻る際に同行させて貰えばいいと考えている」
「そうなのですね、分かりました。ではいつ頃その資材置き場小屋に向かいますか? もう少し待ちます……?」
「いや、もう向かった方がいいだろう」
「はーい、了解ですー。それでは移動しましょう……とは言っても私は場所を知らないので案内をお願いしますねー」
「ああ、こっちだ」
そうして私達は荷物をしっかり持ち……まぁ私の場合はいつも通りだけど。部屋を後にしてアルフォンス様の案内で資材置き場小屋の近くまでやってきたのだった。
肖像画の話題も落ち着いたところで、今度はそんな話しを振られた。
親しくか……自分ではイマイチ分からないけど、どうなんだろうね?
「そう見えましたかー?」
だからとりあえず聞き返してみた。
ほら、やっぱり客観的な視点というのは大事だからねー。
「ええ、それはもう……!!」
すると間髪を入れずに肯定してくれた。
なるほど、そんなにそう見えるのか……私自身まったく自覚はなかったけれど。
「そう仰って下さるのは素直に嬉しいですねー。まぁ、当のアルフォンス様がどう思われてるかは分かりませんけど」
「いえ、そこは殿下もきっとリア様のことを好ましく思われてるはずです……!!」
「そうですかね?」
「はい、そこは自信があります!! むしろこんなに可愛らしいリア様を気に入られない理由がございませんわー」
「そんな風に褒められても困るのですが……」
気に入られないというか、警戒すべき理由ならいくつか心当たりがあるんだけどね……。
まず、いきなり訪ねて来た身分不詳で正体不明の人物って冷静に考えてそれだけで警戒対象じゃありません? 気に入る気に入らない以前の問題な気がするんだけど大丈夫?
いや、確かにこちらとしては、そこら辺を一切無視してくれるのが助かるんだけどね……。
「そのようなところも可愛らしくて素敵ですわ」
「ええ……」
ど、どこ? どのようなところ……!?
……ダメだ、どこら辺が褒められているか全く見当が付かない。
もう余計なことは言わないで置こう、そうしよう……。
その後、採寸が終わるまで私は黙っていたが、その後も私への意図の分からない称賛は続いたのだった。
いや、わざわざ私を褒めても何も得しませんからね!?
そんな感じで採寸も終わり服やローブも着直した所で、室外で待っていたアルフォンス様に声を掛けた。
「お待たせしました、どうぞ中へお入り下さいー」
「ああ」
アルフォンス様は私の言葉に頷いて室内へ入って来ようとする。
「では私達は失礼いたしますので、お二人でごゆっくりお過ごし下さいませ」
それと同時に採寸をしてくれたお三方が退室していきながら、そんな言葉を残していったのだった。
ん? ごゆっくりって一体何を?
これから出掛けるだけなのですが……?
「お、おいっ!!」
何やら慌てて声を掛けようとするアルフォンス様をよそにお三方はくすくすと楽しそうに部屋を出て行ったのだった。
しかしその様子はただ部屋を出て行くだけだと言うのに、何故か随分と楽しげで私は思わず首を傾げてしまった。
あとアルフォンス様を無視して出て行っていいのですかね……いや、私は別にどちらでも構わないのですけどね?
そしてアルフォンス様は何故かお三方の出て行った扉を見つめて固まっているんですが……。
え、これは普通に声を掛けていいやつなんですかね?
……掛けちゃいますよー? えいっ。
「それではこれからどうしますか?」
「はっ!! ど、どうとは!?」
いや、なんで皆さんそんなに力んで返事をするんですかね……。
「それはもちろん、街へ行く前に他にするかとがあるかとか……そういうことですが?」
むしろそれ以外に何があるのだろうか……。
「そ、そうだな……!! うむ、そうだな!!」
何故か妙に力一杯二回も返事をされた。
なんなのだろうか、これは……うーん、でもまぁ気にしなくてもいいか。
「まず今日お越しになる運搬者さんに対して、どのような手筈で話しを通すつもりなのでしょうか?」
「うむ、それなのだがもうじき、この城のある城壁内の資材置き場小屋に運搬を請け負っている数名が物資を運んで来る予定なのだ。だからそのタイミングで彼らに声を掛けて、街へ戻る際に同行させて貰えばいいと考えている」
「そうなのですね、分かりました。ではいつ頃その資材置き場小屋に向かいますか? もう少し待ちます……?」
「いや、もう向かった方がいいだろう」
「はーい、了解ですー。それでは移動しましょう……とは言っても私は場所を知らないので案内をお願いしますねー」
「ああ、こっちだ」
そうして私達は荷物をしっかり持ち……まぁ私の場合はいつも通りだけど。部屋を後にしてアルフォンス様の案内で資材置き場小屋の近くまでやってきたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
強面夫の裏の顔は妻以外には見せられません!
ましろ
恋愛
「誰がこんなことをしろと言った?」
それは夫のいる騎士団へ差し入れを届けに行った私への彼からの冷たい言葉。
挙げ句の果てに、
「用が済んだなら早く帰れっ!」
と追い返されてしまいました。
そして夜、屋敷に戻って来た夫は───
✻ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる